ハイドロサルタイト
ハイドロタルサイト (Hydrotalcite) は、炭酸塩鉱物の一種。化学組成は Mg6Al2(CO3)(OH)16·4(H2O)、結晶系は三方晶系。ヒドロタルサイト、ヒドロタルシト、ハイドロタルク石とも呼ばれる。天然に産出する粘土鉱物の一種である。層状構造を持ち、層間にアニオンを取り込む性質を持つ。
粘土鉱物(Clay mineral)とは、粘土を構成する鉱物で、主成分は層状ケイ酸塩鉱物(フィロケイ酸塩鉱物)。方解石、苦灰石、長石類、石英、沸石(ゼオライト)類などの鉱物も、粘土粒径の場合、粘土鉱物と呼ばれるが、一般には層状ケイ酸塩鉱物のことを粘土鉱物という。
金属イオン(アルミニウム、ナトリウム、カルシウム等)とケイ酸が連結しできたシートが、層状に形成されている。このシートの間隙に水や金属イオン、場合によっては有機物まで容易に取り込み放出することから、湿度調整やイオン交換性、触媒など、機能性材料として、生活用品をはじめ多様な分野で利用されている。また、セラミック素材や陶器の原料として利用されている。
今回、物質・材料研究機構は、「ハイドロタルサイト」と呼ばれる粘土鉱物が、空気中の二酸化炭素を吸ったり、吐いたりしている“呼吸”現象を発見したと発表した。従来の地球規模での炭素循環に対する考え方を変える可能もあるという。
同機構の研究員が、炭素元素の放射性同位体をマーカーにして、ハイドロタルサイト層間の炭酸イオンについて調べた。その結果、炭酸イオンが空気中の二酸化炭素と、数日から1週間程度で入れ替わっていることが分かった。なぜこのようなことが起きるのだろうか?
粘土鉱物の“呼吸”現象を発見
物質・材料研究機構は、「ハイドロタルサイト」と呼ばれる粘土鉱物が、空気中の二酸化炭素を吸ったり、吐いたりしている“呼吸”現象を発見したと発表した。従来の地球規模での炭素循環に対する考え方を変える可能もあるという。
ハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種で、マグネシウムとアルミニウム、炭素、水素などの元素からなる層状化合物で、層間に陰イオンを取り込む性質がある。その性質から胃酸を中和する制酸剤や、塩化ビニールの安定剤などに利用されている。
同機構・国際ナノアーキテクトニクス研究拠点「若手国際研究センター」の石原伸輔研究員と井伊伸夫特別研究員らは、炭素元素の放射性同位体をマーカーにして、ハイドロタルサイト層間の炭酸イオンについて調べた。その結果、炭酸イオンが空気中の二酸化炭素と、数日から1週間程度で入れ替わっていることが分かった。
さらにガス吸着の実験から、ハイドロタルサイトの層間には、空気中の二酸化炭素だけを1グラムあたり約4ccの量だけ吸着し、二酸化炭素よりも分子径の小さい窒素ガスは取り込まなかった。こうした層間での炭酸イオンと二酸化炭素の交換は繰り返され、あたかも粘土鉱物が“呼吸”をしているような新現象だという。
ハイドロタルサイトの構造を変えることで、二酸化炭素の吸着量や交換速度を向上させ、効率的な二酸化炭素の分離膜や還元触媒などの次世代材料の開発が期待できる。地球全体の炭素循環や、炭素年代測定法のより正確な理解にもつながるという。
研究論文“Dynamic Breathing of CO2 by Hydrotalcite”は米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載された。(サイエンスポータル 2013年12月5日)
物質・材料機構:粘土鉱物による二酸化炭素の「呼吸現象」を発見!
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