COP23閉幕 細則は来年に持ち越し

 ドイツのボンで開かれていた第23回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)は11月18日、温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を運用するルール作りについて、2018年の合意を目指して交渉を加速することを盛り込んだ宣言を採択して閉幕した。

 米国のパリ協定離脱表明が影を落とし、発展途上国への資金支援で対立が目立った。20年以前の取り組みを強化することなどで合意したものの作業の大部分は18年に持ち越した。

 COP23の会場前では連日、石炭火力への抗議行動があった。今回は世界第2位の温暖化ガス排出国である米国がパリ協定離脱を表明後、初めてのCOPだった。米離脱の危機感から、他の国々は結束を確認する場を目指した。



 2020年から始めるパリ協定では、各国が温暖化ガス削減の自主目標を国連に提出。5年ごとに目標を引き上げ、世界全体で進捗状況を検証する。今回の会議でこれを2年前倒しして18年から試行することに合意した。18年前半に各国の排出量や削減目標を分析し、18年末のCOP24削減目標の上積みなどを話し合う。

 「タラノア対話」と呼ぶ新たな取り組みを18年から始めることも合意した。タラノアとは今回の議長国フィジーで「開かれた話し合い」を意味する。COP24までの1年間に追加会合を開き交渉を加速することにした。

 パリ協定の前身である京都議定書の下で作られた、温暖化による被害を軽減する対策を支援する基金を、パリ協定に引き継ぐことも決めた。財源確保の手段などを19年までに決める。先進国の削減目標達成や、途上国への資金支援の進捗を確認することも合意した。

 フィジーのバイニマラマ首相は閉会式で「COP23はカヌーを素晴らしいコースに乗せた」と成果を強調した。だが肝心の実施ルールについては、大半の作業がCOP24へ積み残しとなった。

 特に各国が実施した削減量の算出法や目標達成の検証は、各国の主張を盛り込んだ文書を作るにとどまった。途上国の温暖化による損失と被害への対応も持ち越した。

 米離脱の影響が最も出たのは途上国への資金支援だ。基金への拠出をやめる方針を示したことで途上国の不安が増し、先進国との協議が難航した。18年の追加会合などで各国は妥協点を探るが、容易ではなさそうだ。

 米国代表団のトップはジュディス・ガーバー国務次官補代行で、通常の閣僚級より格が落ちる。「米国にとり好ましい条件ならばパリ協定に復帰する可能性がある」と従来の主張を繰り返した。

 ただ米国も一枚岩ではない。カリフォルニアなどの9州やアップル、グーグルを含む2500以上の自治体や企業などが参加する団体「(パリ協定に)私たちはとどまっている」は講演会などで注目を集めた。(日本経済新聞 2017.11.18)


 COP23ドイツ・ボンで開催・議長国フィジーが訴え

 今年の国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)はドイツ・ボンで11月6日開幕した。議長国を務める南太平洋の島しょ国、フィジーのバイニマラマ首相は冒頭で「世界は異常気象のストレスにさらされている。我々は真剣に挑戦し、行動しなければならない」と訴えた。

 同国は、地球温暖化に伴う海面上昇や気象災害のリスクにさらされており、2015年採択のパリ協定には世界で初めて署名。気候変動に対する強い危機感がうかがえる。

 330ほどの島々で構成されるフィジー付近の海面水位は1993年以降、毎年平均約6ミリずつ上昇してきたとされる。国土の高低差が少ないフィジーでは影響は大きく、農地が海水に浸る塩害が深刻化。村ごと移住する事例も相次いでいる。昨年2月には巨大サイクロンに襲われ、44人が死亡し、被害総額は国内総生産(GDP)の3分の1に当たる約14億ドル(約1600億円)に達した。

 海面の上昇に敏感な同国。二酸化炭素(CO2)排出量は日本の1000分の1以下に過ぎないが、30年までに電力需要のすべてを再生可能エネルギーに転換することを目指している。

 今年夏、フィジーに滞在した環境NGO「気候ネットワーク」の伊与田昌慶研究員は「フィジーの住民から『日本の環境対策は進んでいるのか』と聞かれた。しかし、日本は今もCO2を大量に排出する石炭火力発電所の建設を進め、米国は国際世論を無視してパリ協定からの離脱を宣言した。フィジーの地道な温暖化対策が吹き飛んでしまうようでやりきれない」と話した。(毎日新聞 2017.11.7)


 パリ協定での実施ルールを協議、日本に「化石賞」

 地球温暖化防止対策を議論する「気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)」が6日、ドイツ・ボンで開幕した。対策の新しい枠組み「パリ協定」が2020年から実質的に効力を発揮する。今回会議は20年に向け、実施ルールを話し合うのが目的。6月にトランプ米大統領がパリ協定の離脱を表明した後、初の重要会議で、温室効果ガス排出量が世界2位の米国抜きでどこまで実行力のある実施ルールづくりができるかが議論の焦点になった。

