恋愛ホルモン!心を癒やすオキシトシンの効果と増やし方

 オキシトシンは、母らしさや授乳を促すホルモンだとみなされていた。しかし、どうもそれだけではないようだ。

 いまやオキシトシンには、広範囲な協調作用があると推測されている。いったいその正体は何なのか?

 ヒツジの親子が出てくる番組で、ヒツジには出生後の約1時間が母ヒツジと子ヒツジの「絆の形成」に大きくて、この1時間のあいだに母子が引き離されると、しばしば母ヒツジが授乳を拒否する。



 ところが1時間をかなりすぎても、母ヒツジに「あるもの」を注射すると自分の子を受け入れるようになるだけではなく、あら不思議、ほかのメスの子も受け入れるようになる。

メスのラットでも同じように「あるもの」をほどこす場面があって、ラットは自分の子だけでなく、他の赤ちゃんラットの面倒をみるようになる。その「あるもの」によってラットが群れあう傾向も強くなっている。

 人の場合でも、男と女が半ばシルエットの裸で出てきて濃密なキスをしたり、触れ合う。そんなとき、セクシャルにしている男女の血液中には「あるもの」が濃く放出されているという、そのデータが示される。オルガスムスによってその「あるもの」が大量に放出されているとの説明があった。

 それが、オキシトシン(Oxytocin)である。オキシトシンは、脳下垂体後葉から分泌されるホルモンの一種で、愛情ホルモンとも呼ばれている。血液へと放出されたオキシトシンは、体中の臓器に存在するオキシトシン受容体を介して心理的にも、肉体的にも多大な影響を与えている。

 特に、ストレスを感じている時や人間関係を深めたい時、その分泌値が高くなる事がアメリカ心理学会の報告により確認されている。過去数十年の科学の進歩によりオキシトシンがもたらす効果は次々に解明されている。ここで述べるのはその驚くべき効果の片鱗だ。

 もしかしたら今のあなたのその気持ちは、オキシトシンの分泌によるものかもしれない。


 オキシトシンの投与が自閉スペクトラム症を改善させる

 今回、オキシトシン投与すると、プラセボ投与に比べて、対人場面での相互作用の障害の改善が認められた。

 内側前頭前野と呼ばれる脳の領域の機能(安静時機能的結合)の改善が強い参加者ほど中核症状の改善効果も強く認められた。

 東京大学の山末英典准教授らは、オキシトシン経鼻剤の投与によって自閉スペクトラム症の中核症状が改善することを発見した。

 自閉スペクトラム症は、「対人場面での相互作用とコミュニケーションの障害」「同じ行動パターンを繰り返して行なうことを好み変化への対応が難しい」といった症状見られ、100人に1人程度の割合で発症する。

 今回の研究では、自閉スペクトラム症と診断された20名の成人男性を対象に、オキシトシン経鼻剤を毎日2回ずつ連続して6週間使用したところ、オキシトシン投与前後ではプラセボ投与前後に比べて、対人場面での相互作用の障害という中核症状の改善が有意に認められた。また、内側前頭前野と呼ばれる脳の領域の機能も改善していたが、この脳機能の改善が強い参加者ほど中核症状の改善効果も強く認められることが明らかになった。

 オキシトシンは、脳から分泌されるホルモンで、女性での乳汁分泌促進や子宮平滑筋収縮作用が知られており、動物では親子の絆を形成する上で重要な働きをすることが知られている。また、健常な成人男性への経鼻スプレーを用いたオキシトシンの投与によって、他者と有益な信頼関係を形成して協力しやすくなること、相手の表情から感情を読み取りやすくなることなどがこれまでに報告されていた。

 現在、本臨床試験の結果を114名の新たな参加者で確認するために、東京大学、名古屋大学、金沢大学、福井大学の4大学が連携して、臨床試験を行っている。


 オキシトシンとは何か?

