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週刊 サイエンスジャーナル  2014.2.23

災害時に使用可能な人工透析メッシュ開発!ナノファイバー(EVOH)で尿毒素除去

 腎不全とは、いろいろな原因で長期にわたって徐々に腎臓のはたらきが低下していく状態をいう。はたらきの落ちている程度によって、軽いほうから腎機能障害、腎不全、尿毒症に分類される。正常の2分の1以下に落ちている段階あたりから慢性腎不全という。

 透析とは、腎臓病のために腎臓の働きがいちじるしく低下し、体内の余分な水分や、老廃物などを、体外に出すことができなくなった患者さんのための治療法。腎臓の代わりとなる透析装置を使って、老廃物などがたまった血液をきれいにし、余分な水分を取り除く。日本は、世界の中でも最も透析の普及率が高い国。

 現在、透析療法を受けている患者さんの数は約30万人で、その数は年々増加している。増加の原因の背景には、患者さんが高齢化していることと、糖尿病が原因の腎不全(腎臓が機能しなくなること)が増えていることが考えられる。透析療法には「血液透析」と「腹膜透析」があるが、現在の日本では、96%以上が血液透析。

 今回、慢性腎不全患者の血中に含まれる尿毒素の一つ「クレアチニン」を選択的に除去できるナノファイバー・メッシュの開発に、物質・材料研究機構「国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)」の荏原充宏・MANA研究者と滑川亘希・博士研究員らが成功した。

 吸着能をもつゼオライトを含んだナノファイバーを加工した不織布で、血液をろ過することでクレアチニンを除去する。災害時の携帯型透析装置の開発に応用が期待されるという。 サイエンスポータル

人気のハイブリッド!H+,Na+のどちらでも動くハイブリッド分子モーター作製!

 燃費の良いハイブリッドカー(Hybrid car)が人気だ。街を走っている車を見ても、フィットやプリウスの数が多くなっているのがわかる。

 最近では値段もお手頃で、一般庶民でも乗りやすくなってきた。ガソリン車では月に1・2回は満タンにするところ、ハイブリッド車では、2~3ヶ月に1回で済むのが魅力だ。

 ハイブリッドカーは、エンジンと電気モーターの2つの動力源を持つ自動車。略称はHV (Hybrid Vehicle)。ハイブリッドカーはエンジンと電気モーターの2つの動力源を持ち、車種によって違いはあるものの、走行条件によって、モーターのみで走行、エンジンのみで走行、モーターとエンジンを同時に使用して走行する。

 ガソリンでも電気でも、バランスよく走行できる技術は、よくできている。ところがこの技術、クルマだけが持つシステムではなかった。  法政大学の曽和義幸(そわ・よしゆき)専任講師らが、大腸菌のべん毛を水素イオンとナトリウムイオンの両方で動かすことに、初めて成功し、2月17日の米国科学アカデミー紀要オンライン版で発表した。
マイナビニュース

どうする?火力発電のCO2 産総研、CO2吸着能に優れた多孔質吸着体を開発

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 CCS技術とは二酸化炭素回収・貯蔵技術のことである。 英語で「Carbon dioxide capture and storage(CCS)。原発が十分に稼働できない日本では、火力発電にたよっており、排出する温室効果のあるCO2を回収する技術は重要だ。  二酸化炭素の具体的な回収方法は、火力発電所や鉄工所などCO2排出量の多い所で「アミン法」という化学吸収法を実験しており、現在発生するCO2のうち97%まで回収することに成功。以前は80%であった。

 「アミン法」と、空気ではなく酸素だけで燃焼する「酸素燃焼法」を使えば二酸化炭素だけを効率よく回収することができる。課題としては、アミン液を再利用するときに120℃程度に再加熱するのにコストがかかる点である。

 このため近年、化学吸収法に替わる、省エネルギーで安全かつ低コストの革新的なCO2分離回収技術が世界的に求められている。

 これまで、活性炭やゼオライトなどの多孔質吸着体を用いたCO2の吸着分離法が検討されているが、CO2吸着量が不十分、耐久性が低いなど、エネルギーが比較的大きいといった問題があり、より優れた吸着能を持つ新しい多孔質吸着体が求められていた。 今回、産業技術総合研究所(産総研)は2月13日、セリウムの酸化物を用いて、優れたCO2吸着能を示す多孔質吸着体を安価で簡単に合成する技術を開発したと発表した。
マイナビニュース

大雪後未だ残る雪の山、物流などに影響!融雪剤で溶かせないか?

