キュリオシティの活躍続く

 キュリオシティは、2011年11月26日、アトラス Vによりケープカナベラル空軍基地から打ち上げられたNASAの火星探査機。2012年8月6日、火星のゲールクレーター内にあるアイオリス山(Aeolis Mons)のふもとに着陸した。

 2004年に火星に降り立ったマーズ・エクスプロレーション・ローバー (MER)(スピリットとオポチュニティ)の5倍の重量があり、10倍の重量の科学探査機器を搭載している。

 火星に着陸後、キュリオシティは火星表面の土と岩石をすくい取り、内部を解析する。最低でも、1火星年(2.2地球年)は活動する予定であったが、2014年7月16日現在も活動中である。これまでのローバーよりも広い範囲を探索し、過去と現在の火星における、生命を保持できる可能性について調査する。



 キュリオシティが見る火星の鉄隕石「レバノン」

 その火星を探査中の「キュリオシティ」が、幅およそ2mの隕石を発見した。過去の探査車が見つけたのと似たような鉄隕石で、「レバノン」と名付けられた。

 NASAの火星探査車「キュリオシティ」が、幅およそ2mの鉄の隕石を見つけた。この隕石は「レバノン」、そのそばにある小型の隕石は「レバノンB」と名付けられている。

 レバノンの形状や表面は、過去に先輩探査車「スピリット」や「オポチュニティ」が見つけたものと似たような性質のものだ。隕石表面に見られる角ばった形状の空洞は、内部の金属の結晶境界に沿った浸食か、あるいはかんらん岩の結晶が抜け落ちた跡という可能性がある。かんらん岩の結晶は、「パラサイト」と呼ばれる石鉄隕石の岩石質部分として含まれるものだ。パラサイトは、小惑星の核とマントルの境界付近で形成されると考えられている。

 地球で採集される隕石でも鉄隕石はありふれているが、石質隕石に比べると数は少ない。一方、火星でこれまで見つかった数少ない隕石のほとんどは鉄隕石で、これは火星の浸食プロセスに対する鉄の耐性によるとみられる。(NASA)


 火星で最大の隕石を発見

 火星で隕石が発見されたのはこれが初めてではない。2009年8月、NASAの無人火星探査車「オポチュニティー」が、火星探査史上最大の隕石を発見した。大きな隕石がばらばらにならずに残った理由は、落下時の火星が厚い大気に覆われていたからだと考えられている。

 今年7月末に無人火星探査車「オポチュニティー」がメリディアーニ平原で撮影した画像に、周囲とは異なる青っぽい色をした岩石がとらえられていた。NASAの火星探査車チームは、すでに先に進んでいたオポチュニティーを戻し、岩石を分析したところ、隕石であることが明らかとなった。

 「ブロック・アイランド(Block Island)」と名づけられたこの隕石は、幅約60cm、高さ約30cmもある。これほどの大きさの隕石が衝突でばらばらにならないためには、火星の大気が現在よりももっと厚く、ブレーキをかけなければならないという。

 火星探査車チームの一員で、NASAのジェット推進研究所のMatt Golombek氏は、「火星のどこかに蓄積されていた二酸化炭素の氷が、比較的最近の気候サイクルの暖かい時期に蒸発して大量のガスを大気中に供給しているか、ブロック・アイランドの落下が数十億年前であるか、いずれかでしょう」と述べている。

 オポチュニティーの腕の先に搭載されたアルファ粒子・X線分光器(APXS)の主任研究員をつとめている、カナダ・グエルフ大学のRalf Gellert氏は、X線を照射して元素の種類や量を知ることができるAPXSの分析結果から、隕石が鉄・ニッケル隕石に間違いないと話している。

 また、オポチュニティーがとらえた画像でも、地球上で発見される鉄・ニッケル隕石と同じ網目状の模様が表面に見られた。この模様について、米・スミソニアン協会のTim McCoy氏は、「通常、この模様は隕石を切断して、切断面を磨いて、さらに酸で腐食させると現れます。また時々、隕石の表面が砂を含んだ砂漠の風によって侵食された場合にも見られます」と話している。

 なお、オポチュニティーは2004年にも鉄・ニッケル隕石を発見しているが、ブロック・アイランドの大きさはその10倍もある。

 研究チームでは、今後もブロック・アイランドの模様や色が特徴的な部分を調べ、隕石の表面が受けた変化から、隕石落下以降、火星の気候がどうだったのかを知る手がかりを得たいとしている。(2009年8月12日 NASA)


 鉄隕石はどこからやってくる?

 鉄隕石は、隕石の中でも鉄やニッケルのような金属でできた隕石だ。ニッケルっていうのは、聞いたことがない人もいるかもしれないけど、鉄に似ていて磁石にくっつく性質を持つ金属だ。

 鉄隕石の他に、地球の岩石のように珪酸塩でできた石質隕石、鉄やニッケルと珪酸塩の両方を含む石鉄隕石などがあるんだけど、一番多いのが石質隕石だ。

 鉄隕石は、惑星になりかけた比較的大きな小惑星が衝突によって壊れた破片の一部だと考えられているょ。大きな小惑星の内部は熱く、熱によってどろどろに溶けるんだ。もともと鉄やニッケルと珪酸塩の両方を含んでいるんだけど、溶けるとより重い鉄やニッケルが中心部に沈み、より軽い珪酸塩が外側に残る現象が起きる。

