喘息の原因はアレルギー
 先日、どうも鼻がむずむずするなと思ったら、風呂のドアのレール部分や枠部分にカビがびっしりと生えていた。風呂の中は掃除をしてカビに注意していたが、思わぬところにアレルギー源があった。

 家内には喘息がある。アレルギーは喘息の原因になる。ゴホゴホと咳き込むため、のどの病気と思われがちだが、肺までを含めた「気道(特に気管支)」が、慢性的なアレルギー性の炎症を起こしている。

 喘息発作の原因は、ダニやカビ、ほこりなど特定の抗原への過剰な免疫反応(アレルギー反応)によって引き起こされることが多い。

 今回、筑波大学の渋谷 彰 教授らは、抗生物質の服用によって増殖した腸内の真菌(カビ)が喘息を悪化させるメカニズムを世界で初めて解明し、マウスを使った実験により喘息を軽快させることにも成功した。


 抗生物質はわが家でも、よく服用する。それが腸内細菌のバランスを崩し、カビのなかまが増殖するため、体内にアレルギー源ができてしまうとは驚きだ。

 以下は科学技術振興機構(JST)の記事「腸内細菌のバランスの乱れが喘息を悪化させるメカニズム解明」より引用する。


 腸内細菌のバランスの乱れが、喘息を悪化させるメカニズムを解明
 腸内細菌のバランスの乱れがアトピー、喘息、糖尿病などの全身疾患の発症に影響を及ぼすことが大きな注目を浴びているが、そのメカニズムは解明されていなかった。

 JST 課題達成型基礎研究の一環として、筑波大学の渋谷 彰 教授らは、抗生物質の服用によって増殖した腸内の真菌(カビ)が喘息を悪化させるメカニズムを世界で初めて解明し、マウスを使った実験により喘息を軽快させることにも成功した。

 ヒトの腸管内には、500種類以上、100兆個以上の腸内細菌が共生しています。近年、そのバランスが乱れると腸管以外の疾患の発症にも影響を及ぼすことが注目されていますが、そのメカニズムは明らかにされていませんでした。

 本研究グループは、抗生物質を投与したマウスの腸管内で真菌の一種であるカンジダが増殖し、プロスタグランジンE2(PGE2)と呼ばれる生理活性物質を産生することによって肺内でМ2型マクロファージを活性化し、喘息を悪化させることを明らかにしました。

 さらに、抗真菌剤、プロスタグランジンE2の産生阻害剤、あるいはМ2型マクロファージの活性化阻害剤が、これらのマウスの喘息を軽快させることを示し、これまで考えられていなかったアレルギー疾患に対する新しい治療法を開発しました。

 アレルギー疾患の発症は、遺伝的素因や環境要因などさまざまな複合的な因子により発症することが知られていますが、その中には腸内細菌のバランスの乱れによる真菌(カビ)の増殖が原因であるものが含まれている可能性が考えられます。


 研究の内容
 本研究では、腸内細菌のバランスの乱れが、なぜ喘息などのアレルギーを引き起こすのかという疑問を明らかにするために、まずマウスに5種類の抗生物質をそれぞれ2週間経口で投与しました。そのうえで、アレルゲンであるパパインやダニ抗原の吸入により喘息を発症させ、その病態を観察しました。

 その結果、ある種の抗生物質を投与したマウスでは、それ以外の抗生物質を投与したマウスや抗生物質を投与しないマウスに比べ、気道内の炎症が有意に強く、喘息症状がより重篤になることを見いだしました。

 そこで、喘息症状が強く出たマウスとそれ以外のマウスで、腸内細菌の変化の違いを比較しました。その結果、喘息症状が強く出たマウスでは、腸管内で真菌(カビ)の一種であるカンジダが異常に増殖している一方、乳酸菌などの一部の細菌が減少していることを見いだしました。

 これらの結果より、抗生物質の投与によりいわゆる善玉菌が減少し、その結果増殖した悪玉菌であるカンジダが、喘息が重篤化する原因となっていることが推察されました。


 E2というアレルギー源
 次に、腸管内カンジダがどのようなメカニズムで喘息を重篤化させたかについて解析しました。これまで、カンジダなどの真菌は、プロスタグランジンE2と呼ばれる生理活性物質を産生することが知られていました。

 実際に、抗生物質を投与し腸管内にカンジダが増殖しているマウスの血液中や肺の気道内ではプロスタグランジンE2が、抗生物質を投与していないマウスに比較し、およそ2倍程度まで増加していました。

 しかし、マウスに抗真菌剤を投与しカンジダを減少させると、血液中や気道内のプロスタグランジンE2の値は抗生物質を投与していないマウスと同様の値に戻りました。

 また、プロスタグランジンE2を産生できない遺伝子改変マウスにおいても抗生物質の投与により、血液中や肺の気道内のプロスタグランジンE2が増加しました。以上の結果から、カンジダからプロスタグランジンE2が産生され、血液を介して肺まで達していることがわかりました。