 オキシトシン (Oxytocin, OXT, OT) は視床下部の室傍核と視索上核の神経分泌細胞で合成され、下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、9個のアミノ酸からなるペプチドホルモンである (Cys-Tyr-Ile-Gln-Asn-Cys-Pro-Leu-Gly)。

 2つのシステイン (Cys) を含み、それぞれの硫黄原子が結合して(ジスルフィド構造)、大きな環を作っている。同じく下垂体後葉ホルモンであるバソプレシンと構造が似ており、アミノ酸2つだけが違う。

 オキシトシンには末梢組織で働くホルモンとしての作用、中枢神経での神経伝達物質としての作用がある。

 末梢組織では主に平滑筋の収縮に関与し、分娩時に子宮収縮させる。また乳腺の筋線維を収縮させて乳汁分泌を促すなどの働きを持つ。このため臨床では子宮収縮薬や陣痛促進剤をはじめとして、さまざまな医学的場面で使用されてきており、その歴史は長い。

 最初は女性に特有な機能に必須なホルモンとして発見されたが、その後、男性にも普遍的に存在することが判明している。また、視床下部の室傍核 (PVN) や視索上核 (SON) にあるニューロンから分泌され、下垂体後葉をはじめ様々な脳の部位に作用し機能を調節している。


 分泌調節

 オキシトシンの分泌調節はまだわかっていないことが多いが、PVNやSONでのオキシトシン合成量が、血液中へのオキシトシン放出と関係していると考えられている。愛撫や抱擁などの皮膚接触や性交渉による子宮頚部への刺激によっても放出されるため、『抱擁ホルモン』と呼ばれることがある。

 何らかの刺激によりPVNやSONのニューロンからオキシトシンが分泌されると、近隣や自己細胞のオキシトシン受容体を通じて、オキシトシン合成がさらに促進される。合成されたオキシトシンはさらに近隣細胞を刺激し、オキシトシン合成量は飛躍的に上がる。このポジティブフィードバックによりある一定の量が合成されると、やがて下垂体後葉にオキシトシンが分泌される。

 末梢に放出されるオキシトシンは、神経伝達物質としてのオキシトシンと違いPVN、SONのニューロンでは分泌顆粒の中で前駆体として存在する。この前駆体が視床下部から下垂体後葉へと分泌されると酵素の作用により、オキシトシンになる。このオキシトシンは下垂体後葉に刺激が伝わったときに血液中に放出される。

 オキシトシンの受容体は、Gタンパク質共役受容体でありGqタンパクと結合し、ホスホリパーゼCを活性化させる。バソプレシンとも強い親和性を持つ。中枢神経、子宮、乳腺のほか、腎臓、心臓、胸腺、膵臓、脂肪組織でも発現が確認されている。


 人への投与実験

 オキシトシンは良好な対人関係が築かれているときに分泌され、闘争欲や遁走欲、恐怖心を減少させる。オキシトシンをヒトに投与する実験が行われたが、鼻からの吸引によるこの実験では金銭取引において相手への信頼が増すことが判明。盲目的に信頼したといえ、損害を蒙ってもオキシトシンが再投与されれば再び相手を信頼し、不利な取引契約を締結してしまう。

 2010年4月24日、金沢大学「子どものこころ発達研究センター」が知的障害のある自閉症患者にオキシトシンを投与したところ自閉症患者の症状が改善したと発表。主治医の棟居俊夫特任准教授は「知的障害のある患者で効果が確認された例は初めて」とコメントした。

 またアスペルガー症候群でも効果が確認されたとの報告もある。これを知った同センターに通院する20代の男性が2008年にオキシトシンの点鼻薬を輸入・服用(数か月間)したところ、主治医の目を見て話す、対話中に笑顔を見せる、IQテストが受けられるようになるなどの症状の改善が見られ、その後10か月間の投与でも改善の持続が確認された。男性は3歳で自閉症の診断を受け、以前は他者と目を合わせることができず、オウム返しの反応しかできなかった。東京大、金沢大、福井大、名古屋大の4大学で大規模な臨床試験が行われる予定である。

 まだ実験段階であり、日本をはじめ世界のすべての国でオキシトシンを自閉症治療に使用することは薬事法で認められていない。

 効能・効果として、分娩誘発、微弱陣痛、弛緩出血、胎盤娩出前後、子宮復古不全、帝王切開術(胎児の娩出後)、流産、人工妊娠中絶があげられる。


 自閉症スペクトラム(ASD)とは何か?

