大粛清の嵐の中で

 1962年のノーベル物理学賞の受賞者は、旧ソ連の物理学者レフ・ダヴィドヴィッチ・ランダウである。ランダウの授賞理由は「凝集系の物理、特に液体ヘリウムの理論的研究」である。

 時代は第二次世界大戦前夜、1937年、KGBはハリコフ研究所の数名のドイツ人物理学者と一団の科学者を逮捕した。ランダウの友人であったシュブニコフ(Lev Shubnikov)とロゼンケ ーヴィチ(Lev Rozenkevich)は、その後処刑されるがその前に、ランダウが反革命組織 を率いていることを「告白した」。ランダウは、ハリコフを離れてもっと安全な場所に逃れねばならないと考えた。

 彼の上司であったカピッツアが1934年、モスクワにある物理問題研究所の理論部長という地位をランダウに提供したので、彼は2月にそこへ向かった。間もなく、ランダウの友人コレツとルメルもそこに転勤する。そして、1年もたたない1938年4月28日、ランダウと二人の友人はそこで逮捕された。罪状はスターリンを批判するビラを作成したことであった。



物理学者ランダウ―スターリン体制への叛逆
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場の古典論―電気力学,特殊および一般相対性理論 (ランダウ=リフシッツ理論物理学教程)
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