イーロン・マスク氏、火星有人飛行の計画を発表

 2002年宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するスペースX社のCEOならびにCTOに就任し、2008年10月には電気自動車会社であるテスラモーターズ社の会長兼CEOに就任、2006年には太陽光発電会社ソーラーシティを従兄弟であるリンドン・リーブと共同で立ち上げ同社の会長に就任。

 2013年には時速約800マイル(約1287キロ)の輸送機関ハイパーループ構想を明らかにするなど、時代の寵児として活躍するイーロン・マスク氏が、2024年に火星への有人飛行を実現させる計画を発表した。

 マスクCEOはオーストラリアで開催の国際宇宙会議(IAC)で、この計画を発表した。マスクCEOはまた、火星での発電や採鉱、生命維持を支援するシステムを設置するために少なくとも2機の貨物用宇宙船を22年に火星に着陸させることを目指すと明らかにした。



 こうした期限に間に合わせるために、スペースXは来年半ばまでに最初の宇宙船の製造を開始する計画だという。

 火星への移住を目指す人々は、宇宙船「BFR」で宇宙を旅する。搭乗する約100人は40室以上のキャビンに分かれ、船内には広い共有スペースや娯楽用の設備が用意される見通し。

 BFRの利用方法は火星への旅以外にもあるかもしれない。マスクCEOは、BFRによって地球上の都市から都市へ、驚くほど短時間で移動できるようになるかもしれないと指摘。米ニューヨークから上海へは39分で移動できるとしている。


 野心的な火星移住計画、倫理的な問題も

 米スペースX社の創設者イーロン・マスク氏が2060年代までに100万人を火星に移住させる大胆な計画を発表したのはちょうど1年前だった。その計画の変更点について、9月29日に、オーストラリアのアデレードで開催された国際宇宙会議(IAC)においてマスク氏が説明した。最終的な目標に大きな変更はないものの、42基のエンジンを備えたBFRロケット構想に修正が加えられる予定だという。

 BFRの用途は、将来的に火星への飛行以外にも広げられる可能性があるとマスク氏は言う。たとえばBFRロケットを地球で使用し、どんなに離れた場所でも1時間以内に人が移動できるようにすることや、月面基地の建設に役立てることも検討されている。

 2017年9月29日、豪アデレードで開催された国際宇宙会議(IAC)において、イーロン・マスク氏がスペースX社の計画について語った。

 メキシコ、グアダラハラで開かれた2016年の国際宇宙会議で彼が発表した当初の「惑星間輸送システム」は、42基のエンジンを積んだ、全長120メートルの巨大なBFRを使用するとしていた。このロケットのブースターは、スペースX社がすでに打ち上げを開始している再利用可能ロケット「ファルコン9」をさらに大きくしたようなもので、燃料タンカーや乗客100人を運べる宇宙船を、繰り返し地球周回軌道に送り届ける。

 最終的には、1000基の宇宙船が地球軌道上で待機し、地球と火星の位置関係が飛行に適するようになる26カ月ごとに、宇宙船団がソーラーパネルを広げながら火星に向かう。そして3カ月から6カ月の旅を終えた後、宇宙船は超音速の逆推進ロケットを作動させて「赤い惑星」にゆっくりと着陸し、そこに人類と物資を降ろすことになっていた。

 だが、今回発表された内容によると、BFRは以前の計画よりも小さくなり、アポロ時代に宇宙飛行士を月に送り届けたサターンVよりもやや大きい程度となった。それでも新たなBFRが巨大であることに変わりはない。BFRには8階分の居住区画があり、その収容力はエアバスA380の客室よりも大きい。また、BFRの後部にはフィンが取り付けられ、これが大気の薄い、濃い、あるいはまったくない環境での着陸を容易にしてくれる。

 マスク氏は、ロケットの建造を来年中に開始したいとしており、2022年には貨物だけを積んだロケット2基を打ち上げることも不可能ではないと述べている。

 もしこれが実現すれば、スペースX社は2024年にさらに4基の打ち上げを目指すという。そのうち2基は貨物を、もう2基は搭乗員を乗せる予定だ。この2度のミッションの内容は、火星で使用に適した水源を探すことと、火星に推進剤工場を建設することだ。地球と火星間の往復を持続的に行うには、火星での推進剤の製造が不可欠となる。


