あたたかな海が生命をはぐくむ
 火星には生命がいるのだろうか?キュリオシティや、オポチュニティが、現在も調査を続けている。その結果、かつて海が存在したことが確実になっている。海があったのならば生命が存在した可能性がある。

 生命にとって水は欠かせない。水が大量に存在する天体は太陽系にまだ存在する。それが、木星の衛星、エウロパそして土星の衛星、エンケラドスだ。これらの衛星は、水が存在するだけではなく、衛星がもつ熱のために液体の海が存在しており、驚いたことに生命存在の可能性がある。

 太陽からの距離は関係がない。地球でも太陽の光がなくても、深海の熱水噴出口の周りでは、豊かな生物相が存在するからだ。

 今回、準惑星ケレスにも、海の存在する可能性が発見された。ある氷の火山または氷の塊から水が噴き出している可能性があると、国際的な天文学者チームが発表した。これにより、太陽系の小惑星帯最大の天体にして最小の準惑星であるケレスに、生命が存在するのではないかとの期待がにわかに高まっている。


 準惑星ケレスに水蒸気、ESAが観測 
 ケレスに初めて水蒸気が観測されたという発表は、一躍この準惑星を太陽系で最も興味をそそる天体の1つに押し上げた。

 同様の関心を集める天体にはほかに、氷に覆われた木星の衛星エウロパと土星の衛星エンケラドスがあり、これらの天体において観測されている水蒸気流(プルーム)は、氷の表面の下に水があり、そこに地球外生命が存在する可能性を示唆している。

 「ケレスも氷でできた天体であり、表面下に海が存在する可能性がある」と、欧州宇宙機関(ESA)の天文学者で、今回の研究を指揮したミハエル・キュパース(Michael Kuppers)氏は述べる。

 ケレスに水が存在する間接的証拠をつかむ試みは、ケレスが地球からは暗くて観測しづらいためにこれまで成功していなかった。今回、水蒸気が観測されたことは「少なくとも私にとっては非常な驚きだ」と、キュパース氏は電子メールでの取材に対して述べている。


 生命の存在可能性は?
 1801年から観測されているケレスは、直径わずか950キロという小さな準惑星だが、太陽系の小惑星帯の中では最大の天体だ。

 火星と木星の間に位置するケレスは、太陽からの距離が約4億1900万キロと、地球の約2.8倍太陽から離れている。最新研究の結果は、ケレス表面の少なくとも2カ所から、水蒸気が薄い大気中に放出されていることを示唆している。

 研究チームによると、ESAのハーシェル宇宙望遠鏡が2011~2013年に行った観測において、ケレスが赤道付近の表面2カ所から、毎秒約6キロの水を放出している形跡がみられたという。

 「とても心躍るニュースだ」と、カリフォルニア州パサデナにあるNASAジェット推進研究所(JPL)のキャロル・レイモンド(Carol Raymond)氏は述べる。レイモンド氏は、2015年にケレスに接近予定のNASAの無人探査機ドーンの副研究主任を務める。「ケレスは、太陽系において地球外生命の存在が期待できる場所の1つと考えてよさそうだ」。


 彗星か間欠泉か
 
水蒸気が観測されたのは、公転周期4.6年のケレスが太陽に最も近づく位置(近日点)にあった時期だとキュパース氏は述べる。

 このタイミングから考えられるのは、彗星が太陽に近づくと温められて尾を引くように、太陽に近づいたケレス表面の氷から水蒸気が出て、宇宙空間に昇華したのではないかということだ。

 「ケレスの大気は地球と異なり、重力も小さいため、ほとんどの水は宇宙空間に逃れ出てしまう。その点ではより彗星に近い」とキュパース氏は述べる。「安定した大気が存在するとは思えない」。

 一方、NASAのレイモンド氏は、探査機ドーンがケレスに到達した際には、この準惑星に彗星のような氷の塊ではなく、水を噴き出す間欠泉(“氷の火山”と呼ばれる現象)が存在することを期待している。それだと探査機は間欠泉が噴き出すプルームの中を通過し、成分を分析できるためだ。氷の塊では、中を通過することはできない。

 ドーンがケレスの周囲を回り始める時期には、ちょうどケレスが太陽から最も遠ざかる(遠日点)位置の付近にある。ケレスが太陽に近づいたときだけ水を噴き出しているとすれば、ドーンのチームが期待するような間欠泉のショーは拝めないだろう。

 しかし、たとえ間欠泉が存在したとしても、今回の研究結果から、あまり勢いは強くないと考えられる。「霧吹きのようなプルームだろう」とレイモンド氏は述べる。

 ESAのキュパース氏は、ケレスが遠日点付近にあったときに行われた過去の観測では水蒸気が確認されなかったことから、ケレスには彗星のような氷の塊が存在する可能性のほうが高いとみている。


