世界最古の生命痕跡を発見

 東京大学などの研究グループが、カナダで採取した39億年前の岩石から、世界最古とみられる生命の痕跡を発見したと発表した。

 東京大学の小宮剛准教授などの研究グループは、カナダ北東部のラブラドル半島にあったおよそ39億5000万年前の岩石を採取し詳しく調べた。その結果、自然界に存在する3種類の重さの炭素のうち、生物の体内に多い、最も軽い炭素の割合が高い塊が見つかり、研究グループでは、生物の死骸の痕跡だとしている。

 これまでに確認された世界最古の生命の痕跡は、グリーンランドでみつかった38億年前のものだが、今回の発見は、それよりも1億年以上古いものだという。



、東北大学とコペンハーゲン大学の研究チームは、世界最古とされるグリーンランド南西部の38億年前の岩石から、当時の海に生息していた微生物の痕跡を発見したことを発表している。

 岩石中の炭素を分析して確証したもので、最古の生命の痕跡だという。採取した岩石を詳しく分析したところ、現世の生物と同じ炭素同位体組成(12C/13C 比)をもつこと、現世の生物にも特徴的な炭素のナノレベル組織や外形が見られることなどから、38億年前の海に生息していた微生物の断片だと結論づけた。

 地球は今からおよそ45億年あまり前に誕生したと考えられているが、生命がいつどのように誕生したのかはまだよくわかっていない。研究グループでは、地球にあらわれた初期の生命がどのような姿をしていたかを知る貴重な資料だとして、今後、生命の種類について特定を進めることにしている。

 東京大学の小宮准教授は「痕跡の大きさは数十マイクロメートルで、細胞内に核をもたない原始的な生物だとみられる。泥が積もってできた岩石から出てきたので、海に生息していたのではないかと考えられるが、初期の生命がどのような姿をしていたのか解明したい」と話している。


 約40億年前の地球最古の化石を発見?

 炭素による生物の痕跡を探る以外にも、生物の痕跡というならば、2017年3月、さらに古い化石が発見されている。

 カナダのケベック州北部で採集された結晶の中から見つかった管状の微小な構造物が、37億7000万~42億8000万年前の生物由来の化石であることが科学誌「ネイチャー」3月2日号に発表されている。

 発見者は、英ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ(UCL)のドミニク・パピノー氏らで、もし彼らの推定が正しいなら、今回の化石は最古のものとなる。

 このカナダの微化石は鉄を豊富に含む鉱物からなり、大きさはまつ毛の数分の1ほど。研究チームによると、海底の熱水噴出孔のまわりにいる今の微生物が作る構造物とそっくりだという。

 この発見は、生命誕生の主要な舞台は熱水噴出孔のまわりの温水とする説を裏付けるものだ。こうした場所は地球にかぎらず、ほかの惑星の氷の衛星などにもあると言われている。

 NASAジェット推進研究所の宇宙生物学者ケビン・ハンド氏は、「彼らの分析と解釈が正しければ、地球が安定し始めてすぐ生命が誕生したことになります」と言う。「つまり、地質活動が落ち着いてきた途端に生命活動が始まったと言っているわけです」

 しかし、この構造物は、それほど確かな証拠ではない。科学者の中には、これらが微生物の痕跡であること自体を疑っている人もいれば、微化石を包み込んでいる結晶の推定年代は疑わしく、10億年以上新しい可能性があると指摘する人もいる。

 米コロラド大学のナイジェル・ケリー氏は、「こうした岩石には長く複雑な歴史があるため、構造物の年代と起源を特定するのは非常に難しい」と言う。


 地球誕生と生命誕生

 生命が地球で誕生したか、宇宙から飛来したかについてもまだ議論の続いている問題である。しかし40億年という年を超えて過去のことが分かるというのは興味深い。

 ここでは、現時点で、地球はいつ頃から存在し、いつ頃生命が存在したと考えられているのかを述べてみたい。まず、地球誕生~生命誕生までを振り返ってみよう。

46億年前: 地球誕生。太陽系の隕石や月の岩石の生成年代から、この頃、原始地球が形成されたと考えられている。月の形成時期も、45億5000万年前とされる。

 地球が誕生して間もない45億5000万年前から44億5000年前のマントルに由来する溶岩が、カナダ・バフィン島とグリーンランド西部で見つかったと、米カーネギー研究所の研究チームが2010年8月『ネイチャー』に発表している。