 M2というマクロファージ
 さらに、抗生物質によりカンジダが増殖しているマウスの気道内では、炎症を引き起こすタイプのM2型と呼ばれるマクロファージが増加していることを見いだしました。また、抗生物質を投与していないマウスにプロスタグランジンE2を投与すると、気道内でM2型マクロファージが増加し、喘息が重篤化することが確認されました。以上の結果から、プロスタグランジンE2が肺内でM2型マクロファージを増加させていることが判明しました。

 以上の結果をまとめると、以下のようになります。

1) ある種の抗生物質の服用により、腸管内でカンジダが増殖する。
2) カンジダからプロスタグランジンE2が産生され、血液を介して肺に到達する。
3) 肺内でプロスタグランジンE2がM2型マクロファージを増加させる。
4) 増加したM2型マクロファージが喘息などのアレルギー性炎症を悪化させる。

 また、喘息の治療としてカンジダの増殖を阻止する抗真菌剤(5FC)、プロスタグランジンE2の産生阻害剤、あるいはM2型マクロファージの活性化阻害剤(SAP)などを、抗生物質を投与したマウスにそれぞれ投与したところ、いずれにおいても喘息が軽快することが示されました。

 本研究は、抗生物質の投与による腸内細菌のバランスの乱れがアレルギー性疾患を悪化させたメカニズムを世界で初めて解明したものです。


 アレルギー疾患の治療に道
 アレルギー疾患を代表する花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎の罹患率は、それぞれ20%、10%、5~10%と、近年増加の一途を辿っています。

 世界的にもおよそ25%の人がアレルギー疾患に罹患しているとされ、その克服は人類の健康・福祉にとってはもちろんのこと、社会的にも喫緊の課題です。

 アレルギー疾患の発症は、遺伝的素因や環境要因など、さまざまな複合的な因子により発症することが知られていますが、その中には腸内細菌のバランスの乱れによる真菌(カビ)の増殖に起因するものが含まれている可能性が考えられます。

 これらの患者では、上記の抗真菌剤、プロスタグランジンE2産生阻害剤、あるいはM2型マクロファージ活性化阻害剤などが効果を示すと考えられます。

 また、真菌の増殖がなくとも、種々の炎症などによってプロスタグランジンE2が炎症組織から産生されることが知られていますので、アレルギーによる炎症自体でもプロスタグランジンE2が増加し、これがM2マクロファージを活性化し、悪循環によってさらにアレルギーを増悪させている可能性も疑われます。

 このような患者ではプロスタグランジンE2産生阻害剤が有効である可能性もありますが、一方でプロスタグランジンE2阻害剤自体が喘息を引き起こすことも知られているので、さらなる研究が必要です。また、M2型マクロファージ活性化阻害剤なども効果を示すと考えられます。これらは、これまで全く知られていなかった新しい発想のアレルギー疾患の有用な治療法となりうるものと考えられます。(JSTプレスリリース・筑波大学)


 喘息ってどんな症状(何が原因)?
 喘息は、ゴホゴホと咳き込むため、のどの病気と思われがちですが、肺までを含めた「気道(特に気管支)」が慢性的なアレルギー性の炎症を起こしている「気道」の病気です。気道とは、平滑筋という筋肉で囲まれ、粘膜で覆われている空気の通り道です。炎症によって敏感になった気道が様々な刺激に対して反応して狭くなることによって、咳や喘鳴などの症状が発現します。この症状が発現した状態を「発作」と呼びます。 .

 喘息患者の気道は、持続する炎症により、上皮が傷つき、様々な刺激に対して敏感になっています。また、粘膜がむくみ、たんも増えるので空気の通り道が狭くなっています。発作の時は気道の筋肉が収縮してさらに息が苦しくなります。

 喘息発作は、ダニやほこりなど特定の抗原への過剰な免疫反応(アレルギー反応)によって引き起こされる場合やアレルギー反応以外の因子によって引き起こされる場合があります。


 喘息の治療法
 喘息の治療ではその原因を特定し、原因を除去することが重要です。

 アレルギー検査を行い、アレルゲンが特定されればそれを除去します。たとえば、ネコがアレルゲンだと分かったら、ネコに近づかないような生活をします。アレルゲンが特定されない場合は、発作が起こった状態をなどから原因を推測し、できるだけその原因を遠ざけるような生活をするようにします。 喘息になってしまうと、完治させることは難しい場合が多いですが、薬によってうまくコントロールすれば発作を起こりにくくすることもできるほか、改善してくれば薬を飲まずに経過を見るということも可能です。

 喘息患者の場合、発作が起こっていなくても、気道は常に炎症状態にあります。したがって、その慢性の炎症を鎮める「長期管理薬」と、発作が起こったときや起こりそうなときに使う「発作治療薬」という2種が用いられます。

 長期管理薬で主に用いられるのは吸入ステロイド薬。ステロイドというと副作用があるのでは?と不安に感じるかもしれませんが、吸入することで気道に直接届くうえに、全身への作用が少なくなっているため、長期間の使用にも適しています。発作が起きなくなったから…と勝手にやめてしまうと、再び悪化してしまうことも。薬の服用は医師の指示をきちんと守ることが大切です。


参考 科学技術振興機構: 腸内細菌のバランス 健康大人: 大人の喘息 ぜんそくナビ: 喘息ってどんな病気?


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