iPS細胞が染色体異常を修復
 iPS細胞とは、人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells)のことで、体細胞へ数種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞(胚性幹細胞)のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性 (pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のことである。

 iPS細胞の開発により、受精卵やES細胞を全く使用せずに分化万能細胞を培養することが可能となった。 分化万能性を持った細胞は理論上、体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導することが可能であり、ヒトの患者自身からiPS細胞を樹立する技術が確立されれば、拒絶反応の無い移植用組織や臓器の作製が可能になると期待されている。

 今回、「リング染色体」と呼ばれる染色体異常の細胞に、iPS細胞と呼ばれる異常遺伝子を組み込み、そのiPS細胞を分裂増殖をさせようとしたところ、異常がひとりでに修復されて正常な細胞になった。


 この現象を京都大学の山中伸弥教授が参加するアメリカのグラッドストーン研究所のグループが発見した。「リング染色体」は、通常棒状で2本1組となる染色体のうち、1本がリング状になる異常で、発育の遅れやがんなどと関係があるとされる。

 研究グループによると、リング染色体を持つ患者の細胞からiPS細胞を作り、培養したところ、細胞分裂の過程で、リング染色体は死滅する一方、まれに正常な細胞が作られ 、最終的に大半が正常な染色体に置き換わったという。今のところ、細胞が自己修復する仕組みは不明だが、将来的にダウン症など患者数が多い染色体異常もiPS細胞で修復できる可能性があるという。(ANNnews 2014/01/13


 染色体異常が自己修復 iPS細胞で山中教授ら新発見
 染色体に異常を持つ患者の皮膚細胞からiPS細胞(人工多能性幹細胞)をつくると、異常がひとりでに修復されて正常な細胞になる新現象を、山中伸弥京都大教授と米グラッドストーン研究所などのグループが発見した。染色体異常の治療法開発に役立つかもしれない。英科学誌ネイチャー電子版で13日発表した。

 新現象が見つかったのはリング染色体と呼ばれる異常。正常なヒトの染色体は棒状の2本で一対になっているが、この異常では1本が端と端がくっついて輪になる。精神や発育の遅れなどと関係するとされる。治療法は知られていない。

 同研究所の林洋平研究員らは、リング染色体を持つ病気の患者からiPS細胞をつくり、試験管の中で病気を再現しようとした。ところが、できたiPS細胞ではリング染色体が消え、2本とも正常な染色体に変わっていた。細胞が分裂する時、本来なら元と同じリング染色体を含む細胞が二つできるはずが、何らかの理由で偏りが生じて正常な染色体だけの細胞ができたために起きたと考えられている。

 林さんは「予想外の結果で非常に驚いた。リスクもあるが、染色体異常の画期的な治療法につながる可能性がある」としている。(鍛治信太郎 asahi.com 2014年1月13日)


 染色体異常とは?
 染色体異常とは、染色体の構造異常のこと。またはそれに伴う障害。この記事では主に医学的な観点からヒトの染色体異常について解説する。

 染色体の分離や交叉の機能不全は、深刻な疾患を引き起こしうる。これらは大きく二つに分類される。

1.染色体の部分的な異常。通常、交叉の失敗によって引き起こされることが多い。部分トリソミー(重複)、部分モノソミー(欠失)、転座など。

2.異数体(数的異常)と呼ばれる、染色体の不足あるいは過剰による異常。不完全な染色体の分離によって引き起こされることが多い。通常、染色体は2本で対をなしているが、これが1本になるのが「モノソミー」、3本になるのが「トリソミー」、4本になるのが「テトラソミー」、5本になるのが「ペンタソミー」である。ちなみに2本ある正常染色体はダイソミーという。まれに3倍体や4倍体などの倍数体がある。

 染色体には、短腕(p)と長腕(q)があり、例えば5番染色体の片方の短腕が欠失することを5pモノソミーといい、5p-(ごピーマイナス)と表記する。ヒトは22対の常染色体と一対の性染色体を持つ。

 ここでは染色体の数・形態の異常を伴う染色体異常について述べており、染色体の数や形態の異常を伴わない遺伝子の異常による病気は遺伝子疾患に、原因の明らかでない先天奇形症候群は奇形症候群に詳述されている。(Wikipedia)


 染色体の交差とは何か?
 染色体における交差(交叉)または、乗換え(Chromosomal crossover)は、相同染色体の間で起こる部分的交換をいう。普通は減数分裂の際に起こるが、体細胞分裂で起こるものもある。
 乗換えの結果として、同一染色体にある遺伝子の組み合わせの変化、すなわち遺伝的組換えが起きる。 通常の乗換えは、相同染色体の同じ場所(座位)で起き、その結果として過不足なく遺伝子の交換が起こる。一方、交換が異なる座位で起きれば、片方の染色体で遺伝子が重複し、もう片方の染色体では遺伝子が失われる。これは不等乗換えと呼ばれる。

 乗換えは染色体の形態的観察から明らかにされた現象であり、これが遺伝学的現象である組換えに対応すると考えられることが、染色体説の大きな根拠となった。

 ある2個の遺伝子が別の染色体上にあるならば、それらの対立遺伝子は親から子へ独立に受け継がれる(メンデルの独立の法則)。

 しかしこれらが同じ染色体上にあるならば、受け継がれ方は独立ではなく、これらが親と同じ組み合わせ(ハプロタイプ)として受け継がれる確率が高い(遺伝的連鎖)。

 とはいえ、この組み合わせは固定されたものではなくて、他の組み合わせも生じ、その確率は遺伝子によって異なる。このような親と異なる組み合わせが生じる原因が、乗換えによる遺伝子の組換えである。

 このように乗換えの仕組みによって、有性生殖の際に、単なる染色体の混ぜ合わせだけではなく、同一染色体の内部にも遺伝的多様性が生まれることになる。

 2つの遺伝子が染色体上で物理的に離れているほど、その間の組換えの確率が高くなると 考えられ、このデータに基づいて遺伝子地図が作成できる。ただし組換えの起こりやすさは位置によって異なるため、距離のみで決まるわけではない。また、乗換えがあっても組換えが見出されるとは限らない(2つの遺伝子の間で二重に乗換えが起きれば、見かけ上組換えは見られないため)。

 減数分裂の第一分裂前期には、各相同染色体が対合し付着して二価染色体という太い染色体を形成する時期がある。乗換えはこの時期に起きていると考えられている。その後、相同染色体が分離する過程で、それらに含まれる非姉妹染色分体が交差している像がみられ、キアズマ(chiasma)と呼ばれるが、これが乗換えの結果であると考えられている。相同染色体の対合は、乗換えを一つの主要な目的としていると考えられる。(Wikipedia)


参考 Wikipedia: 染色体異常 iPS細胞 


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