週刊 サイエンスジャーナル  2014.6.15号

ミュオンがとらえる新しい世界!ミュオグラフィー、非破壊元素分析法とは何か?

 ミュオンというと、素粒子標準模型における第二世代の荷電レプトンである。ミュー粒子(ミューオン)ともいう。発見当初はその質量が湯川秀樹によって提唱された核力を媒介する粒子である中間子と非常に近かったため、ミュー中間子と呼ばれていた。

 しかし、ミュー中間子は核力を媒介しないことが分かり、中間子の性質を持たないことが判明した。1942年、坂田昌一、谷川安孝および井上健は、中間子とミュー粒子は別種であり、中間子はミュー粒子より重く、中間子が自然崩壊してミュー粒子に変化するという二中間子説を提唱した。

 1947年、セシル・パウエルらによりパイ中間子が発見されたことで湯川の中間子説および二中間子説が正しいことが証明され、湯川秀樹はノーベル物理学賞を受賞した。

 ミュー中間子は1947年にミュオンと改名され、現在ではミュー中間子という旧称はほとんど使用されない。

 最近では 物質を透視して観測する方法として素粒子ミュオン(ミュー粒子)が各分野で注目されている。東京大学地震研究所の田中宏幸准教授は、2006年、浅間山の内部構造を映し出すことに成功。その実験で初めて、マグマの通り道が山の中心より北側に寄っているという事実が明らかになった。

 今回、ミュオンビームで、数mmの厚さがある隕石模擬物質の軽元素(C、B、N、O)の非破壊深度分析、有機物を含む炭素質コンドライト隕石の深度70μm、1mmにおける非破壊元素分析に、大阪大学理学研究科の寺田健太郎教授らの研究チームが初めて成功した。

 ミュオンは高い物質透過力を持ち、電子より試料の奥深くまで侵入できる。人類がミュオンで物質を透視する新しい“眼”を得たといえる。
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