 2月14日、関東甲信地方で降り出した雪は次第に降り方が強まり、14日夜遅くから15日未明頃をピークにして、降り積もり、記録的大雪になった。ここ湘南でも、あれから6日ほど経つのに道にまだ雪の山が残っている。こんなことはこれまでなかった。

 大雪による物流の乱れは4~5日続き、東名高速道路など関東圏との大動脈が機能せず、自動車工場では一部で生産を停止したほか、食料品の調達が遅れるコンビニなどが相次いだ。

 山梨県の甲府では114センチを記録、これは観測史上1位の積雪となり、特に甲府・前橋・熊谷では過去120年ほど続く観測の歴史の中で最大の積雪。「歴史的」と言っても良いほどの記録的な大雪になった。

 しかも、この雪は、約1日程度で急速に降り積もった。甲府では、14日未明には2センチだった積雪が15日明け方には1メートルを突破。わずか24時間ほどの間に1メートルもの雪が降った。これは、雪の多い北日本日本海側や北陸でもそう頻繁にある降雪ではない。

 たしかに、交通やそれに伴う物流など都市機能が麻痺してしまうレベルの大雪だった。現在まだ、1都5県で386世帯1542人が孤立化している。しかし残念なことに、記録的・歴史的な降雪や積雪にもかかわらず、大雪特別警報が気象台から出されることはなかった。

 未だに道ばたに山になっている雪。交通の妨げにもなっている。この雪早く溶かす方法はないのだろうか?調べてみると、融雪剤としては、塩化カルシウムなどが使われており、融点を降下させたり、融解熱で雪や氷を融雪するメリットがあるという。 National Geographic news

沖縄で旧石器時代の貝器発見!日本人の起源と港川人の関係

 アフリカで形成された人類集団の一部が、5~6万年前までには東南アジアに渡来。アジア大陸に進出した後期更新世人類は北アジア(シベリア)、北東アジア、日本列島、南西諸島などに拡散した。シベリアに向かった集団は、少なくとも2万年前までには、バイカル湖付近にまでに到達し、寒冷地適応を果たして北方アジア人的特徴を得た。

 日本列島に上陸した集団は縄文時代人の祖先となり、南西諸島に渡った集団の中には港川人の祖先もいた。1970年、沖縄県八重瀬町で国内最古の全身骨格・港川人みなとがわじん(1万8000年前)が発見される。この港川人を縄文人の祖先とする日本人のルーツ論がある。

 今回、沖縄県立博物館・美術館は、同県南城市のサキタリ洞遺跡で、約1万9000年~1万6000年前(後期旧石器時代)の、貝を加工した道具「貝器」が出土したと発表した。同時代の「貝器」の発見は国内初。同館は沖縄に独自の貝器文化が存在していた可能性が高いとみている。

 南東1.5キロで発見された国内最古の全身骨格・港川人みなとがわじん(1万8000年前)は同時期。この港川人を縄文人の祖先とする日本人のルーツ論が有力だったが、本土の石器文化と違う貝器文化が存在したことは、この論に見直しを迫るものとなる。(2014年2月15日 読売新聞) 読売新聞

天体の成分をキャッチ!アルマ望遠鏡が原始惑星系円盤の星間物質を分析

 宇宙空間は、まったく物質の存在しない真空状態のように思われるが、実際には、全体にわずかながら「星間物質」と呼ばれる物質が漂っている。

 星間物質の質量比は、水素が約70%、ヘリウムが約30%で、残りが珪素・炭素・鉄などの重元素となっている。水素、ヘリウムは星間ガスとよばれ、重元素は宇宙塵とよばれる。

 星間ガスは、中性水素ガスや電離水素領域(HII領域)、超新星残骸や惑星状星雲、暗黒星雲、散光星雲、分子雲などとして観測される。

 今回、東京大学は、およそ460光年彼方の原始星で、周囲のガスが原始惑星系円盤に取り込まれる際に組成が大きく変化するようすをとらえた。

 星は、宇宙に漂うガスと微粒子が集まることで生まれる。生まれたばかりの星(原始星)の周りにさらに降り積もったガスや微粒子は、星を取り巻く円盤(原始惑星系円盤)となり、この中でやがて惑星が生まれる。

 研究チームは、おうし座方向にある原始星L1527を取り巻くガスの動きや温度をアルマ望遠鏡で調べた。 その結果、星の周囲のガスが円盤に取り込まれていく過程で局所的に加熱され、大きな化学変化を引き起こしていることがわかった。

 原始惑星系円盤の形成においてこれほど化学組成が変わることが発見されたのは今回が初めてのことで、アルマ望遠鏡の高い解像度と感度がもたらした成果である。 マイナビニュース