イタリア中部地震 発生!

 イタリア中部で8月24日未明に起きた地震の被災地では、救助にあたる消防隊員たちによる懸命な捜索が続いているが、倒壊した建物のなかに取り残されている人たちの生存率が大きく下がるとされる発生から72時間が過ぎ、消防隊員たちは厳しい現実に直面している。

 この地震はイタリア中部で起きた地震で、2016年8月24日3時36分(日本時間10時36分)にイタリア中部のペルージャ県ノルチャ付近を震源として発生したマグニチュード6.2の地震である。

 8月27日の時点で、278人が死亡し、特に被害が大きかったアマトリーチェでは、倒壊した建物の中に取り残されている人がいるとして消防隊員らによる懸命な捜索が続けられている。



 しかし、取り残されている人たちの生存率が大きく下がるとされる地震発生から72時間が過ぎて、26日午後も新たに複数の人が見つかったものの、すでに死亡していたという。

 遺体は、アマトリーチェの一角に設置された仮の収容施設に安置されていて、施設の周辺では多くの消防隊員が次の捜索に向けて待機していた。捜索にあたっている消防の責任者は、これまでに200人以上を助け出せたとしたうえで、「まだすべての建物を捜索できておらず、あと何日かかるかわからない。生存している人を見つける確率も低くなっている」と述べ、困難な現状を認めた。

 イタリア政府は被災地に非常事態を宣言。マッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)首相は緊急支援としてまず5000万ユーロ(約57億円)を拠出するとともに、新たな地震対策を講じると発表した。

 この日は、ミャンマーでも同程度の地震が発生、ともに大きな被害を及ぼした。イタリアでは歴史的な建造物が倒壊するなどで被害が拡大、現在も救助活動が続いている。2つの地震は8000キロ以上離れた場所で起きたものだが、イタリアはマグニチュード6.2、ミャンマーは6.8と規模はよく似ている。しかし、2つの地震に関連性はないようだ。


なぜイタリアなのか?

 それにしても、地震といえば日本であるが、イタリアでもこのような地震が起きるとは思わなかった。調べてみるとイタリアでは7年前、近隣のラクイラ(L'Aquila)で起きた地震で300人が死亡しており、なぜ今回もこれほどの犠牲者を出すことになったのか、疑問視する声が出ている。

 この地震ではミランに所属する日本代表FW本田圭佑が、約230万円の寄付をしたことを公式インスタグラム(@keisukehonda_official)で明かし、次のように述べている。

「イタリア中部でマグニチュード6.2の巨大地震により、現在の情報では少なくとも247名が亡くなり、負傷者が数百名にもなるという最悪な状況です」と自ら情報を発信した本田は、「無力ではありますが、人として心を痛めてるのと現場の人達に頑張ってほしいという想いだけは持っています。少しでも気持ちを届けたいという想いでイタリア赤十字に20,000ユーロ寄付させてもらいます」と日本円で約230万円を寄付したことを報告した。

 そして、「亡くなった方々、そして家族の方々には心からお悔やみ申し上げます」と哀悼の意を表しつつ、「今後こういう被害を減らしていく為に2つ伝えたい」と続けて、2つの提案をした。

「1つ目は我々の国、日本も地震が多い国です。建物はそれに対応するべくとても頑丈です。日本の技術を導入してはどうでしょうか?」

「2つ目は地震を予期できる装置を発明するべき。その為に世界の最高なエンジニア達を集めたいと考えています」

 そして最後に、自身の提案を実現すべく、「長年解明できていない地震について研究をし続けている世界のエンジニアの方々、もしくは関係者の方々はコンタクトをしてきてください。全力でサポートさせて頂きます」と専門家に協力を呼びかけた。

 この言葉はネット社会で称賛を浴びているが、彼の言葉の中に「イタリアも地震国である」ことや、「歴史的な建造物が多く、耐震構造が不十分」なことが読み取れる。


地震国イタリアの理由

 日本で地震が多いのは日本の下にプレートの境界があるからである。イタリアの場合はどうなのだろうか?

 イタリアは地中海に突き出した長靴型イタリア半島、および周辺の島(サルデーニャ島、シチリア島など。コルシカ島はフランス領)から構成されている。

 東はアドリア海、西でティレニア海とリグリア海、南でイオニア海と地中海に面している。国境を接する国としては、大陸部では西側をフランス、北側をスイスとオーストリア、東側をスロヴェニア。アドリア海を挟んで、クロアチア、アルバニア、ギリシアなどとも地理、歴史的に結びつきが強い。

 イタリアは、火山の多い国である。エトナ山、ヴェスヴィオ山等が有名で、エトナ山はヨーロッパ最大の活火山であり、ほとんど常に噴火している。時には大きな噴火を起こすこともあるが、特別に危険な火山とは見なされておらず数千人が斜面と麓に居住している。

 イタリアは同じヨーロッパのギリシャやトルコと同様に地震の多い国でもある。古代・中世以降の地震被害の記録が数多く残されている。イタリアで地震が多いのは、端的に言えばユーラシアプレートとアフリカプレートの境界部分にあたり断層が多いためであるが、この地域は地質構造が日本以上に複雑で、単純なプレートの沈み込みなどでは説明できない。