 アメリカンドーリームが実現する国

 マスク氏は野心的な人物として知られる。南アフリカ出身の起業家であるが、「アメリカは、すごい夢が実現する国だ」と言って移住してきた。

 スペースX社はロケットの一部を安定して再利用できるようにした最初の企業であり、彼がCEOを務めるテスラ・モーターズ社の電気自動車は数年先まで予約リストが埋まっている。また、サンフランシスコとロサンゼルス間をわずか45分で結ぶ、次世代交通システムハイパーループも開発中だ。

  しかし彼が提案するスケジュールはいつも性急で、宇宙開発の専門家たちを呆れさせている。たとえばスペースX社は巨大ロケット「ファルコン・ヘビー」の打ち上げを何年も前に予定していたが、未だに実現に至っていない。

 おそらくはこうした遅延に対する批判を牽制するために、マスク氏は皮肉を込めて、2022年という打ち上げ予定は誤植ではないと言い、ただしこれは「強い願望に近いもの」ではあると付け加えた。

 元NASAの主任技術者で米コロラド大学ボルダー校のボビー・ブラウン氏は言う。「スケジュールや実現性はたしかに野心的ですが、私はアメリカの産業界には遠大で挑戦的な目標を達成する力があると信じています。民間部門がこうした面でリードしていくのはすばらしいことですし、さらに盛んになってほしいものです」

 一方、大きな障害のひとつとなるのが財政的な問題だ。スペースX社には自社で資金を賄うだけの余裕がなく、出資者を見つけるのは容易ではない。

 マスク氏はこの点について「わが社は資金調達の手段を見つけました。これは非常に重要なことです」と述べている。その手段のひとつは、ファルコン9と国際宇宙ステーション(ISS)用補給船「ドラゴン」を大量に建造し、それに見合うだけの物資輸送ミッションを請け負うことだ。

 数年以内に、スペースX社の経営資源はすべてBFR建造に投ずることができるようになるとマスク氏は言う。「この計画は、衛星の打ち上げや、宇宙ステーションへの物資輸送による収入によって実行可能だと考えています」


 火星移住の問題点

 しかし、マスク氏は言及していないが、人類を火星に送り込むことは、倫理的に重大な問題をはらんでいる。たとえば、人類自身や、人類が作った機器が惑星を汚染する可能性がそのひとつだ。もし火星に生命がいるとしたら、人類の侵入によってそれを傷つけてしまうかもしれないし、そこに地球外生命が存在したのかどうか判断する機会さえ失ってしまうかもしれない。

 地球の「ばい菌」を火星に持ち込まないために:火星に着陸した探査機4基の設計に携わったNASAの機械工学者コビー・ボイキンス氏が、人類が火星を汚染する可能性と、NASAによる対策について解説する。

 火星への有人飛行は定住に向けた第一歩だ。その後には、火星を実際に居住可能にする必要がある。現在のところ、空気、土壌、水といった環境面において、火星は人間の居住にまったく適していない。

 マスク氏はかつてこの問題に言及し、火星を地球環境に近づけるテラフォーミングを行い、生命が生存できる豊かな世界を作ればいいと語っている。彼がそのための手段として挙げたのは、火星の極地に核爆弾を投下し、地下に閉じ込められている氷をすべて蒸発させるというものだ。

  こうした過激な行為は、人類よりも先に火星に生命がいた場合、破滅的な結果をもたらす。米議会図書館の宇宙生物学長ルシアン・ウォーコウィッチ氏は、別の世界を地球の代替品として利用し、しかもその過程で現場を破壊するというのは、大きな欠陥のある考え方だと語る。

 「人類の待避場所として火星があると言うのは、タイタニックの船長が本当のパーティは後で救命ボートで行われますと言うなものです」。2015年のTEDトークにおいて、ウォーコウィッチ氏は述べている。「地球の過酷な環境下で居住可能な空間を作り出す方法がわかれば、人類はそれを、地球の環境を保護することと、他の惑星を探査することの両方に役立てることができるのではないでしょうか」


