“地磁気逆転”の証拠となる、77万年前の地層「チバニアン」

 およそ77万年前に地球の磁場が逆転した時の痕跡を残している、千葉県市原市の地層について、茨城大学などのグループは、地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指し、日本時間の6月7日、国際学会に申請した。

 地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」としての登録を目指すのは、市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層。茨城大学や国立極地研究所などで作る研究グループによると、この地層に含まれている鉱物や火山灰などを調べた結果、およそ77万年前に、地球の磁場、つまり「N極」と「S極」が逆転して今の状態になったことを示す痕跡がはっきりと確認された。

 このため研究グループは、この地層について、およそ77万年からおよそ12万年前にかけての地球の一時代の特徴を最もよく表す「国際標準地」としての登録を目指し、世界の地質学者で作る国際地質科学連合に申請していた。



 今回、地質時代の中で名前がなかった約77万~12万6千年前の1時期が初めて日本由来の「チバニアン(千葉時代)」と命名される見込みになった。

 このほど同連合作業部会の1次審査を通過。審査ではライバルだったイタリア南部の地層を上回る支持を得ての通過で事実上の内定で来年中に正式決定の見込み。国立極地研究所が11月14日明らかにした。

 国際地質科学連合は地質時代の区分の境界を最も観察しやすい地層をGSSPとして認定、登録している。新生代の中で約77万年前は更新世の前期と中期の境界とされるがGSSPは未認定で約77万~12万6千年前の時期の名前はなかった。国立極地研究所によると、ライバルだったのはイタリア南部のモンタルバーノ・イオニコとヴァレ・デ・マンケの2地層。国際地質科学連合作業部会の審査で「千葉セクション」はイタリアの2地層を大きく上回る支持を得たという。同連合は今後も審査を続けるが、今回厳しい学問的評価でライバルをやぶったことにより「チバニアン(千葉時代)」と命名されるのは確実と言えそうだ。


 「国際標準地」とは何か?

 地質学では地球のおよそ46億年の歴史を地層にある化石の種類などから115の時代に区分にしている。世界各国の地質学の専門家で作る国際地質科学連合は時代の境界を観察したり研究したりするのに最も優れた地層を世界で1か所、「国際標準地」として登録していて、これまで、115の時代を区切る114の境界のうち、60余りで「国際標準地」が登録されている。

 「国際標準地」は雨が少なく乾燥し地層が保存されやすい地中海沿岸にあるイタリアのほかアジアでは中国が多く、日本で登録された地層はなかった。登録されると、地層に「ゴールデンスパイク」と呼ばれる金色のくいが打ち込まれ、その時代は地層がある場所にちなんだ名前がつけられることになっている。

 「国際標準地」の登録の申請は、市原市の地層以外にも、イタリア南部のモンタルバーノ・イオニコとヴァレ・デ・マンケの2か所が行われていた。審査を行う国際地質科学連合は国際標準地の条件として、地層中に、これまでで最後の磁場逆転が記録されていること、地層が堆積した当時の環境が詳しくわかることなどを挙げている。

 研究グループによると市原市の地層が優れているのは地層に磁場の逆転が記録されていること。イタリアの2か所は地層に磁場の逆転が記録されておらず、磁場が逆転する際に宇宙から降り注いだ放射性元素を分析することで間接的に磁場の逆転を証明できたとしている。一方で、当時の環境が詳しくわかるという点では、イタリアの2か所のほうが優れていたという。

 市原市の地層が当時、大陸棚の斜面だったのに対し、イタリアの2か所は海底の平たんな場所であったことや地中海沿岸は雨が少なく乾燥しているため地層が保存されやすかったからだ。

 共同研究グループは国公立の各大学のほか国立の研究機関や博物館、企業など22の機関の32人で構成された。

 「千葉セクション」は市原市の養老川沿いの崖に露出している。この地層はかつて海底にあったころに積もり、その後に盛り上がって陸地になって崖となって現れている。

 現在は北極がS極、南極がN極だが、過去360万年間に向きが11回逆転し、77万年前が最後の逆転とされている。この約77万年前に地磁気のN極とS極が反転したことを示す証拠となる火山灰(白尾火山灰)が研究、観察上良好な状態で残っている。N極とS極は長い地球の歴史の中で不定期に反転を繰り返している。最後の反転が約77万年前とされている。

 地球は約46億年の歴史を持ち、地質時代は地層の中から見つかった生物の化石などから推定される生物の絶滅や環境変化に基づいて「先カンブリア時代」「古生代」「中生代」「新生代」に大別されている。地質学の一番細かい分類では115に区分されている。


