消えたネアンデルタール人
 ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 なおネアンデルタール人を過去は「旧人」と呼称していたが、ネアンデルタール人が「ホモ・サピエンスの先祖ではない」ことが明らかとなって以降は、この語は使われることが少ない。

 ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅したヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 火や石器は使うが、知能が未発達と考えられているネアンデルタール人が、少なくとも歯の衛生に関しては違ったようだ。食後は楊枝(ようじ)を使っていた可能性が高い。

 また、その楊枝は炎症抑制作用を持つ成分を含んでおり、薬草の知識を持っていた可能性もある。


 以下はNational Geographic news記事「ネアンデルタール人が歯科治療?」を引用する。


 ネアンデルタール人が歯科治療?
 スペイン、Institut Catala de Paleoecologia Humana i Evolucio Social(IPHES:人類の古生態学と社会進化のカタロニア研究センター)のチームによれば、数万年前に絶滅したネアンデルタール人は、楊枝で食べカスを掃除しながら、歯周病の痛みも和らげていたという。

  この習慣は、槍の使用より前に始まっていた可能性が高いと研究者は考えている。

  今回の研究では、痛みを緩和する目的で楊枝を使用した最古の証拠が示されている。スペイン、バレンシアのコバ・フォラダ(Cova Forada)遺跡で発掘された頭蓋骨の上あごには、化石化した歯が残っていた。5万~15万年前の頭蓋骨と推定されている。

 土まみれの食事
 虫歯はなかったが、ひどく摩耗していた。研究を率いたIPHESのマリナ・ロザノ(Marina Lozano)氏は、「茎、果実、葉などと大量の肉、髄」といった、摩耗しやすい食事をとっていたようだとメールでコメントしている。

 「しかも、土や灰が付いたまま口にしたので、歯の損傷は避けられない状況だった」とロザノ氏は補足している。

 必要に迫られて、細い棒か硬い草の茎を楊枝として使っていた可能性が高い。


 古代の気晴らし
 ネアンデルタール人も楊枝を使っていた、という考え自体が新しい訳ではない。四肢が発達したヒト族が歯をつついていた証拠があるからだ。その痕跡は、160万~190万年前に存在した初期人類ホモ・ハビリスでも確認されている。おそらくネアンデルタール人も大差ないだろう。

 カリフォルニア大学バークレー校の生物人類学者レスリー・フラスコ(Leslea Hlusko)氏は第三者の立場で、「われわれの祖先は200万年近く、歯の間に詰まった食べカスを取り除く必要性を感じてきた」と述べている。「当時も、昼食後の私と全く同じ問題を抱えていたと考えるべきだろう」。


 ネアンデルタール人が歯科治療?
 今回の研究が注目されているのは、ネアンデルタール人が楊枝を別の目的で使っていたことを示唆している点だ。スペインで発掘された化石には、紛れもない楊枝の跡とともに、歯周病の証拠が残っていた。

 ロザノ氏らは、歯のお掃除だけではなく、歯周病による痛みや炎症を緩和する目的で楊枝を使っていたという仮説を立てた。

 「骨が溶けるほどの重症の歯肉炎だ。不快感や痛みは相当なものだったのだろう」とロザノ氏。「歯間ブラシのように楊枝を使うと、いくらか痛みも和らいだはずだ」。

 研究論文は、「歯肉炎を緩和するために植物から作った楊枝を使う行為は、基本的な歯科治療の一種と考えられる」と主張している。


 ネアンデルタール人のノウハウ
 もしこの仮説が裏付けられれば、苦痛緩和を目的とした歯科治療の最古の証拠となり、ネアンデルタール人の応用力も、捨てたものではないことがわかる。

 「木や石でさまざまな道具を作りだし、火も使っていた」とロザノ氏は述べている。肉や植物、木を切るための石器は、砕いた石の剥片(スクレイパー、フレーク)を利用する技術、「ムスティリアン(ムスティエ)」の手法が用いられている。

 ネアンデルタール人が薬草を使用していたという証拠も存在する。もし事実であれば、彼らの“発明品”リストに楊枝が加わるだけでなく、頭も切れたという何よりの裏付けになるだろう。

 いずれは、彼らの生活が喜怒哀楽に溢れ、表情も豊かだったとわかる日が来るかもしれない。

 今回の研究結果は、米オンライン科学誌「PLOS ONE」に10月16日付けで発表された。(Stefan Sirucek,
National Geographic News October 24, 2013)


 ネアンデルタール人とは何か?
 ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅したヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 かつて、ネアンデルタール人は旧人と呼ばれ、我々ホモ・サピエンスの祖先とする説があった。また、ネアンデルタール人をホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスと分類する場合もある。この場合ネアンデルタール人と現世人類との分岐直前(約47万年前)の共通祖先もまたホモ・サピエンスということになる。

 しかし、遺骨から得られたDNAの解析から、我々の祖先ではなく、別系統の人類であることがほぼ明らかになった。この相違点は、他の動物種ならば十分別種として認識されるだけのレベルのものであるため、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは別種とする考え方が有力である。

 現生人類のほとんどは、ほんの数パーセントではあるがネアンデルタール人ゲノムが混入しているとの研究結果が2010年のサイエンス誌に発表された。この説が正しければ、中東を経てヨーロッパからアジアにまで拡がった現生人類の殆どは、絶滅したネアンデルタール人の血をわずかながらもひいていると言うことになる。(Wikipedia)


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