太陽系の外はどうなっているか?

 人類は長きにわたって、星々が放つ光を観測してきた。ガリレオは望遠鏡で惑星を見て地動説を見いだし、近年では宇宙の最深部から来るマイクロ波やブラックホールが出すX線を観測する探査機が活躍して宇宙の進化を探っている。これらはすべて波長が異なる電磁波で、いわば光の仲間だ。

 光があるおかげで、何億光年も離れている天体を知ることができる。最近では多くの恒星に系外惑星を発見している。そして波長を調べることで、その場所にどんな物質があるかまでわかってしまう。これは凄いことだと思う。

 今年、2017年の物理学賞を受賞した「重量波」は13億光年も離れた場所で起きたブラックホールの連星が合体したときに生じた「重力波」をとらえることに成功している。2015年にはニュートリノ振動の観測で梶田教授がノーベル賞を受賞している。私たちは光以外にもさまざまな手段で、宇宙やこの世界の成り立ちを探ろうとしている。



 しかし、人類がそんなに遠く離れた場所に行けるかというと難しい。光の速さで何億年もかかる場所へ行く技術を私たちは持っていない。今の次元ではなく別の次元を利用するなど、これまでとは、別の発想や法則が必要なんだろうと思う。現状では月や火星に行くことさえ大変なことである。

 人類が打ち上げた惑星探査機にボイジャー1号・2号があるが、ボイジャー1号は1977年9月5日、ボイジャー2号は1977年8月20日、米フロリダ州ケープカナベラルから打ち上げられ、木星と土星では重大な発見をし、天王星と海王星では見事な写真を撮影した。

 この2つの探査機が、ようやく太陽系の外に出ていこうとしている。それでも、ボイジャー2号がほかの恒星に接近するのは今から約4万年後のことで、小さな赤色矮星ロス248から1.7光年以内のところを通過する。ちなみに現在、太陽から最も近い恒星はアルファ・ケンタウリだが、ボイジャー2号と出会う頃にはロス248が太陽から3.02光年のところまで接近して、一時的に太陽に最も近い恒星となる。


謎の天体が太陽系を通過中

 今回、世界中の天文学者が、太陽系を横切る素早くて小さな物体の動きを追っている。米航空宇宙局(NASA)は、この物体がすい星か小惑星かも不明としながらも、太陽系の天体の動きとは異なるため、太陽系外から飛来した可能性があるとの見方を示している。

 NASAの地球近傍天体研究センターのポール・チョーダス氏は「我々は数十年間この日を待っていた」と言及。「恒星の間を飛び回り、ときには太陽系を通過することもある小惑星やすい星が存在することは以前から理論的に示されてきた。だが、探知されたのは今回が初めてだ。今のところ、あらゆるデータがこの天体が恒星間の物体である可能性を示しているが、今後さらに多くのデータが確認を助けてくれるだろう」と述べた。

 NASAによると、データ取得のため、世界中の地上の望遠鏡と宇宙望遠鏡がこの天体に向けられている。

 この天体は「A/2017 U1」と呼ばれ、米ハワイ大学の研究者が10月19日に同大の「パンスターズ1望遠鏡」を使って発見した。直径は400メートル以下で、秒速25.5キロで移動している。

 NASAによれば、この天体が地球の脅威となることはない。14日には地球から約2400万キロ離れた場所を安全に通過。今後はペガサス座の方向に進み、太陽系を脱出するとみられている。

 太陽系外から来たのではないか考えられるのは、通常の彗星と違って太陽を周回しない「双曲線」と呼ばれる軌道をとっているためだ。太陽系外から来たことがはっきりすれば初めての天体で、どこまでその正体に迫れるかが注目される。


 「外から来てまた外に去る天体」と判断

 話題となった彗星は、ハワイ大学の天文台が見つけた。「C/2017 U1」。これまでの観測で、軌道を決める重要な要素の一つである離心率が1.19と従来になく大きいことがわかった。

 太陽を回る惑星や彗星の離心率は1より小さく、離心率が0に近いほど軌道は円に近くなる。地球の離心率は0.016にすぎない。一方で離心率が1を超えると軌道は双曲線になり、太陽のそばを1度通過するだけで再び戻ることはない。つまり太陽系の外からやってきて、通過した後はまた太陽系の外へと去ってしまう。「C/2017 U1」は離心率がこれまでになく大きいことから太陽系外から来た可能性があると注目された。現在の軌道から考えると、こと座の一等星ベガの方向から飛んできたようだ、とされる。

 ただ双曲線軌道なら、どれも太陽系の外から来るかというと、そうではない。彗星や小惑星はとても小さいので、木星など大きな惑星の近くを通ると重力の影響を受けて簡単に軌道が変わってしまう。その結果、太陽を回る軌道から、双曲線軌道へと変化することも少なくない。

 実際にこれまでにも双曲線軌道の彗星や小惑星はいくつか見つかっている。しかしこれまでは離心率が1を超えてもごくわずかで、今回のように大きく超えているものはなかった。「惑星などの影響でそこまで大きくずれるかどうかが焦点。ずれると考える研究者もいる」と彗星に詳しい河北秀世京都産業大学教授は説明する。


 「太陽系外」を確定するにはガスの成分を調べる必要

 太陽系の外から来たことを確実にするには、彗星が出すガスの成分を詳しく調べる必要がある。例えば同位体と呼ばれる種類の異なる炭素の比率が、太陽系の天体と大きく違っていれば、太陽系の外から来たことを示す強力な証拠になる。しかし、今回見つかった彗星はすでに太陽から遠ざかりつつあり、望遠鏡を使って噴き出したガスの成分を分析するのは難しい。

 彗星と小惑星の区別は難しく、「C/2017 U1」は現在、小惑星を表す「A/2017U1」に名称が変更されている。彗星であれ、小惑星であれ、仮に太陽系外から飛んできたものならば、成分などがはっきりわかれば太陽系の外の様子を知る大きな手掛かりになる。

 今後、期待されるのは、さらに長期間観測してより詳しい軌道を求めることだ。「詳しい軌道がわかれば、過去に遡って惑星の影響を受けたかが調べられる」(河北教授)。もし木星などの近くを通っていないことがはっきりすれば、太陽系の外から訪れた可能性はより高くなる。

 「C/2017 U1」は小さな天体だけに光も弱く、すばるなどの巨大な望遠鏡を使っても、太陽から遠く離れると観測が難しくなる。どこまで追跡して正確な軌道を求められるかが、この彗星の正体に迫る研究を左右しそうだ。


参考 アストロアーツ: http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/9480_a2017u1


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ハッブル宇宙望遠鏡 宇宙の絶景: 太陽系から、130億光年離れた彼方の銀河まで (知的生きかた文庫)
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