2013年ノーベル化学賞は理論化学
 ノーベル賞委員会は9日、2013年のノーベル化学賞をMartin Karplus(マーティン・カープラス、ハーバード大学など)、Michael Levitt氏(マイケル・レヴィット、スタンフォード大学)、Arieh Warshel氏(アリー・ウォーシェル、南カリフォルニ大学)の三名に贈ると発表した。

 3人は、化学反応中の複雑な分子構造をコンピューターで表示するプログラムの基礎を作ったことが評価された。酵素タンパク質などの複雑な分子の中で、他の有機物がどの部分に、どのように反応して分解・化合するかを目に見える形でモデル化した。

 残年ながら、日本人の受賞はなかった。日本人では、殺菌や消臭などの環境浄化にも応用されている酸化チタンの光触媒反応を発見した東京理科大学の藤嶋昭学長らの名前が挙がっていたが、惜しくも受賞を逃した。



 これまでの日本人のノーベル化学賞の中では、同じ理論化学分野の「フロンティア軌道理論」で1981年に日本人初のノーベル化学賞を受けた福井謙一氏に近い研究分野だ。理論化学の受賞は、十数年ぶりになる。

 asahi.com 記事「ノーベル化学賞に米大学の3氏 多重スケールモデル開発」から引用する。


 ノーベル化学賞に米大学の3氏 多重スケールモデル開発
 スウェーデン王立科学アカデミーは9日、今年のノーベル化学賞を、米ハーバード大名誉教授のマーティン・カープラス氏(83)、米スタンフォード大教授のマイケル・レビット氏(66)、米南カリフォルニア大特別教授のアリー・ウォーシェル氏(72)の3人に贈ると発表した。3人は化学反応の過程をコンピューターで計算する「多重スケールモデル」を開発した。

 授賞式は12月10日にストックホルムである。賞金800万スウェーデンクローナ(約1億2千万円)は3人で分ける。

 教科書などでは、化学反応は原子や分子がくっついたり離れたりする単純な模式図で説明される。だが、実際の化学反応は、原子を構成する電子が瞬時に移動することで起きる、ダイナミックで複雑な現象だ。

 こうした現象を理論的に厳密に解明するなら、古典的な力学ではなく、極微の世界を支配する量子力学を使う必要がある。だが、計算量が膨大になり、たんぱく質のような巨大な分子の反応だと、スーパーコンピューターでも難しい。

 3人は反応過程の重要な部分は量子力学、その他は古典力学を使うことで、計算量を抑えつつ、より精密なシミュレーションができる計算モデルを開発。植物の光合成、自動車の触媒による排ガス浄化、体内での薬の反応など、我々の生活を支える様々な化学反応の解明が可能になった。

 同アカデミーはこの分野に貢献した他の研究者として、京都大福井謙一記念研究センターのシニアリサーチフェロー、諸熊奎治(もろくまけいじ)さん(79)ら7人を挙げた。諸熊さんは9日、「(3人は)非常に立派な仕事を早くからやっていて、それが評価されたのだろう。理論化学が、十数年ぶりに評価されて非常にうれしい」と喜んだ。


 京大・諸熊奎治氏の貢献にも言及
 ノーベル化学賞で研究業績への貢献が言及された京都大の諸熊奎治さんは、今年と同じ理論化学分野の「フロンティア軌道理論」で1981年に日本人初のノーベル化学賞を受けた福井謙一さん(故人)の弟子。伝統ある京大の理論化学の存在感を示した。

 諸熊さんは9日、京都市の研究所で「(受賞が決まった3人は)非常に立派な仕事を早くからやっていて、それが評価されたのだろう。理論化学が、十数年ぶりに評価されて非常にうれしい」と喜んだ。

 諸熊さんは受賞者のひとり、マーティン・カープラスさんの弟子でもある。京大で福井さんの研究室にいた62年、カープラスさんの来日時に案内役を務めた縁で、その2年後に渡米し、カープラスさんのもとで留学。その後、日米を行き来しながら研究を続けた。

 「とっても直感的で天才的な人で、福井先生と似ている。私も受賞に近かったかも知れないが、私は始めるのが遅かったし、カープラスは私の先生だから。さっきも『おめでとう』とメールを送りました」と話した。(asahi.com)


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