 重い自閉症からアスペルガー症候群まで、広汎性発達障害を連続的にとらえた概念の名称。もともとアスペルガー症候群は「知的障害がない自閉症」とも言われており、自閉症との違いが必ずしも明確ではなかった。

 そのため1990年代に、広汎性発達障害全体を連続体(スペクトラム)としてとらえる同概念が提唱された。2013年5月、日本でも広く用いられている米国精神医学会の診断の手引きが改訂され、「アスペルガー症候群」の分類名が消える見通しとなった。

 この手引きの適用により、アスペルガー症候群と診断されていた人が同疾患に該当しなくなるなどの弊害が指摘されている。

 自閉症スペクトラム(Autistic Spectrum Disorder(s)、略称:ASD)とは、精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)上における、様々な神経発達症(Neurodevelopmental disorder)の分類である。かつてのDSM-IV-TRにおける自閉症(Autism)、特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)、小児期崩壊性障害(CCD)などの各疾患は、DSM-5ではASDを用いて再定義された。

 「自閉症スペクトラム」の概念は、1990年代に、主に自閉症やアスペルガー症候群の研究者ら、特にイギリスの児童精神科医ローナ・ウィングによって提案された。

 高機能自閉症とアスペルガー症候群に違いがあるのかどうか、知能指数の高低をどのように捉えるべきかなどの諸課題について、臨床医学・医統計学における体系化・均質化を目指したものともいわれている。(いわゆる従来型)自閉性障害、高機能自閉症、アスペルガー障害、レット症候群、小児崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害のことをいう。

 DSM-5では、知的障害の有無を問わず、知的障害のないとされる高機能PDDを包括して、「自閉症スペクトラム」としてまとめられる方向で検討されている(このため、従来の高機能PDDは、「知的障害のない自閉症スペクトラム」のくくりとして捉えられる形となる)。


 自閉症スペクトラム(ASD)の診断

 自閉症スペクトムの診断基準としてローナ・ウィングらは以下の三つを上げている
1.対人関係の形成が難しい「社会性の障害」
2.ことばの発達に遅れがある「言語コミュニケーションの障害」
3.想像力や柔軟性が乏しく、変化を嫌う「想像力の障害」

 これを「三つ組の障害」と呼ぶ。自閉症スペクトラムの場合は、三角形型で表記する場合もある(頂点に従来型の自閉症があり、底辺から見て左に行くごとにIQが下がり、右に行くごとにIQが上がるというもの。

 例えば、アスペルガー症候群は底辺の右寄りの部分に配置され、頂点の「従来型自閉症」との間に「高機能自閉症」が来る。底辺の左寄りにはレット症候群が配置され、レット症候群と「従来型自閉症」の間に「小児崩壊性障害」が配置され、それらが不可分の状態になっている。頂点に近いほど障害としての度合いが重く、底辺に近いほど軽いとされるが、レット症候群やアスペルガー症候群自体が「軽度」ではない点に注意が必要)。

 アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のAutism and Developmental Disabilities Monitoring (ADDM) Network によれば、およそ68人に1人がASDであると確認されている。男児では42人に1人、女児では189人に1人と、男性に5倍多い。とはいえ、自閉症の女性には男性とは違う特徴があり、心身症や統合失調症と誤診される場合も多い。ASDは、人種、民族、社会集団によらず確認されている。アジア、欧州、北米の調査によれば有病率は1%ほどで、韓国では2.6%と報告されている。

 ASDの子供を持つ両親は、次の子供もASDがある確率が2-18%である。高齢の両親の出産は、子供がASDとなるリスクが高い。(Wikipedia)


参考 東京大学: オキシトシン投与による、自閉スペクトラム症の改善


LD,ADHD&ASD 2015年 10月号
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明治図書出版
自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える「生きづらさ」の正体 (SB新書)
クリエーター情報なし
SBクリエイティブ

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