系外惑星を直接観察

 系外惑星とは、太陽系以外にある惑星のこと。地球が存在するのだから、太陽系以外にも系外惑星が存在するのではないかという考えは、16世紀にはジョルダーノ・ブルーノにより主張された。しかし、当時はあくまで想像の産物であり、フィクションの域を出なかった。

 観測技術が発達し、実際に探査の試みがなされるようになるのは、1940年代からである。現在認められている初の発見は、最近のことで1993年に発見されたPSR B1257+12というパルサーをめぐる3つの惑星であった。ポーランドの天文家、アレクサンデル・ヴォルシュチャンによって発見された。

 そして2008年9月、太陽系外の惑星とみられる天体を、カナダ・トロント大のチームがハワイのジェミニ天文台の望遠鏡で撮影に成功した。これまで、太陽系外惑星を直接撮影したことはなく、これが世界初の快挙だった。



 しかし、この惑星、表面温度が1500℃、惑星というにはまだ温度が高すぎる。大きさも木星の8倍あり、恒星ではないかと思えるほどだ。専門家の話では惑星が冷えて固まる前の段階だそうだ。恒星との距離も地球〜太陽間の約330倍(500億km)もあった。

 系外惑星発見の方法はいくつかあるが、望遠鏡で直接観測できた例は少ない。直接観測では、望遠鏡で系外惑星を直接観測することで、実際には中心となる恒星と惑星の距離が非常に近く、また恒星に比べ惑星が非常に暗いため、惑星からの光を恒星の光と分離することは非常に困難とされているからだ。

 今回、カナダ、ヘルツベルク宇宙物理学研究所のクリスチャン・マロワ氏が、129光年先の恒星を回る惑星たちの直接撮影に成功した。そして、撮影した7年間の画像を系外惑星の研究団体NExSSのジェイソン・ワン氏がつなぎ合わせて動画を作成した。

 その動画は、中央にある恒星の周りを4つの恒星が回っている。私たちは地球にいても、地球が太陽の周りを回っているという実感はなかなか持てない。太陽が地球の周りを回っているように見える「天動説」...が正しいように感じる。

 この動画を見て、改めて惑星が恒星の周りを回っている「地動説」...が確認でき、感動を覚える。

 動画はこちら→ 太陽系外の恒星を回る4惑星、貴重な動画

太陽系外の恒星を回る4惑星、貴重な動画が公開

 カナダ、ヘルツベルク宇宙物理学研究所のクリスチャン・マロワ氏が撮影した7年間の画像を系外惑星の研究団体NExSSのジェイソン・ワン氏がつなぎ合わせて作成した。

 私たちは近隣の惑星の周りを衛星が回るところは見られても、太陽のまわりを惑星が周回するダンスを遠くから観察するのは難しい。そして今、科学者らが7年にわたりこの惑星系を見つめ続けた結果、私たちは惑星が静かに軌道をたどる様子を目にすることができた。ヨハネス・ケプラーが400年前に発見した惑星運動の法則にしたがって旋回するこれらの星々を見ていると、言葉では言い表しがたい厳粛な気持ちになる。

 この動画の中心に星印で示されているのは、HR 8799と呼ばれる恒星で、地球から約129光年離れたペガスス座にある。太陽の約5倍の明るさを持つHR 8799の年齢はまだ3000万年。星としては生まれたばかりに等しい。

 周りに見える4つの惑星は、いずれも木星よりずっと大きい巨大ガス惑星で、地球年で40年から400年かけて軌道を1周する。より恒星に近い側には、もっと小さな岩石惑星が存在するかもしれないし、惑星系を取り巻く塵の円盤には第5の巨大惑星が隠れている可能性もある。

 この太陽系外惑星系は、天文学者が初めて直接撮影したものの1つだ。129光年とほどほどに近く、各惑星も十分な大きさがあるため、米ハワイ島マウナケア山頂のケック望遠鏡の1つで観測することができた。

 カリフォルニア大学バークレー校の大学院生ジェイソン・ワン氏が、2009年8月から2016年夏までに撮影されたこの惑星系の7枚の画像を編集し、静止画像間の惑星の動きを補間してこの動画を作成した。

 その結果、地球上の私たちが何世紀もの間見たいと思い続けてきた神秘的な天体の姿が浮かび上がった。「他の恒星の周りを惑星が回るのを見られるのは、本当に素晴らしいことです。ケプラー運動を実際にこの目で見られるのですから」とワン氏は話す。