 ケレスを温めるしくみは謎
 ケレス内部にはおそらく間欠泉を温める機構が存在せず、エウロパやエンケラドスといった衛星のように潮汐応力によって熱せられることもない。またキュパース氏は、ケレス内部に海が存在するという考えも、現時点では推測にすぎないとしている。

 「何が見つかるにせよ、ケレスの探査は刺激的なものになるだろう」とNASAのレイモンド氏は述べる。

 ドーンによる探査ではとりわけ、今回の研究で見つかった水蒸気の放出源を詳しく特定しなければならない。今後、エウロパやエンケラドスにも探査機を送る案が出ているが、ケレスのほうがそれら衛星よりはるかに地球に近いと、レイモンド氏は指摘する。

 例えば、先ごろパーデュ大学の工学チームが発表した宇宙飛行に関する研究では、ケレスに宇宙飛行士を送る場合、110日間のケレス滞在を含めた2年間の飛行計画は、火星への有人飛行に比べて困難さに大きな差はないとの分析結果が出ている。

 それに、ケレスなら飲み水には不自由せずにすみそうだ。今回の研究成果は、1月22日付で「Nature」誌オンライン版に発表された。(Dan Vergano, National Geographic News January 23, 2014)


 エウロパの海
 表面は少なくとも厚さ3km以上の氷で覆われており、所々にひび割れが走っている。イオの次に木星に近く、公転周期がイオの2倍、ガニメデの半分という軌道共鳴の状態にあるため、強い潮汐力の変動に晒されている。その潮汐力で発生する熱によって表面の固い氷層の下は深さ数十から百数十kmにわたって氷が融け、シャーベット状ないし液体の海になっており、地球の海洋深部にあるような熱水噴出孔も存在すると考えられている。生命が存在する可能性も示唆されている。

 内部海の存在は、内部の熱的状態に関する理論的計算によって1970年代には既にそれを予想する説が出されていた。1990年代に行われたガリレオによる調査では、エウロパの表面に氷が一度割れて再び固まったような地形が発見され、海の存在を強く想起させるものとして注目を集めた。

 地球深海の熱水噴出孔の付近では、ジャイアントチューブワームなどの多細胞生物が発見されている。太陽に依存しないエネルギー源としての可能性が熱水噴出口にあり、エウロパの氷に覆われた海は南極のボストーク湖に近い環境であると推測されており、生命が存在する可能性が指摘されている。

 そのような環境に存在する生命は、地球の深海に存在する生命に近いものであると推測される。エウロパにおける生命の存在はまだ確認されていないが、水の存在は、探索のための大きな動機となっている。


 エンケラドスの海
 エンケラドスは、直径は平均500キロメートルほどで、土星の衛星としては6番目に大きい。表面は反射率が高く、比較的新しい氷で覆われている。

 2005年3月ごろ、エンケラドスに接近したNASA/ESAの無人土星探査機カッシーニが、エンケラドスに極めて微量の大気を発見した。大気の成分は水蒸気と見られている。しかしエンケラドゥスは重力が小さく、大気はすぐに宇宙に逃げてしまうため、火山か間欠泉などの大気の安定した供給源があるものとみられる。同じく木星の衛星のイオや、海王星の衛星トリトンには火山噴出物による微量な大気が観測されている。

 最近のカッシーニの観測により、エンケラドスの南極付近の表面で活発な地質活動をしている証拠と思われるひび割れが見つかり、"Tiger Stripes"と名づけられた。エンケラドスの表面はこのひび割れから噴出する新しい氷によって絶えず塗り替えられていくと考えられている。

 さらにひび割れから噴出しているものが氷の粒子および水蒸気であり、地下に液体の水が存在し貯水池のような役割を果たしている可能性があることをNASAの研究者が発表した。この地質活動を起こす熱源は不明であるが、内部の放射性物質の崩壊や、潮汐力によるエネルギーなどが考えられている。

 エンケラドスには液体の水、有機炭素、窒素など生命を形成するのに必要とされる元素などが見つかっている。エンケラドスは氷火山活動も観測されており、その付近には液体の水が大量にある可能性が高いと考えられる。地球でもメタン(CH4)を餌にする「メタン菌」の存在が知られており、エンケラドスにメタンやアセチレン(C2H2)といった有機物があるのなら、それを餌にして微生物が生存できる環境にあると考えられる。


参考 Wikipedia: エウロパ エンケラドス National Geographic : 準惑星ケレスに水蒸気、ESAが観測


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