スペースX社、2018年末に月周回軌道へ

 2017年3月1日、スペースX社はすでに、来年末に民間人を宇宙船に搭乗させ、月を周回して地球へと帰還する往復旅行の実施計画を発表している。

 米・スペースX社は、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を届ける補給船「ドラゴン」やファルコンロケットなどを開発している民間企業だ。打ち上げに使用したロケットの再利用実験や火星探査ミッション計画など、非常に先進的で野心的な宇宙開発を行っている。

 発表によると、来年2018年の末ごろに民間人2人を宇宙船「クルー・ドラゴン(ドラゴン2)」に搭乗させ、月周回往復旅行を実施するとのことだ。打ち上げには独自開発した「ファルコン・ヘビー・ロケット」が使用される。同ロケットは、今夏初の試験フライトを行う予定となっている。

 ドラゴン2は、初のデモンストレーション・ミッションとして、今年の終わりに無人の状態でISSへ向かう。そして、来年の第二四半期には宇宙飛行士が搭乗する初の有人ミッションが行われる。現時点のNASAとの契約では、スペースXは年間にドラゴン2ミッションを4回ほど実施することになっており、そのうち3回が物資の運搬、残る1回が宇宙飛行士の搭乗である。

 計画通りに進めば、月周回往復旅行のドラゴン2は米・フロリダ州ケネディー宇宙センターの39A発射台から打ち上げられる。ここはアポロ計画のロケットが打ち上げられた場所だ。

 約45年ぶりに人々は再び月へと向かう。このミッションはさらに遠い宇宙へと続き、火星に人類を運ぶという究極的なゴールへの重要なマイルストーンとなるかもしれない。


NY-上海、39分で スペースXがロケット旅客船計画

 米宇宙ベンチャー・スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者はさらに、現在、有人火星探査用に開発中の再利用可能なロケットなどを活用し、地上の主要都市を1時間以内で結ぶ宇宙旅客船の運用を2022年以降に始めると発表した。乗客100人を乗せてニューヨークから上海まで39分で結ぶという。

 最高時速2万7千キロメートルで一時的に宇宙空間を通過し、地球上の主要都市を30分程度で結ぶ。海外旅行と数分間の宇宙旅行が同時に可能になる。価格は未定。地球での旅客輸送で需要を確保し、量産と再利用によりコストを大幅に下げる。

 イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「将来は現行の製品を駆逐する形で大型ロケットの開発に全ての経営資源を投入する」と語った。

 飛行機だと15時間程度かかるニューヨーク―上海間(約1万2千キロメートル)を39分で結ぶ計画。ロサンゼルス―ニューヨークは25分、東京とアジアの主要都市を30分前後で移動できるという。地球上のどこでも1時間以内に行けるようになる。大都市の沿岸に小規模な海上発着台を建設する。

 こうした移動手段は専門家の間では理論上は十分に可能だと考えられていたが、コスト的には難しいと思われていた。ただ、スペースXはロケットの燃料を逆噴射し、着陸させて回収する実績を積み重ねている。直近では12回連続で着地・回収に成功。近く有人飛行にも入る計画だ。航空機並みの安全性と価格水準を実現できるかが成功のカギを握る。

 地球上の旅客輸送にも使う次世代大型ロケット(コードネームBFR)は、全長106メートルで、地球に近い宇宙空間(低軌道)向けの輸送であれば現行の10倍の150トンの積載が可能になる。ロケットの上部に最大6人が入れる客室を40室をつくる。全ての部分を再利用できる仕様とする。現状のロケットは一段目ロケットのみを回収・再利用している。


 イーロン・マスク

 それにしても、矢継ぎ早に夢の世界を現実にしようという、イーロン・マスクという人物は何者だろうか?

 イーロン・マスク(Elon Musk, 1971年6月28日 - )は、南アフリカ共和国・プレトリア出身のアメリカの起業家であり、スペースX社の共同設立者およびCEOである。PayPal社の前身であるX.com社を1999年に設立した人物でもある。

 イギリス人とアメリカ人(ペンシルベニアダッチやミネソタ州出身の白人)をルーツに持つ南アフリカ人の技術者の父親とカナダ人の母親との間に南アフリカで生まれる。母親はプレトリアなどで栄養士やモデルとして働いた経歴を持つ。