 天文学者らは、HR 8799のような若い恒星を研究することで、惑星の成長と進化について多くのことがわかり、さらには初期の太陽系の惑星たちの様子を垣間見ることもできるのではないかと期待している。

 「私たちの太陽系で何十億年も時間を巻き戻すのは無理です。惑星形成を理解するには、このような若い惑星系を研究する方が簡単です」とワン氏は語る。(National Geographic news:2017.02.01記事)


 系外惑星の直接観測法

 直接観測は、文字通り望遠鏡で系外惑星を直接観測することである。実際には中心となる恒星と惑星の距離が非常に近く、また恒星に比べ惑星が非常に暗いため、惑星からの光を恒星の光と分離することは非常に困難であった。しかし画像処理技術の進歩により、2008年には系外惑星の直接観測が可能になった。また、過去に撮影された画像から新たな惑星が見つかる可能性も高まっている。

 恒星ではないが、褐色矮星である2M1207という天体には、55AU(あるいはそれ以上)の距離に惑星サイズの天体が発見されており、2M1207の伴星ではないかと言われている。この天体は赤外線で直接観測されている。

 2005年3月22日、ハーバード・スミソニアン天体物理センターと、NASAのゴダード宇宙飛行センターの研究者らが、こと座にあるTrES-1と、ペガスス座にあるオシリスの2つの系外惑星の直接観測に成功した、と報道された。これは、惑星が恒星の裏側にあるときとそれ以外の差を取り、惑星の赤外線輻射を恒星光から分離するという方法であり、厳密な意味での直接観測ではない。

 2005年4月、ヨーロッパ南天天文台で、おおかみ座にあるおおかみ座GQ星 (GQ Lupi) という恒星にある惑星候補天体の撮影に成功した。この惑星候補天体の質量は木星の1倍から42倍と見積もられており、褐色矮星の可能性もある。したがってこの観測も、現時点では惑星の直接観測とはいえない。

 2007年5月、スピッツァー宇宙望遠鏡によってこぎつね座にあるHD 189733の惑星 (HD 189733 b) の表面の温度分布図が作成された。これは直接観測ではないが、系外惑星の表面の場所による状態の違いを初めて検出したものである。

 2008年9月15日にハワイのジェミニ天文台より、太陽系から500光年離れたさそり座近辺の恒星1RXS J160929.1-210524にある惑星の撮影に成功したと発表があった。別の目的で撮影した物に偶然、惑星が写っていた。撮影できた詳しい要因は現在調査中だが、まだ誕生して間もない恒星と惑星のため、惑星の表面温度が高く発光している点と、距離が大きくはなれている事(約330AU)が要因として考えられている。

 さらに同年11月にはハッブル宇宙望遠鏡がみなみのうお座の1等星フォーマルハウトで惑星の可視光撮影に成功と発表された。過去に撮影された画像を比較することで宙域を移動する光点がみつかり、軌道計算の結果、フォーマルハウトの周囲を公転する天体(フォーマルハウトb)と確認された。また恒星を取り巻くダストリングの分布などから天体の最高質量が木星の3倍以下であることも判明し、史上初めて名実ともに直接観測で確認された太陽系外惑星となった。

  この惑星は主星から115AUの遠距離を872年かけて公転している。また惑星の反射が距離やフォーマルハウトの光度と比較して明るすぎるため、土星のような巨大な環によって光が拡散していると推定されている...以後、次々と直接観測の報告がされるようになった。

 2008年に発見されたHR 8799の3つの惑星の一つは、2002年にすばる望遠鏡で撮影されていたことが2009年に判明した。日本の望遠鏡で太陽系外惑星を直接観測したのはこれが初めてである。


ケプラー発見の天体1284個を新たに系外惑星と確認

 ところで、系外惑星はこれまでいくつ発見されているのだろうか?

