北朝鮮兵、板門店で韓国側に脱出

 南北軍事境界線上にある板門店の共同警備区域(JSA)で北朝鮮兵士が脱北した事件には驚いた。そこに勤務する北朝鮮兵は皆、忠誠心の篤いエリートだからだ。それが白昼に堂々と銃弾を受けながらの脱出劇だった。

 11月13日午後3時半ごろ、北朝鮮軍の男性兵士が韓国側に逃走を図り、北朝鮮軍の銃撃を受けた。韓国軍合同参謀本部が発表した。北朝鮮軍兵士はひじや肩を負傷し、国連軍のヘリコプターで韓国領内に移送されて治療を受けた。

 同本部によれば、北朝鮮軍兵士は同日午後、板門店の北朝鮮側施設「板門閣」の前方にある北朝鮮軍哨戒所を出て、韓国側施設「自由の家」に向かって逃走した。韓国軍側が数発の銃声を聞いて捜索したところ、軍事境界線から南側に約50メートル入った「自由の家」の脇で倒れている兵士を発見したという。



 韓国軍は現在、北朝鮮側の挑発に備え、警戒態勢を強化している。逃走の際、南北間での銃撃戦はなかった。非武装地帯(DMZ)で勤務した経験のある脱北者によれば、DMZ勤務の北朝鮮軍は民事警察と呼ばれ、忠誠心の高い高位層の子弟が勤務している。特に板門店に勤務する要員は軍団には所属せず、北朝鮮軍総参謀部直属の将校が派遣されるという。

 任務は韓国側施設の動向などの監視や有事の際の対応など。板門閣には有事の際に使う機関銃が、外部から見えないように設置されているという。南北双方が通常は拳銃を携帯している。

 DMZに勤務する兵士は生活面で優遇されているため、脱北する動機は不祥事や対北放送に感化された場合などがほとんど。最近では1年に数人程度が脱北を試みるという。この脱北者は「板門店勤務は特権層だから、生活苦などありえない。政治的な失敗などが原因だろう」と語った。(ソウル=牧野愛博)


大量の寄生虫とB型肝炎、脱北兵から見える北朝鮮の衛生状態

 この事件でさらに驚いたのは、この脱北兵士がB型肝炎に感染しており、さらに大量の寄生虫が摘出されたことだ。エリートともいえる軍事境界線付近の兵士さえ、劣悪な衛生環境で生活していることに驚いた。ここまでひどいのかと...。

 南北の軍事境界線を越えて韓国に亡命した北朝鮮の男性兵士について、主治医は11月22日、この男性がB型肝炎にかかっていることを明らかにした。男性の体内からは大量の寄生虫も見つかっており、北朝鮮の衛生状態をうかがわせると専門家は指摘している。

 男性兵士は11月13日、非武装地帯(DMZ)を越えて韓国へ亡命した際に激しい銃撃を浴びて重傷を負い、緊急手術を受けた。医師団は男性の体内から大量の寄生虫を発見。中には体長27センチの寄生虫もいたほか、通常は犬に寄生する種類の寄生虫も見つかった。

 主治医は記者団に対し、「20年も外科医をやっているが、こんなものは医学の教科書でしか見たことがない」と語っていた。

 感染症に詳しい英ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のデービッド・ヘイマン教授はB型肝炎について、「主に未消毒の針や注射器、あるいは性行為を通じて感染する」と語り、B型肝炎はその国の病院の不衛生さを物語ると指摘した。

 脱北者については韓国の大学が2015年に169人を対象に実施した調査でも、検便を行った女性17人のうち7人から寄生虫が発見された。10人のうち1人はB型肝炎にも感染していた。

 ソウル国立医大のチョイ・ミンホ教授によれば、北朝鮮では人の排泄(はいせつ)物を肥料として作物に使っていることや不衛生な環境が寄生虫の蔓延(まんえん)につながっているという。腸内寄生虫は排泄物に触れたり、手洗いをしないことが原因で感染する。

 「北朝鮮では生計を立てるのに必死で、適切な予防措置を講じることもできない」とチョイ教授。北朝鮮の人口の少なくとも半分が寄生虫をもっていると推測する。亡命した男性兵士の寄生虫は全て除去され、容体は安定しているという。(CNN)


 寄生虫とは何か?

 寄生虫なんて、私も小さいころ小学校で検便検査を受けて以来、忘れているほどの存在だ。あれは昭和40年代だったかと思う。1度だけ検査にひっかかって、チョコレート味の薬を食べたような記憶がある。

 現代日本で忘れられている「寄生虫」とはどのようなものだろうか?

 寄生虫とは、寄生生物のうち動物に分類されるものを指す。寄生の部位によって、体表面に寄生するダニなどを外部寄生虫、体内に寄生するギョウチュウなどを内部寄生虫という。

 寄生虫と言ったときは、おもに内部寄生虫のことを意味する。一般に寄生動物は、体を固定するための構造が発達する。他方、特に内部寄生虫は、使う必要のない運動器官、感覚器官、消化器官が退化する。しかし、生殖器官は発達する場合が多く、体が生殖器官だけになってしまうような例も見受けられる。

 寄生虫にとって大きな問題となるのは、宿主間をどうやって移動するかである。特に内部寄生虫の場合、生活環のどこかで宿主間の移動をしなければならないが、大型の寄生虫では簡単な方法が少ない。

 たとえば、ヒトに寄生するギョウチュウは、ヒトの肛門周辺に産卵する。産卵の際に周辺部に痒みを引き起こし、掻き毟った手に卵が付着してヒトからヒトに移るので、比較的簡単に宿主間を移動するが、やはりよく知られるカイチュウでは、卵は大便とともに体外に排出され、野菜等に付着することで食物として他人の口に侵入するという経路を持つ。現在の日本では糞便を肥料に利用することが殆どないので、カイチュウの感染例は激減している。