 米国は条約そのものには引き続き加盟しているため今回会議に参加している。会議で米国がどのような主張をするか注目されている。17日までの会議期間中にパリ協定の締約国会合も同時に開催される。

 パリ協定は、先進国だけが温室効果ガスの削減義務を負った京都議定書と違い、批准各国が自主的に温室効果ガスの削減目標を掲げている。このため各国で異なる排出抑制の具体策や取り組み状況をどのように公平、公正に検証するかが最重要事項で、実施ルールの内容が協定の実効性を左右するとされる。

 パリ協定採択後、世界では「石炭離れ」が進んでいる。COP23会期中、英国やカナダ、フランスなどに米国とカナダの州政府などを加えた27の国と地方政府が石炭火力発電を廃止することを宣言。企業などを加えて「脱石炭連合」を発足させたのが、その象徴だ。

 一方、日本はこうした流れにあらがい、国内外で石炭火力発電を推進している。国内で40基を超える新設計画があるほか、会期中には国際協力銀行(JBIC)が現地で反対運動が起きている日本企業がらみのインドネシアの石炭火力発電建設に対する融資を実施した。丸紅などがベトナムでの新設を計画するなど日本は海外での石炭火力発電の拡大にも深く関わっている。

 世界の環境保護団体で組織する「気候行動ネットワーク」は11月9日、地球温暖化対策の前進を妨げている国を指す「化石賞」に、日本と、「先進国」をそれぞれ選び、ドイツ・ボンの気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)会場で発表した。日本は先進国にも含まれるため、不名誉な化石賞のダブル受賞となった。

 日本が単独で選ばれた理由は、トランプ米大統領が今月来日した際、2017~18年に米国と協力して石炭火力発電所と原発の建設を世界に広げることに合意したためだ。


 米に「特別化石賞」贈呈、NGOが痛烈批判

 ドイツ・ボンで開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP23)は11月16日、閣僚級会合での各国代表による発言を終えた。温暖化対策の枠組み「パリ協定」からの離脱を表明した米国は、「条件次第で再び加わる」などと従来の立場を繰り返すにとどまった。

 米国代表団はガーバー国務次官補代行が16日夕に発言、「トランプ大統領のパリ協定への立場は明確だ。早い機会にパリ協定から脱退する予定だ。米国の人々にとって好ましい条件になれば、後日再び加わる可能性を残している」と述べた。

 また、「米国は今後もクリーンなエネルギーとイノベーションのリーダーであり続ける」とし、「二酸化炭素の貯蔵・利用や原発などの先進的なエネルギー技術を活用する国際的な機会を追求する」と表明した。インドや中国との間でこうした技術をいかしたエネルギー部門の改善を進めていると説明した。

 こうした米国の姿勢は最後まで批判を浴びた。国際NGOは11月16日、温暖化対策に極めて後ろ向きとして、米ホワイトハウスに「特別化石賞」を贈った。声明で「議論の余地なく、最悪の中の最悪だ」と指摘した。

 日本も、石炭火力発電での先進的な技術の推進を掲げ、海外事業への投融資や国内で相次ぐ新設計画で国際的に批判されている。NGO気候ネットワークの浅岡美恵代表は「日本と米国はそっくり。このままでは数年で国際的な流れから取り残される」と話した。(朝日新聞 2017.11.17)


2017年の世界の平均気温も、観測史上高い順で上位3位以内

 実際に地球温暖化は継続中だ。米国では2017年8月下旬と9月上旬に立て続けに歴史的な超大型ハリケーンに襲われた。

 それぞれ「ハービー」(Harvey)と「イルマ」(Irma)と名付けられている。

 8月25日にテキサス州南東部に上陸した「ハービー」により、同州最大都市のヒューストン近郊では1300ミリを超える雨が降り、1000年に1度と言われる面積25000平方キロ(秋田県2つ分以上)の大洪水をもたらした。

 「ハービー」による死者数は2017年9月現在、少なくとも71人とされている。被害総額は1900億ドルとも言われ、アメリカの災害の中で史上最高の額の可能性もある。

 ハリケーン「イルマ」は2017年9月10日にフロリダ州南部に上陸。 一時は大西洋で発生したハリケーンとしては史上最強の強さに成長し、最大風速は185mph(時速約300キロ)にまで到達。勢力が5段階で最大のカテゴリー5のハリケーンとなった(「ハービー」はカテゴリー4)。

 アメリカのフロリダ州以外にカリブ海諸国でも被害をもたらし、総死者数は2017年9月現在79人とされている。 被害規模の把握が進めれらており、当局は、キーズ諸島の約25%の住宅が倒壊、65%が大きく損壊したと見ている。

 世界気象機関(WMO)が6日、2017年の世界の平均気温は、観測史上高い順で上位3位以内に入る可能性が高い、と発表した。データは9月までのもので、10~12月の数値次第で最高値だった昨年に次ぐ2位か、15年に次ぐ3位になり、いずれにせよ世界は歴史的な高温傾向が続いているという。6日からドイツ・ボンで始まった気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)に合わせてWMOが地球温暖化傾向に警鐘を鳴らした。

