絶滅したネアンデルタール人

 ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅したヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 発見された頃、ホモ・サピエンスと異なる種とされたが、現在はネアンデルタール人をホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシス (Homo sapiens neanderthalensis) と分類する見方が一般的である。ネアンデルタール人を過去には「旧人」と呼称していたが、この語は使われることが少ない。

 ネアンデルタール人が絶滅した理由は何だろうか...?正確な答えをみつけるのは難しいが、疫病や気候変動説が有力視されてきた...。しかし2月に科学誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された最新研究は、別の可能性を指摘している。それによると、約4万5000年前にヨーロッパ大陸にやってきたホモサピエンスと競う能力が無かったという。



 研究に携わったスタンフォード大学の生物学者、マーカス・フェルドマン博士は「2つのグループが対立した場合、より発達した文明を持つグループがたとえ人口が少なかったとしても、相手を侵略し打ち負かす」という。

 ここでいう「文化」とは狩猟の技術やコミュニケーションの能力、予期せぬ環境の変化に対応する能力のことだ。両者は実際に戦ったようだ。「ネアンデルタール人とホモサピエンスの間で、多くの戦いがあったと考えられます。全ての道具が建設的な目的で使われたわけではなかったのです。斧は、何かを作るためだけではなく、破壊するためにも使えます」とフェルドマン博士は述べている。

 ネアンデルタール人は、ホモサピエンスよりも知能が低かったのだろうか? フェルドマン博士はこの考えをきっぱりと否定する。「遺伝的の優性が問題ではありません」と述べるフェルドマン博士は、ネアンデルタール人とホモサピエンスは同等の知能を持っていたという別の研究にも同意している。

 今回の研究は、ホモサピエンスの出現が、ネアンデルタール人の絶滅につながったことを示している。しかし、ネアンデルタール人の遺伝子は受け継がれている。研究によると、人類の中で先祖がアフリカ以外の起源を持つ人たちは、ほんの少しではあるネアンデルタール人のDNAを持っている。


霊長類の6割、絶滅の危機 生息地減少など予想以上に深刻

 絶滅は「ネアンデルタール人」だけではない。ヒトに最も近い類人猿など「霊長類」の60%が絶滅の危機に瀕しているという。

 世界に生息する霊長類の60%が差し迫った絶滅の危機に瀕しているという調査結果が、このほど科学誌に発表された。研究チームが世界各地に生息するヒト以外の霊長類504種の保護状況を調べた結果、約4分の3で個体数の減少が深刻な状況にあることが分かったという。

 霊長類には人に最も近い類人猿や、サル、キツネザル、ロリス、メガネザルが含まれる。米イリノイ大学のポール・ガーバー教授は「私たちのほとんどが思っていたよりも悪い状況だった」と述べ、「世界の霊長類は集団絶滅の危機に瀕している」と指摘する。

 メキシコ大学のアレハンドロ・エストラーダ氏も「減少率がこれほど高いと知って驚いた」「極めて憂慮される事態だ。我々が転換点に達しつつある、あるいは既に達していることを、この数字は示している」と語った。

 霊長類の生存を脅かす生息地の減少や乱獲、ペットの違法取引などは全て人間の活動によるものだと研究チームは指摘。生息地が破壊されれば隠れ場所や餌や水が失われて社会集団は分断され、捕捉されたり病原菌に感染したりするリスクも高まる。

 熱帯雨林は国際企業の資源開発などによって急激に伐採が進む。だが「どの業界も持続可能なやり方を試みる動きはほとんどない」とガーバー氏は嘆く。エストラーダ氏は今回の調査について「手遅れになる前にこの事態を食い止めるため、科学者や一般市民、政策決定者に向けた警鐘になれば」と述べ、政府が実業界と連携して対策を講じなければ、こうした種は絶滅すると話した。

 絶滅しつつある霊長類の一例として、西アフリカに生息するウォルドロンアカコロブスはこの25年の間目撃情報がない。ジャワ島のスローロリスなどは主に違法取引によって絶滅の瀬戸際に追い込まれている。


 霊長類(サル目)とは何か?

 霊長類とは、哺乳綱・霊長目に属する動物の総称。この目は、動物界でもっとも進化を遂げたヒトや類人猿を含むが、同時に原始的な原猿類をも含み、このこと自体が霊長目の大きな特徴の一つである。その系統を追うことは、原始哺乳類からヒトまでの進化のあとをたどることに通ずる。

 霊長類は約7000万年前に食虫類に類似の哺乳類から分岐したといわれており、最初の化石は北アメリカ・ロッキー山脈沿いの暁新世中期の地層から出土する。フェナコレムール科Phenacolemuridaeなど3科6属が知られている。

 これらは始新世以降の原猿類とはつながらない原始性を残しているが、食虫類とははっきり区別でき、両目の分岐は暁新世初期にさかのぼると考えられている。暁新世の原猿は、前方に突出する大きい切歯をもち、閉じていない眼輪をもつものもあった。暁新世後期にも北アメリカとヨーロッパでさらに7属の化石が出土している。

 原猿類は始新世には、北アメリカ、ユーラシアに分布を広げ、アダピス科Adapidae、オモミス科Omomydaeなど5科四十数種の化石が知られ、繁栄期を迎える。これらは暁新世の原初的原猿とは異なり、より大きな脳と目を備え、鼻口部は短縮し、すでに高等霊長類に向かう進化のスタートが切られたことを物語っている。メガネザル科、そして最初の真猿アンフィピテクスAmphipithecusなどがこの時期に出現している。

 始新世に全盛を誇った原猿は漸新世には姿を消し、ヒトニザル上科が姿を現す。それらはエジプトのファイユームから出土した化石群で、原猿から真猿への移行を物語るアピィディウムApidiumやパラピテクスParapithecus、ショウジョウ科Pongidaeの祖先と考えられるエオロピテクスAeolopithecus、エジプトピテクスAegyptopithecusなどである。

 エオロピテクスはテナガザルへの分岐を示すし、エジプトピテクスは中新世の類人猿につながるものと考えられている。このほか、旧世界ザルの先祖と推定される化石も出ている。中新世と鮮新世にはふたたび多くの霊長類の化石がみられ、その多くは現生種と深いつながりをもつもので、分布もユーラシア、アフリカ、南アメリカに及ぶ。そしてヒトニザル上科の繁栄期を迎え、プロコンスルProconsul、ケニアピテクスKenyapithecus、さらに鮮新世末にはアウストラロピテクスAustralopithecus類が出現し、ヒトの時代である第四紀を迎える。


参考 CNN news: 霊長類の6割、絶滅の危機 生息地減少など予想以上に深刻


新・霊長類学のすすめ (京大人気講義シリーズ)
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ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた
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