細胞の不思議「オートファジー」

 オートファジー (Autophagy)といえば、大隅良典先生のノーベル医学・生理学賞の授賞研究であるが、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)のことである。酵母からヒトにいたるまでの真核生物に見られる機構であり、細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防いだり、過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行ったり、細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。

 だが、オートファジー研究にはまだ未解決の問題がある。オートファジーによって、何時如何なる生理的条件下に、タンパク質のみならず核酸、脂質、それらの複合体が、どのような機構で分解されるかがいまだ解明されていない。このためには、酵母の膨大な遺伝学的な知見を背景に、酵母の系を最大限活用し、質量分析など最近の分析技術を活用。

 細胞がある種のストレス(アミノ酸飢餓の状態や、異常タンパク質の蓄積)にさらされると、細胞質中の一部で、過剰に作られたタンパク質や異常タンパク質と共にリン脂質が集まり、オートファゴソーム(Autophagosome、またはオートファジー小胞 Autophagic vesicle)と呼ばれる細胞内構造の形成がはじまる。



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