 食物連鎖を利用して宿主への侵入を果たすものもいる。カマキリやカマドウマの寄生虫として有名なハリガネムシは、秋になると成虫が宿主の体外に出て、池などの水辺から水中に入り、そこで産卵する。孵化したハリガネムシの幼生は、まずカゲロウなどの水生昆虫の体内に侵入し、カマキリやカマドウマに宿主が捕食されることで再び捕食者の体内に侵入して成体へと成長する。

 このように幼生と成体で異なる宿主を持つ場合、幼生の宿主を中間宿主、成体の宿主を終宿主という。中間宿主を複数持つ寄生虫も知られている。終宿主にたどり着けない場合、寄生虫は成体にはなれないことが多い。このような複雑な生活環を持つ種では、卵が成虫になる確率は極めて低く、成体は極めてたくさんの卵を産む。


 センチュウ

 センチュウ類には、人間の寄生虫をはじめ、人間の生活に関わりの深いものも多く、それらの研究が進められる一方、自由生活のものの研究は後回しになりがちであった。しかし、自由生活のものの方が遙かに種数が多く、その研究が進むにつれ、種類数はどんどん増加しているので、どれくらいの種数があるかははっきりとは言えない状況である。その最大限の見積もりは、なんと1億種というものがある。

 これは、海底泥中のセンチュウ研究に於いて、サンプル中の既知種の割合から算定されたものである。これが本当であれば、昆虫の種数を大きく抜き去り、地球上の生物種の大半はセンチュウが占めていることになる。個体数も多く、土壌中の個体数は、地球上のバイオマスの15%を占めているともいわれている。

 ところでヒトに寄生するセンチュウ類としてはギョウチュウやカイチュウが知られている。ギョウチュウとカイチュウの違いは何だろう?


 ギョウチュウ

 ギョウチュウは線形動物門、双線綱桿線虫亜綱カイチュウ目ギョウチュウ科に属するものの総称であり、動物に寄生する寄生虫である。

 ヒトに寄生するギョウチュウは体長がオス2〜5mm、メス8〜13mm程度であり、乳白色でちりめんじゃこ状の形をしている。虫卵は卵型で直径40μm程度であり、通常の室内環境で数週間生存し感染性をもつ。

 ヒトの盲腸に寄生し、肛門の括約筋が弛緩する睡眠中に産卵を肛門の周辺で行う。このときギョウチュウの活動や、産卵の際に分泌する粘着性物質によってかゆみが発生するため(無意識下で)掻き毟ることが多々あり、手などに付着した虫卵が撒き散らされることによって感染源や自己再感染の原因となる。虫卵は人間が摂取すると十二指腸で孵化し、盲腸で数週間ののち成虫となる。先進国においては乳児・児童とその親に感染者が多く、感染率は10〜20%程度とされている。

 なお、このように直接に人間から人間に伝搬することが可能であるため、現在においても広く寄生が見られる。


 カイチュウ

 一方カイチュウ(回虫)とは、ヒトの小腸などに寄生する動物であるが、線形動物門、双線綱桿線虫亜綱カイチュウ目アニサキス科とカイチュウ科に属する。

 ギョウチュウとの違いは大きさだ。雌雄異体であり、雄は全長15〜30cm、雌は20〜35cmと、雌の方が大きい。環形動物のミミズに似た体型であるが回虫は線形動物であり、環形動物とは全く異なるので体節も環帯もなく、視細胞などの感覚器も失われており、体の先端に口と肛門があるだけで、体幹を腸が貫通する。生殖器は発達し、虫体の大部分を占める。成熟した雌は1日10万個から25万個もの卵を産む。

 次に違うのは生活史である。カイチュウ卵は小腸内で産み落とされるが、そのまま孵化する事はなく、糞便と共に体外へ排出される。排出された卵は、気温が15℃くらいなら1ヶ月程度で成熟卵になり、経口感染によって口から胃に入る。虫卵に汚染された食物を食べたり、卵の付いた指が感染源となる場合が多い。卵殻が胃液で溶けると、外に出た子虫は小腸に移動する。

 しかしそこで成虫になるのではなく、腸壁を食い破って体腔内へ出たり、或いは血管に侵入して、肝臓を経由して肺に達する。この頃には0.1cmくらいに成長している。数日以内に子虫は気管支を上がって口から飲み込まれて再び小腸へ戻り、成虫になる。子虫から成虫になるまでの期間は3ヶ月余りであり、寿命は2年から4年である。こうした複雑な体内回りをするので「回虫」の名がある。このような回りくどい感染経路をたどる理由ははっきりしていない。


 カイチュウの撲滅

 カイチュウは、かつて日本で寄生率が著しく高かった。これは人糞尿を肥料に用いていたと共に、それで栽培した野菜類を漬け物などとして生食いしていたのが大きな原因である。回虫卵は強い抵抗力を持ち、高濃度の食塩水中でも死なないので、食塩を大量に使用した漬け物でも感染は防げなかった。

 第二次大戦後は化学肥料の普及が回虫撲滅の一端を担った。現在、化学肥料の多用は環境・人体に危険であるとして下肥を用いた自然食野菜が広まっているのるが、カイチュウに対する知識が忘れられたまま安易に使うのは危険である。

 カイチュウ卵は熱に弱く、70℃では1秒で感染力を失う。従って野菜類は充分熱を通して食べれば安全である。有機栽培の生野菜を摂取するのであれば、下肥の加熱処理をしなければならない。

 それにしても、いつまで北朝鮮の人たちは貧困と飢えと、不衛生な環境と戦争好きな独裁者に苦しめられねばならないのだろうか?


参考 THE FACT: http://thefact.jp/2014/266/


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