 10歳のときにコンピュータを買い、プログラミングを独学した。12歳のときに最初の商業ソフトウェアであるBlasterを販売する。17歳になった1988年、Pretoria Boys高校で大学入学資格を得た後、父親の援助なしに家から独立したが、理由のひとつには南アフリカの徴兵があった。彼は「兵役につくことは、それ自体私には問題はないが、南アフリカ軍で黒人を抑圧することに時間を費やすのは、あまりよい方法のようには思えなかった」と述べている。彼はアメリカへの移住を希望した。彼は「アメリカは、すごいことを可能にする国だ」と述べている。

 母親はカナダのサスカチュワン州レジャイナの生まれで、多くの親戚がカナダ西部に住んでいた。そこでカナダ国籍を持つマスクは1989年6月にカナダに移住し、サスカチュワンのスウィフトカレントにあるいとこの小麦農場で働き、穀物貯蔵所の清掃をしたり野菜畑で働いた。また、ブリティッシュコロンビアの製材所でのボイラーの清掃やチェーンソーで丸木を切る仕事などもしていた。その後、トロントへ引っ越して、クイーンズ大学に入学するまでの間、夏に銀行のコンピューター部門で働いたりもした。

 その後アメリカ合衆国のペンシルベニア大学ウォートン・スクールへ進むための奨学金を受け、同校で学位を取得する。彼の後の言葉によると、当時、彼は人類の進歩に貢献する分野は「インターネット」「クリーン・エネルギー」「宇宙」だと考えていた。


 起業家精神の出発点

 1995年に高エネルギー物理学を学ぶためスタンフォード大学の大学院へ進むが、2日在籍しただけで退学し、弟のキンバル・マスク(英語版)とともに、オンラインコンテンツ出版ソフトを提供するZip2社を起業する。この会社はのちにコンパック社のAltaVista部門に$307Mで買収され、イーロンは2200万ドルを手にした。

 1999年にはオンライン金融サービスと電子メールによる支払いサービスを行うX.com社の共同設立者となる。X.com社は1年後にコンフィニティ社(英語版)と合併し、これが2001年にPayPal社となる。

 2002年に3つ目の会社として、宇宙輸送を可能にするロケットを製造開発するスペースX社を起業し、CEOならびにCTOに就任している。また電気自動車会社であるテスラモーターズ社に投資し、同社の最初のモデル「0001」を自ら所有する。

 2008年10月には同社の会長兼CEOに就任した。

 2006年には太陽光発電会社ソーラーシティ(英語版)を従兄弟であるリンドン・リーブ(英語版)と共同で立ち上げ同社の会長に就任した。2013年には時速約800マイル(約1287キロ)の輸送機関ハイパーループ構想を明らかにした。

 2014年9月に訪日し安倍晋三首相と会談した。来日した際にラーメン二郎新宿歌舞伎町店に立ち寄った事がTwitterで話題になった。

 2017年にドナルド・トランプ大統領のもとで、大統領戦略政策フォーラム(英語版)のメンバーだったが、トランプがパリ協定離脱を表明したため、6月に辞任した。


 イーロン・マスクの私生活

 趣味は子供と遊ぶことと映画鑑賞。2007年までマクラーレン・F1のオーナーだった。

 資産は、2005年時点において3億2,800万ドルとされていたが、2014年7月時点では110億ドルとされている。

 最初の妻はクィーンズ大学の同窓生で作家のジャスティン・マスク(英語版)と2000年に結婚したが、2008年に離婚した。彼女との間に最初に儲けた長男は乳幼児突然死症候群で生後10週間で亡くす悲劇に見舞われたが、その後は体外受精で順調に双子と三つ子の男児を次々に儲け、合計5人の子宝に恵まれた。

 2番目の妻は女優のタルラ・ライリーで2010年に結婚したが、2012年に離婚した。しかし翌年の2013年に復縁したが2016年3月に再度離婚した。2016年7月に俳優のジョニー・デップと離婚申請中のアンバー・ハードと交際が噂された。(二人は翌月に正式離婚した) 2017年4月には二人はオーストラリアのパーティー会場にツーショットで堂々と登場し、アンバーと彼女の父親はイーロンとの交際を認めた。

参考 National Geographic news: http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/100300118/

イーロン・マスク 未来を創る男
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講談社
イーロン・マスク 破壊者か創造神か (朝日文庫)
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