 この現象を分化っていう。分化が起こった大きな小惑星が壊れてバラバラになると、外側の部分は珪酸塩が多い破片に、中心部は鉄やニッケルが多い破片になる。そしてその鉄やニッケルを多く含む中心部の破片が地球にやってきたものが鉄隕石だ。

 地球にもたくさんの隕石がいつもやってきているのと同じように、火星にもたくさんの隕石がやってくるのは当たり前のこと。それに火星の隕石を詳しく調べるくらいなら、地球の隕石を詳しく調べた方がいいよね。だって同じ隕石なんだから。

 今回の隕石の発見が注目されているのは、これまで火星で調べられてきた岩石の中に実は石質隕石が含まれていた可能性があることがわかった。石質隕石の方が鉄隕石よりも多いからね。それに、こうした隕石を調べれば、火星表面に落ちてきた後に隕石がどのような風化を受けたのかがわかる。


 火星隕石と火星の隕石

 今回発見されたのは火星の隕石であるが、火星隕石というものもある。

 火星隕石は火星起源で地球に落下した隕石である。火星に他の天体が衝突した結果、放出されたとされている隕石である。地球で発見された数千個の隕石の内、34個の隕石が火星起源だとされている。その多くは2000年以降に発見された。火星起源であることを示す多くの研究結果がある。石質隕石としては球粒の見られないエイコンドライトに分類される。

 1983年に、M.R.スミスらがいわゆるSNC隕石グループ(シャーゴッタイト、ナクライト、シャシナイト)が隕石の放射線分析の結果、火星起源であると示唆した。これらの結果はTriemanらによっても確認され、1983年末、D.D.ボガードらによってシャーゴッタイトに分類される エレファント・モレインA79001に含まれる希ガスの存在比率が、1970年代にバイキング計画の結果得られた火星の大気の組成とにていることを発見した。

 34個の火星隕石はシャーゴッタイトに分類されるものが25個、ナクライトが7個、シャシナイトが2個である。その他に1980年にイエメンに落下したカイドゥン隕石は火星の衛星フォボスに起源があるとされている。

 SNC隕石グループの大部分は地質学的年代は若く、火星の火山活動が数百年まであったことを示し、宇宙線の結果からは宇宙空間にあった時間も比較的短かったことが示されている。火星から飛んできたとされるいん石が地球上で見つかっている。


 火星から来たと考えられるSNC隕石

 月は近い天体ですが、いくら隣の惑星とはいえ火星から本当に飛んできたのでしょうか?まるでSFの世界の話のようにも思える。しかし、科学的な証拠を積み上げていくと、確かに火星から飛んできた、と考えざるを得ない。そして、火星の石を直接手にとることのできない今、火星の地質や進化の過程を教えてくれる唯一の物質になっている。

 SNC隕石が火星から来たという証拠は、1.それぞれの生成年代が13億年前後であること、2.宇宙空間にあって宇宙線の照射を受けていた時間が短いこと、3.地球のような大きな重力の元で生成された組織を持つこと、4.さらにSNCいん石にはマグマに水を含む環境であったこと、磁鉄鉱など酸化された鉱物が含まれていることから大気のある環境であったことがわかってきた。

 このような条件を満たす母天体として火星は有力な候補だが、隕石が少なく、はっきりしたことはわからなかった。1979年南極で発見されたEET79001いん石はSNC隕石のシャーゴッタイトに分類されました。その鉱物の中に閉じこめられていた希ガスを分析しところ、バイキング着陸船の火星大気成分の分析結果と一致したのです。これによってSNC隕石が火星起源であることが明らかになった。

 ただひとつ、4 5億年前の生成年代でありながら火星隕石とされる例外がある。それは、ALH84001隕石で、原始生命の痕跡がある、と発表されて有名になったいん石。


 火星隕石に生命の痕跡?

 隕石に生命が存在したことを立証する証拠は3つある、とされている。1.隕石に含まれるPHA(多環式芳香族炭化水素の存在PHAは、微生物が死滅した後、化学変化を起こしてできる有機物。このPHAは地球起源のものではない、とされた。

 2.隕石には磁鉄鉱と磁硫鉄鉱の存在炭酸塩の微少な粒子の中に磁鉄鉱と磁硫鉄鉱を含む。これらの鉱物は、地球の原始的なバクテリアによって生み出された鉱物に非常によく似ている。

 3.高解像度走査電子顕微鏡で見つけた小さな「卵形」(20~100ナノメーター)バクテリアの化石の存在下の写真のような卵形あるいはチューブ型をした微化石のようなものが発見され、生命が存在した根拠とされた。

 これらに対する反論は、それぞれの証拠とされるものは生物の生理的な反応に限らず、生成可能であるということ。それに対し、2000年12月、いん石内部から新たに磁鉄鉱の結晶を発見した、と発表があった。走磁性細菌という種類の細菌が残したものという。もちろんこれにも反論がなされており、これからも火星生命の謎解きが熱く続けられていく。


参考 平塚博物館: 火星から来たSNC隕石 アストロアーツ: 火星の最大の隕石 キュリオシティが見る火星の鉄隕石「レバノン」


生命はどこから来たのか? アストロバイオロジー入門
クリエーター情報なし
文藝春秋
隕石と宇宙の謎 (別冊宝島 1999 スタディー)
クリエーター情報なし
宝島社

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