「千葉時代」申請グループ会見「最初の審査に通りほっとした」

 千葉県市原市にあるおよそ77万年前の地層が「国際標準地」に登録され、地球の歴史の一時代がチバニアン=千葉時代と呼ばれる可能性が高まったことについて、「国際標準地」の申請を行った茨城大学などのグループが会見し「初めの審査に通りほっとしている。まだまだ審査は続くので気を引き締めていきたい」と述べた。

 千葉県市原市の養老川沿いにあるおよそ77万年前の地層には地球の磁場が最後に逆転した痕跡があり、地質学の専門家で作る国際地質科学連合の作業部会は、投票の結果、イタリアの2つの候補地を破って市原市の地層を地球の歴史の一時代を代表する「国際標準地」として上部の委員会に答申することを決めた。

 これを受けて「国際標準地」の登録を申請した茨城大学や国立極地研究所などのグループが会見し、代表の岡田誠教授が「ライバルの候補地も自分たちと遜色のないデータをそろえていた。1回の投票で多くの票を獲得し選ばれたのには正直驚いた」と話した。

 実際に「国際標準地」として登録されるためには今後、2つの委員会と国際地質科学連合の理事会での決定が必要になるということで、岡田教授は「今回の審査でだめなら、それで終わりだったのでほっとしている。就職面接で言うとまだ一次面接に通った段階だ。続く審査でダメになったケースもあるので気を引き締めていきたい」と話していた。

 今後すべての審査を通過するには1年ほどかかるということだが、「国際標準地」と正式に認められれば、地球の歴史に初めてチバニアン=千葉時代という日本の地名にちなんだ名前がつけられることになる。 


 地磁気は逆転する

 地磁気逆転とは、地球の地磁気の向きが、かつては現在と南北逆であったとすること。まさかそんなことが...と思うかもしれない。現在の北極が南極であり、現在の南極が北極であることが過去にあった。それも何回も何回も繰り返して...。

 1600年に、ウィリアム・ギルバートが地球は一つの大きな磁石であると主張した。1828年には、カール・フリードリヒ・ガウスが地磁気の研究を開始した。さらに1906年には、現在の地磁気の向きとは逆向きに磁化された岩石が発見された。

 1926年、京都帝国大学(現在の京都大学)教授の松山基範が、兵庫県の玄武洞の岩石が、逆向きに磁化されていることを発見した。松山はその後、国内外36か所で火成岩の磁気の調査を行い、他にも逆向きに磁化された岩石を発見した。松山は1929年、地磁気逆転の可能性を示す論文を発表した。当時の常識に反する考え方だったため、当初の評判はよくなかった。

 その後、古地磁気学が盛んになり、年代測定の技術も進歩した。その結果地磁気が逆転を繰り返していることがはっきりしてきた。 1964年には、アメリカの研究グループが地磁気極性の年代表を発表した。このとき、アラン・コックス(英語版)は2つの「逆磁極期」(反対は「正磁極期」)のうちの1つに、松山の名前を選んだ。


 現在判明している逆転期

 過去360万年の間に11回は逆転し、現在では、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。

 なお、国立極地研究所らの研究によれば、より精密な年代決定を行った結果、最後の磁気逆転の時期は約77万年前と報告されている。

  磁場逆転した証拠となる地層は、千葉県養老川沿いの崖面(千葉セクション)とイタリアのモンテルバーノ・イオニコとビィラ・デ・マルシェに存在する。

 しかし、地磁気逆転がどうして起きるかは、いまだに分かっていない(地球が磁石になる仕組みは、解明されつつある)。また、実際に地磁気が逆転したらどんなことが起きるのだろうか?それもまだ分かっていない。

 地磁気エクスカーションや地磁気反転期など双極子成分が弱くなり相対的に4重極成分が卓越する地磁気イベントにおいては特に中低緯度域 で宇宙線降下量の大幅な増加が予想され、それまでは地磁気によるローレンツ力で弾かれていた宇宙線の大気圏への入射量が増え、それにより大気が電離する事により、氷結核が増加して過冷却状態の水蒸気が凝結して雲の発生が増え、日射量が減少して気候が寒冷化することにより氷河期の到来等の気象変動の要因になる...という説がある。

 また過去の火星のように水蒸気が水素と酸素に分離して水素分子が大気圏から離脱することにより大気が減少するとの予測もある。宇宙線の入射量が増えることにより通常より極端に炭素14やベリリウム10や塩素36のような同位体の生成量が増え、内部被曝等で生物の突然変異の発生する確率が高まる可能性も示唆されている。


参考 マイナビニュース: http://news.mynavi.jp/news/2017/11/14/208/


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