光より速いものは存在するのだろうか?

 2011年9月23日CERNで、観測したニュートリノが光速より速かったという実験結果が発表された。「国際研究実験OPERA」のチームが、人工ニュートリノ1万6000個を、ジュネーブのCERNから約730km離れたグラン・サッソのイタリア国立物理学研究所研究施設に飛ばしたところ、2.43ミリ秒後に到着し、光速より60.7ナノ秒(1億分の6秒、ナノは10億分の1)速いことが計測された。

 1万5000回の実験ほとんどで同じ結果が示された。この発表は「質量を持つ物質は光速を超えない」とするアインシュタインの特殊相対性理論に反するため世界的な論争を呼んだ。光より速い物質が存在しないのは、粒子を光速にまで加速するためには無限のエネルギーが必要だということが理由だが、もしこの実験結果が本当だった場合、このニュートリノはエネルギーを必要としない何らかの相転移で超光速になってまた戻ったとする仮説なども考えられた。

 その後、ニュートリノの到着側で地上と地下の時計をつなぐ光ケーブルの接続不良やニュートリノ検出器の精度が不十分だった可能性が見つかったため、2012年5月、実験不備を解消した上で再実験を行った。結果、ニュートリノと光の速さに明確な差は出ず実験結果を修正、6月8日にニュートリノ・宇宙物理国際会議で「超光速」の当初報告の正式撤回を発表した。



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