 地球大気の歴史については、確証は得られていないが、以下のようなことが考えられている。地球が誕生した46億年前頃の原始大気は、主にヘリウムと水素からなり、高温高圧だった。これは現在の太陽の大気と似た成分である。これらの軽い成分は、原始太陽の強力な太陽風によって数千万年のうちにほとんどが吹き飛ばされてしまったと考えられている。

 やがて、太陽風は太陽の成長とともに次第に弱くなってくる。この頃には、地表の温度が低下したことで地殻ができ、地殻上で多くの火山が盛んに噴火を繰り返していた。この噴火にともなって、二酸化炭素とアンモニアが大量に放出された。水蒸気と多少の窒素も含まれていたが、酸素は存在しなかった。この原始大気は二酸化炭素が大半を占め、微量成分として一酸化炭素、窒素、水蒸気などを含む、現在の金星の大気に近いものであったと考えられている。100気圧程度と濃く、高濃度の二酸化炭素が存在した。地球が十分に冷却されていなかった時期の原始大気には大量の水蒸気が含まれていたと考えられる。

 44億年前: 現在、知られている最古の岩石鉱物が現れる。西オーストラリア州のジャック・ヒルで発見されたジルコン粒子のうち最古の物(44億400万±800万年前)。

 40億年前: 原始海洋ができた。花崗岩(カナダ北部のアカスタ片麻岩)ができた。プレートができた。古い変成岩に含まれる堆積岩の痕跡などから、43~40億年前頃に海洋が誕生したとみられる。この海洋は、原始大気に含まれていた水蒸気が、火山からの過剰な噴出と温度低下によって凝結して、雨として降り注いで形成されたものであった。初期の海洋は、原始大気に含まれていた亜硫酸や塩酸を溶かしこんでいたため酸性であったが、陸地にある金属イオンが雨とともに流れ込んである程度中和されたと考えられている。

 ある程度中和されると二酸化炭素が溶解できるようになるため、大量の二酸化炭素を吸収していった。地球全体は還元的な雰囲気下にあり、鉄は2価鉄のイオンとして溶解していた。水蒸気が紫外線を受けて光分解することで酸素が生成されてはいたが、2価鉄が3価鉄への酸化により発生した酸素がすぐに吸収されたため、大気中にはほとんど残らなかった。

 40億年前(±2億年): この頃、原始生命が誕生したと考えられている。


生命誕生からオゾン層形成まで

 次に生命誕生から、地球に酸素が増えてオゾン層ができるまでを振り返る。

 38億年前: 現在、知られている最古の堆積岩が現れる。 グリーンランドのイスア地方(約38億年前)など。堆積作用があったことから、この頃には海が存在していたと考えられている。

 38億年前(±3億年): 真正細菌(バクテリア)と古細菌(アーキア)の出現。 共通祖先に近い原始的な生物は好熱性を示すものが多く見られる。例えば、真正細菌の根に一番近いのは超好熱性水素細菌である。古細菌でも根に近いものは好熱性のものに占められている。

 35億年前: 地球上での最古の化石(西オーストラリア・ピルパラ地域からのバクテリアの化石)

 32億年前: 光合成をする生物が現れる。藍藻(シアノバクテリア)。 ストロマトライトとして痕跡を残した。ストロマトライトは藍藻(シアノバクテリア)の活動で形成された岩石。また、これよりも古い時代とする説もある。遅くとも32億年前までには光合成をする生物が現れ、海中に酸素を供給しはじめた。二酸化炭素光合成を行う生物が誕生すると、それらは二酸化炭素を酸素に変換するようになる。

