マントルは“かんらん岩”でできている
 マントル(mantle)とは惑星や衛星などの内部構造で、核(コア)の外側にある層である。

 地球の場合は、大陸地域で地表約30~70 kmから、海洋地域で海底面下約5km~約2,900 kmまでの範囲を指す。地殻は大陸地殻や海洋地殻といった違いがあるが地表面から地下およそ5~60 kmまでの厚さを有しており、マントルはその下層に位置している。

 地球のマントルはかんらん岩を主成分とする岩石で構成されており、マントル内における化学組成に大きな差異はないものと推測されている。深度が深くなるにつれ、温度・密度ともに上昇するが、特に密度については、鉱物相が相転移することにより不連続に増加する。

 通常は、海底下でも約5km以深の深いところに存在するマントルであるが、激しく大地が変動して山脈ができるところにはマントルが露出することがある。このような岩体はマントルの状態を連続的に調べられる非常によい材料となる。


 マントル「のぞき窓」海底で発見、名はゴジラ
 
今回、日本の最南端・沖ノ鳥島(東京都小笠原村)の南東約700キロ・メートルの海底に、地下のマントルが露出した世界最大のドーム状の岩塊が存在することが海上保安庁や海洋研究開発機構などの調査でわかった。

 ふつうは直接観察できないマントルを見るための「のぞき窓」として、地球内部の仕組みの解明に役立つと期待されるほか、マントルは有用金属や宝石になる鉱物を含むため、新たな海底資源として注目されている。

 発見された岩塊は縦125キロ・メートル、幅55キロ・メートル、高さ(最深部との高低差)約4キロ・メートル。東京都の面積の3倍程度の大きさがある。その巨大さから、まるで海底にいる怪獣のようだとして、海外でも有名な日本の特撮映画から「ゴジラ・メガムリオン(巨大な棒状の岩)」と命名された。

 海底の地殻は通常、溶岩が冷えて固まった玄武岩でできているが、ゴジラはマントルの成分であるかんらん岩などでできていた。約1000万~500万年前の海底の変動で地殻の一部が引きずられるように破れ、内部が露出した場所と考えられている。いわば、「地球の皮がむけた状態」(海上保安庁・小原泰彦上席研究官)。ずれた痕跡とみられる断層も確認した。

 ゴジラの名前は論文にも使用された。これまでに頭、首、尾などと呼ばれる14個の丘が確認されている。(2014年1月11日  読売新聞)


 マントルとは何か?
 マントル(Mantle)とは、地殻の下の厚く連なる、岩石の層。地球の表面から2,900キロメートルまではマントルとよばれる。厚さは半径の45パーセントですが、体積では80パーセントを占める。地球の半分以上はマントルをつくる岩石でできている。マントルをつくっている岩石はかんらん岩で、地殻をつくる岩石とは別のものからできている。

 かんらん岩はカンラン石と輝石(きせき)(単斜輝石と斜方輝石)をおもな鉱物(造岩鉱物)としてできている。その他に、スピネル、ザクロ石、斜長石(しゃちょうせき)を少しふくむことがある。

 火山岩のように結晶してないガラス部はなく、すべて大きな結晶からできている深成岩に分けられる。マントルをつくっているかんらん岩は、おもにダナイト(カンラン石が70パーセント以上のもの)、ウェールライト(単斜輝石とカンラン石からなるもの)、ハルツバージャイト(斜方輝石とカンラン石からなるもの)、レルゾライト(単斜輝石、斜方輝石そしてカンラン石からなるもの)に分けられる。マントルは、ほとんどレルゾライトからできていると考えられている。

 マントルは地殻より深いところにあります。大陸では50キロメートルより深いところにある。海洋でも5キロメートルより深いところにある。このような深いところの岩石は普通は地表ではみられない。しかし、大地の営みによって、地殻がめくり上がり、マントルの岩石が地表に顔をだすことがある。このようなかんらん岩をアルプス型かんらん岩体とよんでいる。

 アルプス型かんらん岩は激しく大地が変動して山脈ができたところにある。日本でも各地でみられる。このような岩体はマントルの状態を連続的に調べられる非常によい材料となる。


 「マグマ」がもたらす「マントル」の一部
 マントルの岩石は捕獲岩としてマグマにもち上げられてくることがある。一番地下深くからくるマグマは、キンバーライトとよばれるダイヤモンドをふくむもの。キンバーライトは普通のマグマと比べると非常にまれなマグマである。ダイヤモンドは炭素(C)が一番高密度に結晶化したもの。地下150キロメートルより深いところでないとできないと考えられている。

 そして、キンバーライトのマグマは、すごいスピードでマントルや地殻をつきぬけて上がっていく。キンバーライトにはかんらん岩の捕獲岩もたくさんふくまれている。普通のマグマはキンバーライトよりたくさんあるが、もっと浅いところでできたものである。マグマがもたらす情報は深いところほど少なくなる。

 マントルは、地震波速度の変化によって大きく三つの層に分けられます。400キロメートルまでの上部マントルと、400~670キロメートルまでの遷移層、670キロメートルから核までの間の下部マントルである。

 このような境界は、マントルの岩石が大きく密度を変化させているところだと考えられている。地球の深部ほど圧力が高くなり、鉱物もより密度の大きいものへと変化していく。400キロメートルでは、上部マントルのカンラン石がもっと密度の大きいスピネル構造の結晶に変化する。670キロメートルでは、カンラン石がペロブスカイト構造の結晶に変化する。


参考 EPACS自然史博物館: 地球のからくり「マントル」 wikipedia:マントル


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