世界でもっとも長寿の動物は?
 世界でもっとも長寿な動物は何だろう?よく「ツルは千年、亀は万年」というがこれまでのところ、それほど長生きした動物はいない。

 ツルは種類によっても異なるが、概ね動物園で50年から80年が限度で、野生では30年生きるといわれる。カメは種類によって大きく寿命が違い、多くの種類は30年から50年程度の寿命とされるが、ゾウガメの仲間は寿命100年以上、180年生きたとされる個体も存在する。

 では、どの動物が一番長生きなのだろうか?

 今回、世界で一番長寿とされる動物が発見された。それは、10cm以上にも成長する大型の貝(shellfish)だった。 英国の『The Telegraph』が伝えるところによると、この長寿の貝は2006年にアイスランド沖で発見されたホンビノスガイ。


 食味が良く、欧米ではアサリやハマグリ同様、よく食用にされる。最近では東京湾にも定着してしまったようだ。 栄養豊富な温かい夏の海ではよく育ち冬は成長が止まる貝の貝殻には、木の幹と同じように「年輪」が刻まれる。この成長線を数えることでだいたいの年齢がわかる。

 『明』(中国の王朝に由来)と命名されたその貝は、これまで400才くらいであろうと考えられてきた。ところが、英国バンガー大学の科学者たちが明の年齢をさらに詳しく調べようとしたところ、うっかり貝殻を開けてしまい、明はそのまま死んでしまったという。

 以下はNational Geographic news「507歳の貝、年齢調査で死亡は誤解」を見てみるとしよう。


 507歳の貝、年齢調査で死亡は誤解
 先ごろ、海洋研究者には不名誉なニュースが世界を駆けめぐった。これまで記録された動物個体の中では世界最高齢、507歳であることがわかった二枚貝の“明”(ミン)を、調査中にうっかり殺してしまったというものだ。

 しかし、よく調べてみると、BBCが“クラム(二枚貝)ゲート事件”と呼ぶこの話は、少々大げさに騒がれすぎのようだ。

 この二枚貝の死は2007年に最初に報じられたが、昨年イギリス、バンガー大学のジェームズ・スコース(James Scourse)氏率いる研究チームが、この貝の年齢を再分析し、推定507歳と発表したことから、死の経緯が改めて注目されることとなった。

 報道に反して、研究チームはこの年老いた二枚貝を、年齢を調べるという、ある意味矛盾した目的のために殺したわけではないという。

 「この貝は、2006年にアイスランドの大陸棚で生きたまま採取された約200個体のうちの1つだ」と、同じくバンガー大学に属する気候科学者ポール・バトラー(Paul Butler)氏は述べる。バトラー氏とスコース氏は、過去1000年間の気候変動について調べる研究プロジェクトの一環として、この貝を採取した。

 採取した200個体の貝は、陸へ持ち帰るために船上で凍らせたので、そのときにすべて死んだ。研究室に戻り、貝殻を顕微鏡で観察して初めて、明が非常な高齢であることがわかった。


 明王朝時代からの生き残り
 2007年に話題にのぼったとき、研究者が推定する明の年齢は約405歳だった。この時点で既に、既知の動物個体としては世界最高齢だった。

 しかし、その後の再分析の結果、明はさらに高齢であったことが判明した。

 ミンが生まれた年、レオナルド・ダ・ヴィンチは「モナ・リザ」を制作中であり、記録上では初の天然痘の流行が新世界を襲い、明王朝が中国を支配していた(貝の名はこれにちなむ)。イギリスのエリザベス1世が即位したのは、明が52歳のときだ。


 貝の年齢を数える
 明の年齢は、貝殻の年輪を数えることで割りだされた。このアイスランドガイという種の二枚貝では、毎年1本ずつ年輪が増える。

 前回の推定年齢とは100年の開きがあるが、これは、2007年に明の貝殻を分析した際、調べた部分に年輪の間が狭く、1本1本を区別できないところがあったためだ。

 海洋地質学者のスコース氏によると、新たな推定年齢は、放射性炭素年代測定の結果にも照らして確認しており、「ほとんど誤差はない」という。


 出生証明をもたない貝
 スコース氏とバトラー氏が明を生きた状態で採取したとき、それは手の平に収まるサイズの、平凡なアイスランドガイに見えた。

 アイオワ州エイムズにあるアイオワ州立大学の博士課程に在籍し、同じくこの種の貝を研究しているマデリン・メティ(Madelyn Mette)氏は、「これらの貝は一定の年齢に達すると、毎年さほど大きくはならない(中略)。大きな貝が獲れたとしても、サイズにあまり差がないので、それが100歳か300歳かを見分けるのは困難だ」。

 スコース氏は、採取した200個体の貝は、世界全体の生息数のごく一部にすぎないと指摘する。そのため、明が既知の中では最高齢の動物であったとしても、海に生息するアイスランドガイの中で実際に最高齢の個体であった可能性は「ごくごくわずか」だという。


 最高齢のクラムチャウダー?
 実際のところ、明時代から生きてきた貝を我々がランチで食するということも、ありえない話ではない。北大西洋産のアイスランドガイといえば、クラムチャウダーによく用いられる貝の1つだ。

 いずれにせよ、明の犠牲は、過去数百年間にわたる長期の気候変動が海洋生物に及ぼした影響を調べるという、スコース氏とバトラー氏の研究に役立つはずだ。

 「507年というのは最高記録だ」とスコース氏は述べる。「ここから海洋の気候変動の年次記録が得られる。北大西洋では、これまでそのような記録は得られていない」。(Samantha Larson for National Geographic News November 18, 2013)


 他の動物は何年生きる?
 動物の中では貝のなかまは長生きだ。グイダックという、ミル貝の一種は、少なくとも160年は生きるといわれている。

 ムカシトカゲは、爬虫類のなかで最も成長が遅く、35歳ぐらいまでは成長を続ける。ムカシトカゲの寿命は100年以上とも言われている。

 深海に棲む、ハオリムシ(チューブワーム)は、熱水噴出孔周辺に生息し、体長は数十センチほど生物。口、胃腸、肛門などの消化管等をもたず、硫黄酸化細菌をその体内に持ち、共生している。170年は生きるといわれているが250年生きたものも存在するという。

 ムラサキウニは、寿司ネタとしても知られる。ムラサキウニの寿命は200年以上とされる。

 ホッキョククジラの寿命は、かつては他のクジラと同程度の60~70年ほどと考えられていた。しかし最近の詳細な研究により、少なくとも数頭の個体は150~200年程度生きているという信頼のおける結論が得られたそうだ。

 コイの寿命は40~50年と言われているが、200年以上生きた個体もあるという。最長寿命記録は岐阜県白河村で飼われていた「花子」と呼ばれる個体の226年だが、これは信憑性が疑問視されている。

 ハマグリは二枚貝のなかま。2007年、イギリスの海洋学者が発見した二枚貝(はまぐり、Arctica islandica)の年齢は405歳から410歳の間であるとされている。江戸時代が始まるころだね。

 南極海の海綿動物(Antarctic sponge) 南極海に住む海綿動物は低温の海水により成長が遅く、なんと1550年生きている個体が発見されたという。日本に仏教が伝来したくらいからか。(カラパイア:長寿の生き物


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