 さらに、二酸化炭素が生物の体内に有機物として蓄積されるようになり(炭素固定)、長い時間をかけて過剰な炭素は化石燃料、生物の殻からできる石灰岩などの堆積岩といった形で固定される。

 27億年前: シアノバクテリアが大量発生。この頃のシアノバクテリアの化石が大量に見つかっている。酸素の供給量が増加。

 25億年前: 縞状鉄鉱層が形成される。 シアノバクテリアの活動で海中の酸素量が増加し、海中の2価の鉄イオンが3価鉄に酸化して沈殿したため形成される。縞状鉄鉱層の形成がおよそ19億年前まで続き、これ以後は形成されなくなる。

 24億~22億年前: 現在分かっている最古の氷期。(ヒューロニアン氷期)

 20数億年前: 大気中の酸素の増加。酸素は初期の生物の大量絶滅と酸素を効果的に利用した生物のさらなる進化を導いた。 海中の鉄イオン濃度が低下し、海中の鉄イオンが酸化し尽くされると縞状鉄鉱層の形成も停止し、余剰となった海中の酸素が大気中にも多く供給されるようになった。
 大気中の酸素は紫外線と反応しオゾンをつくった。酸素濃度が低かったころは地表にまで及んでいたオゾン層は、濃度の上昇とともに高度が高くなり現在と同じ成層圏まで移動した。これにより地表に到達するDNAを破壊する有害な紫外線が減少し、生物が陸上にあがる環境が整えられた。


 真核生物の誕生から、カンブリア爆発まで

 21億年前(±6億年): ミトコンドリア、葉緑体、中心体等に相当する生物と共生した真核生物の出現。

 20億年前: 現存する最古かつ最大の小惑星衝突 (フレデフォート・ドーム)

 20億~19億年前:  最初の超大陸(ヌーナ大陸)出現か? 大陸移動説によれば、大陸は数億年程度の周期で離散集合を繰り返していると考えられ、この頃、ヌーナ大陸と名づけられた超大陸が出現したと考えられている。

 約10億〜7億年前: ロディニア大陸誕生。

 10億~6億年前: この頃、多細胞生物が出現したと考えられている。多細胞生物は原口 (生物学)の獲得により強力な捕食能を有するに至った。

 8億5000万年前頃: この頃の1年は約435日。ストロマトライトからの計測結果による。 (ジャイアント・インパクト説)

 8億~6億年前: 大規模な氷河時代であったとされる。雪球地球(スノーボールアース)仮説。スノーボールアースの地理的な隔離の間、どのように捕食するか、どのように捕食から逃れるかの観点から多細胞生物は多様性を形成し、これがエディアカラ生物群やバージェス動物群のような多様性を形成し、スノーボールアース終結からカンブリア爆発まで、少なくとも3200万年も経過していることから、その間、全地球的な捕食と被捕食の生存競争が存在したと考えられる。

 6億~5億5000万前:エディアカラ生物群。大型の軟体性の生物群であるエディアカラ生物群は、地球全体が氷に覆われていた時期(スノーボールアース)の直後に出現し、その大部分がカンブリア紀の始まる前に絶滅した。バージェス動物群に見られるアノマロカリスやオパビニアなどの大型捕食動物の出現とともに、カンブリア爆発の際には堅い外骨格をまとった動物が多く見られるようになった。エディアカラ生物群は、新たなに出現した捕食動物に食い尽くされて絶滅したとも言われている。

 約6億年前: ゴンドワナ大陸がロディニア大陸から分裂

 約5億4200万年前~5億3000万年前の間: カンブリア爆発と呼ばれる生物の多様化が起こる。突如として脊椎動物をはじめとする今日見られる動物界のほとんどの門 (分類学) が出そろった現象である。短期間(約1000万年の間)に生物の種類を多く増やした。この頃から多くの化石が発見されるようになる。 このころより、恐竜が出現する中生代までを、古生代(約5億7000万〜約2億5000万年前)とよぶ。


参考 NHK news:http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170928/k10011158961000.html


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