 2016年5月、系外惑星探査衛星「ケプラー」がこれまでに発見してきた惑星候補のうち、新たに1284個が系外惑星であると確認された。ハビタブルゾーンに位置するものも9個含まれている。

 NASAの系外惑星探査衛星「ケプラー」は、惑星が主星の前を通り過ぎる際に主星の明るさがわずかに減少する「トランジット」現象をとらえるという手法で惑星探しを行ってきた。今月9日に水星の太陽面通過が起こったが、このときにほんの少しだけ暗くなった太陽を観測して水星を見つけるような方法だ。

 ケプラーは2009年に打ち上げられ2012年にメインミッションを完了したが、これまでに約4300個の系外惑星候補を発見している。この候補のうち、984個は系外惑星であることがすでに確認されていた。

 そしてこのたび、新たに1284個もの候補が確かに系外惑星であると発表された。残る約2000個のうちの1300個ほどの候補天体もかなり高い確率で系外惑星だろうとみられており、さらなる確認作業が行われている。

 1284個の新たな系外惑星のうち、約550個はその大きさから地球のような岩石惑星とみられている。さらにそのうち9つは、ハビタブルゾーン(液体の水が惑星の表面に存在できるような表面温度となる主星からの距離の範囲)に位置している。ケプラーが発見したハビタブルゾーンに存在する系外惑星の数はこれで21個である。

 ケプラー以外の人工衛星や地上の天体望遠鏡による観測で見つかったものも含めると、今日までに発見された系外惑星の総数は3200個以上あり、そのうち2300個以上がケプラーによる発見だ。「ケプラーが打ち上げられるまでは、系外惑星がありふれた存在なのか稀有な存在なのかもわかっていませんでした。しかし今や、ケプラーと研究コミュニティのおかげで、恒星よりも惑星の数の方が上回っている可能性すらあることがわかってきたのです」(NASA Paul Hertzさん)。

 NASAは2018年に、新しい系外惑星探査衛星「TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)」を打ち上げる予定だ。TESSは地球サイズの惑星を見つけることを目標として、太陽系の近傍に存在する20万個の恒星を観測することになっている。(NASA 2016年5月13日記事)


 系外惑星の観測方法

 直接観測法: 直接観測は、文字通り望遠鏡で系外惑星を直接観測することである。実際には中心となる恒星と惑星の距離が非常に近く、また恒星に比べ惑星が非常に暗いため、惑星からの光を恒星の光と分離することは非常に困難とされている。しかし直接観測のための研究は世界中で行われている。

 位置天文学法: 位置天文学法 (Astrometry) は、木星のような巨大な惑星によって恒星がふらつく様子を位置天文学的手法により精密観測し、それによって惑星の存在を確かめる方法である。連星の不可視伴星の発見に用いられるのと同じ手法である。1943年以降の初期の系外惑星探査に用いられたが、大きな成果をあげることはなかったが、従来にない高精度の位置天文学観測が可能になった現在、この方法によっても系外惑星が発見できるのではないかと期待されている。

 視線速度法(ドップラー偏移法): 視線速度法は、ドップラー偏移法とも呼ばれ、惑星によって恒星が視線方向にふらついた時に起こるドップラー効果によるスペクトル変化を調べることで系外惑星を探す方法である。基本的には分光連星を発見する手法と同じものである。ベレロフォン (51 Pegasi b) をはじめ、多くの惑星がこの方法によって発見された。

 食検出法(トランジット法): 食検出法の原理食検出法はトランジット法とも呼ばれ、惑星が恒星の前を横切る時の明るさの変化によって惑星を探す方法である。星食や食変光星の観測と同じ原理である。地球から見て惑星が恒星面を通過する確率は非常に小さいと考えられるため、実在する惑星に対しこの方法によって発見できる惑星の割合は小さいものの、比較的安価な機材でも観測可能であり、アマチュアにも手が届くという利点がある。

 重力レンズ効果を用いる方法: 重力レンズ効果とは、遠くの天体から発せられた光が手前にある天体の重力により集められ、実際より明るく見えることである。手前にある天体が惑星を持つ場合と持たない場合では、遠くの天体の光度変化が異なることが理論的に予測されている。この現象を利用して系外惑星を発見することが可能であり、PLAN、OGLE、MOAのチームがOGLE-2005-BLG-390Lbを発見している。

 パルサー・タイミング法: パルサーとは、周期的にパルス状の電磁波を出す天体である。パルスの原因はパルサーの自転によるものと考えられている。パルサーに惑星が存在する場合、パルスに周期的なズレが観測される。このズレから惑星を間接的に観測する方法がパルサー・タイミング法である。公式な記録上、最初に発見された系外惑星であるPSR B1257+12の惑星系などは、この方法で発見された。(出典:Wikipedia)


参考 National Geographic news: 太陽系外の恒星を回る4惑星、貴重な動画を公開


系外惑星の事典
クリエーター情報なし
朝倉書店
系外惑星と銀河 (別冊日経サイエンス)
クリエーター情報なし
日本経済新聞出版社

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please