 WMOは今年1~9月まで世界の平均気温のデータを分析した。その結果、平均気温は14.8度で、産業革命前と比べて気温上昇は1.1度に及んでいることが分かったという。

 パリ協定は、地球温暖化の深刻な被害を避けることを目的とし、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにし、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。今回の発表データは既に目標の半分以上温暖化が進行してしまったことを示している。


 COP23 世界各地で発生の高潮の被害や対策について議論

 「COP23」では、アメリカやフィリピン、それに太平洋の島国など、世界各地で発生している「高潮」の被害や対策について議論が交わされた。

 この「高潮」、地球温暖化がさらに進行すれば、日本でも甚大な被害が出るおそれがあることが、専門家による現地調査や最新の研究で明らかになっている。2017年10月の台風21号は、中心の気圧が950ヘクトパスカルと強い勢力を保ったまま、静岡県御前崎市付近に上陸し、その後、関東地方を北東へ進んだ。

 台風の進路の東側にあたる神奈川県の沿岸では、各地で高潮や高波による被害が出た。

 高潮などのメカニズムに詳しい早稲田大学の柴山知也教授の研究グループが、現地を調査したところ、三浦半島の最南端にある三浦市城ヶ島では、島の南側から高潮とうねりを伴った高波が押し寄せ、海面から6.3メートルの高さにある陸地まで海水が到達していたことがわった。

 この場所では、海沿いにある8つの建物が壊れたほか、海岸から300メートルほど離れたところにある土産物店や飲食店なども浸水する被害が出ました。

 調査では、このほか、複数の場所で高潮や高波が防潮堤を乗り越えたこともわかり、このうち横須賀市佐島では、この地域で発生したこれまでの最大の高潮を基準に建てられた高さおよそ4メートルの防潮堤を乗り越え、多くの住宅が浸水する被害が出た。

 また、藤沢市にある江の島でも高さおよそ7メートルの防潮堤を乗り越え、内側のヨットハーバーに係留されていた多くのヨットが横倒しになったほか、駐車場のアスファルトがめくれあがったり、車止めなどのコンクリートが流されたりする被害が出た。

 柴山教授は、台風21号は、中心気圧が低く、海面を吸い上げる力が強かったうえ、暴風域が広く、非常に強い風で海水が沿岸に吹き寄せられたほか、台風の接近がちょうど満潮を迎える時間帯と重なったため、神奈川県の沿岸で高潮とうねりを伴った高波による被害が出たと分析している。

 こうした高潮の被害は、適切な対策が取られずに地球温暖化が進行した場合、将来、拡大するおそれがある。

 各国の科学者などで作る国連のIPCC=「気候変動に関する政府間パネル」の報告書では、海水が膨張するなどの影響で世界の平均海面は、21世紀末には、2005年までの19年間の平均と比べて、最大で82センチ上昇する可能性が高いとしている。


 シミュレーションでは巨大台風が倍増

 さらに、気象研究所が行ったシミュレーションでは今世紀末に日本の南の太平洋で猛烈な台風の発生や通過が増えると予想され、人口が密集する海抜ゼロメートル地帯を中心に高潮のリスクが高まる可能性がある。

 柴山教授は、「今回の台風21号は、いろんな条件が重なって波が堤防を越えて陸地に流れ込み、被害が拡大した。温暖化の影響で、最近は日本周辺の海水温が上がってきているので、台風による高潮や高波に対する警戒がさらに必要になると思う」と話している。(NHK news 2017.11.13)

 気象研究所の研究チームは、今世紀末に世界の平均気温が3度から4度ほど上がるというシナリオで温暖化が進んだ場合、台風の発生数がどのように変化するか、スーパーコンピューターを使って解析した。

 その結果、世界で発生する台風の数は、現在より3割ほど減る一方、日本の南の太平洋に限ってみると猛烈な台風の発生や通過する頻度が増える結果になったという。

 この海域で、中心気圧920ヘクトパスカルほどの猛烈な台風の発生や通過は現在、10年間で平均3つ程度なのに対して、今世紀末には10年間で5つほどに増える予測となっている。

 この要因について研究チームは、海面水温が今よりも2度から3度高くなるうえ、上昇気流も強まり、猛烈な台風が発生しやすくなるとしたうえで、こうした猛烈な台風が勢力を維持したまま日本に接近、上陸するおそれもあると指摘している。

 気象研究所の吉田康平研究官は「勢力の強い台風が日本に近づいた場合、大雨による洪水や暴風に加え、沿岸部では高潮の危険性が高まる。こうしたリスクを踏まえて対策を進めることを考えなければならない」と話している。


参考 サイエンスポータル: http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2017/11/20171120_01.html


人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社
気候変動 瀬戸際の地球 (ナショナル ジオグラフィック 別冊)
クリエーター情報なし
日経ナショナルジオグラフィック社

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please