 米地質調査所によると、今回の地震の震源は深さ約10キロ。今年4月の熊本地震の本震とほぼ同じ深さで、比較的浅い場所で起きた内陸型地震だ。地中海でアフリカプレート(岩板)とユーラシアプレートがぶつかり合う影響で、イタリア半島の内陸部にはひずみがたまり、アペニン山脈沿いは地下に多くの活断層が走る地震の多発地帯だ。

 今回の地震は、1997年にアッシジで起きたマグニチュード(M)6.4の地震と、2009年に300人以上が犠牲となったラクイラの地震(M6.3)の中間で発生した。

 ラクイラ地震で現地に入った名古屋大の山岡耕春教授は「これまで地震が起きていなかった所で、たまっていたエネルギーが解放された」とみる。「イタリア中部はM6級の地震が10年に1回程度起きるが、地震の活動度は日本ほど高くないので古い建物が残りやすい」と話す。


イタリアの耐震対策

 最大の犠牲が出た町アマトリーチェでは26日午前、余震のため立ち入り禁止区域が広がり、中心部へ続く道路が閉鎖された。町につながる橋の損傷がひどくなり、迂回(うかい)路を確保する必要に迫られている。

 アマトリーチェの人口は通常約2700人だが、今週末に名物のスパゲティの祭りが予定されていて、多くの観光客が訪れていた。被災地一帯では数千人が避難生活を強いられているとされる。テントやキャンプで過ごす人数が約2100人と、1日で2倍になった。隣の町アクーモリでも大きな被害を出した。 

 一方、イタリア中部を襲った地震で、震源の近くにありながらほとんど被害を受けなかった町がある。調べてみると、過去の地震の教訓が命運を分けた実態が見えてきた。

 トリュフが特産で聖ベネディクトの故郷としても有名なノルチャ。中世に建てられた大聖堂がある広場を中心に城壁に囲まれ、多くの観光客が訪れる。米地質調査所(USGS)によると、今回の地震はノルチャの南東約10キロが震源だったが、中心部はほとんど大きな被害を受けなかった。ゴムと金属の板を石材の間に挟むなどの耐震対策が各戸でなされていたことが、理由とみられている。

 一方、町全体が崩壊し、230人の死者を出したアマトリーチェは震源から南東約15キロ。死者ゼロのノルチャとは、対照的だ。


耐震対策の遅れたアマトリーチェ

 人口5千人のノルチャはここ数十年何度も大地震に見舞われた。1979年の地震で歴史的な建物を含む多くの家屋が大きな被害を受けた。アッシジで大聖堂の屋根などが崩落した1997年の地震の際も、激震が町を襲った。そのたびに町全体で耐震化の努力が続けられてきた。

 防災対策本部には26日、市民らが続々と相談に訪れていた。テウタ・トザイさん(51)は「自宅の壁にひびが入り、心配で。最初の2日はガレージで眠った」。希望者は全員が無料で耐震診断を受けられ、手当てが必要な場合は自治体から補助が出るという。役場のサンタ・フナリさん(58)は「すでに約2千人が相談にきた」と語った。

 ノルチャがあるウンブリア州は、中世の石造りの町並みと自然の調和が美しく、多くの外国人観光客も訪れる。耐震だけを考えて近代的な建築にすれば魅力が半減してしまう。

 パビア大学のパオロ・バズッロ教授(耐震建築)は石造りの建物について「現代建築のレベルの耐震性は望めない。だが、外観を全く変えずに倒壊を防止し、人的被害を防ぐことは建設費の10~20%の費用で十分可能」と指摘する。例えば、柱やはりの間に単純な構造のプレートを置くだけで安全性は高まる。

 ただ、地震のたびに街並み再建が強調される一方、耐震補強は後回しにされがち。レプブリカ紙は、政府は1960年代以降に1500億ユーロ(約17兆円)を地震後の建物建設に充てたが、防災対応に割かれたのは10億ユーロだけとする。

 今回の地震では、人口密集地では周辺の建物が倒壊して巻き添えになったケースもみられた。地質学者のアンドレア・モッティさん(53)は「大切なのは1戸ずつではなく、地区全体として耐震対策を行うことだ」と語った。

 イタリアは地震国とはいえ、日本ほどは多くない。建物の耐震性が不十分だったのでアマトリーチェでは被害を大きくしたようだ。

 「住民は、2009年にかなり大きな地震が起きたので、しばらく来ないと思ったのが対策が進まなかった原因の一つでは。日本なら木造なのでいろいろやりようがあるが、石造りなので、費用的にもかなりのものになると思う。残念ながら、今回の場合は間に合わなかった」(東京大学地震研究所 纐纈一起教授)

 イタリアは歴史的な石造りの家が多いのでコスト的に耐震工事は難しいようだ。しかし、歴史より人命が最優先だろう、今後の対策は早目にしたい。


参考 CNN news:イタリア中部地震死者281人に


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