国土地理院、月の詳細地図制作 
 国土地理院は日本の月周回衛星「かぐや」が観測した、地形データを基に作成した詳細な月の地形図を、ホームページ上に13日公開した。地図はこれまでにないほど、詳細に立体的に描かれており、月の裏側は気持ちが悪いほど凸凹がよく分かる。

 12月14日、中国の無人月探査機、嫦娥(じょうが)3号が軟着陸に成功した「虹の入り江」も、公開の地形図に描かれており、月への興味は高まりそうだ。月に探査機が軟着陸するのは実に37年ぶりのことだ。

  嫦娥3号に搭載され、現地時間12月2日に打ち上げられた月面探査車の玉兎(ぎょくと)号は今後、写真を撮影し、月の表面を調査し、2つの望遠鏡で観測を行う予定だ。

 ロケット補助による軟着陸を成功させ、重量100キロの探査車を月面に送り込んだ中国は、ソ連(現ロシア)、アメリカに次いで、月面に宇宙船を軟着陸させた3番目の国となった。

 一方、公開された月の地形図は、「かぐや」に搭載の「レーザ高度計」によって得られた月全球の高さデータを国立天文台が解析した。詳細な計測点の座標と高度データを基に、国土地理院が「平射図法」や「メルカトル図法」などによる地図を作成したほか、「アジア航測」(東京都新宿区)も「赤色立体地図」を作成した。これらはいずれもダウンロードが可能だ。ほかに、赤色と青色の手作りメガネで立体視ができる「余色立体図」も用意している。

 赤色立体地図は、回転しても拡大・縮小しても立体的に見える、独自開発による表現技法で、月のクレーターの重複や“海”の溶岩の積層の様子もよく分かるという。公開された同地図の「雨の海」には嫦娥3号の着陸予定の「虹の入り江」の地形の様子も詳しく描かれている。


 月周回衛星「かぐや」のデータを元に
 
国土地理院は12月13日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや(SELENE)」の観測により得られた月のデータを元にした新たな月の地形図を作成したことを発表した。

 今回の提供が開始された地形図は、かぐやに搭載されたレーザ高度計(LALT)を用いて取得された各観測地点の高さデータなどを活用したもので、アジア航測の千葉達朗氏に依頼し、同氏が開発した赤色立体地図の手法を用いて作成された「赤色立体地図」だ。

 このほか、「平射図法(陰影なし/あり、濃い色、英語版)」、「メルカトル図法」、「ハンメル図法」、「正距円筒図法」が、(画像形式は同Webサイトにて表示する場合はGIF形式またはPNG形式、ダウンロードする場合はTIFF形式で、いずれも25dpi/50dpi/100dpi/200dpi/400dpi/800dpiのサイズ)提供されているほか、既存データとの比較地図や余色立体メガネをかけて見ることで立体的に見える「余色立体図」、A0判に合わせてレイアウトされたデジタルデータや月の回転動画なども提供されている。

 なお、かぐやのLALTプロジェクトリーダーであった国立天文台の荒木博史博士は、今回の地図に対し、「月クレーターの重複や海の溶岩の積層の複雑さが手に取るようにわかります。地形の判読性は従来の図法より明らかに優れているようです。ここ数年で「かぐや」「LRO(NASAが打ち上げた月探査衛星)」などの月探査により、月全面にわたって水平分解能10m以下の地形データが得られました。こうした高分解能データを赤色立体図法で 表示すれば、新地形の探索や地形の上下関係の確認が体系的に進み、ひいては月地形の形成史に大きなインパクトを与えるかもしれません」とコメントしている。


 中国の月面探査は資源、軍事が狙いか
 月面探査をスタートさせた中国は、宇宙での様々な権益を確保するのが狙いとみられている。それに比べて、日本は出遅れたとの声が強い。

  「月の権益を分かち合う通行証を手に入れる」。時事通信などが報じたところでは、中国共産党の機関紙「北京青年報」は、2013年12月15日付社説でこう宣言した。

 「いかに中国の宇宙空間の利益を守るかが避けて通れない課題」

 通行証の意味は書かれていないが、事実上、宇宙空間の領有権に近いものを指すらしい。月のエネルギーと鉱産物が重要な資源の補充になるとしたうえで、「いかに中国の宇宙空間の利益を守るかが避けて通れない課題となった」と書いているからだ。

 日本のメディアでも、中国が月に進出したのは、資源の獲得が狙いの1つだと報じている。例えば、核融合発電の燃料になる「ヘリウム3」は、次世代エネルギーとして期待されている。テレ朝系「グッド!モーニング」は16日、中国がこうした資源について「月にある宝」と見ていると紹介した。ヘリウム3は、地球上ではわずかしか存在しないが、月には、全人類が消費する電力の数千年分が賄える量が存在すると言われているからだとした。

 次に、中国が狙っているのは、月の軍事利用とみられている。今回の月面探査は、日米などとは違い、人民解放軍が主導して行われたとされるからだ。

 中国が2030年ごろから建設を進めるとしている月面基地については、中国メディアに載った完成予想図では、ロケットの発射台のようなものも描かれた。産経の記事によると、中国の新聞「京華時報」は、専門家の話として、「月にミサイル基地を建設すれば、反撃の心配なく敵の軍事目標を攻撃できる」と指摘した。また、「グッド!モーニング」では、国防関係者が中国メディアに「月面に武器試験場、軍用ロケット燃料庫とミサイル発射基地を建設する」とより具体的に語ったとしている。


 専門家「日本はアメリカの反応を見過ぎた」
 大阪大学大学院の渡邉浩崇特任講師(宇宙政策史)は、中国は、必ずしも資源・軍事目的だけで月探査を進めているわけではないと言う

 「ヘリウム3と言っても、地球上ですぐにエネルギーとして使えるわけではありません。国際法の宇宙条約では、軍事施設は作らないと決めており、中国がすぐにそのようにする可能性はあまりないと思います。中国はむしろ、科学技術を含めて総合的に国力を高めようとしているとみています」

 たとえ、月面にミサイル基地を作ったとしても、月面から地球に到達するのに1、2日はかかり、地球上から発射する方がメリットはあるという。また、アメリカなどは高度な軍事技術があるので、月面の方が反撃の心配がないということにもならないとみる。

 ただ、中国の月面進出で、日本が遅れを取ったのは事実だという。日本は、2007年に探査機「かぐや」を月で周回させ、13年ごろには後継機を月に着陸させる構想もあったが、それが尻すぼみになった経緯がある。

 「米オバマ政権が火星探査に大きく舵を切ったので、その反応を見過ぎたのだと思います。天体の領有は禁止されていますが、月に探査車などを残した国に優先権が出て早い者勝ちみたいになるのは当然出てきます。日本は、優柔不断でアメリカに頼り過ぎたのでは。経済が悪く、財政が厳しくても、着実に計画を続けていくことが大切でしょう。でないと、インドなどにも出遅れてしまいますよ」(J-CAST 2013/12/16)


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