パーキンソン病はどのような病気?

 人間のあらゆる機能を統制する役割を担うのが脳である。脳内では、神経伝達物質が細胞間の情報伝達を介在しているが、パーキンソン病を発症すると、脳内の快楽物質とも呼ばれる神経伝達物質「ドーパミン」が減少し、それによって体の運動機能に障害が出るとされている。

 パーキンソン病の症状の原因と考えられているドーパミンの減少は、中脳の中にある「黒質」と呼ばれる部分で起こる。パーキンソン病の原因ははっきりと解明されていないが、黒質の中のドーパミン神経が変性して剥がれ落ち、その部分に異常なタンパク質が集まることが確認されている。

 加齢に伴って発症しやすくなるが、働き盛りの若いうちから発症する患者さんもいる。黒質のドーパミン神経は脳の中の線条体と呼ばれる場所にドーパミンを供給する役割を持っている。パーキンソン病の患者はドーパミン神経の脱落のために線条体のドーパミンが枯渇した状態になっている。このため、パーキンソン病の症状は本質的にはドーパミン欠乏症状と考えられている。



 今回、順天堂大の研究グループが、手足などがうまく動かせなくなるパーキンソン病の患者は、健康な人に比べて血液中のカフェイン濃度が低いことを発見した。新たな診断法や治療法の開発につながる可能性があるという。

 血液中カフェインがパーキンソン病のバイオマーカーに 順天堂大グループ 2018年1月5日

 血液中のカフェインがパーキンソン病診断のバイオマーカーになり得ると、順天堂大学の研究グループがこのほど米科学誌ニューロロジーに発表した。パーキンソン病は進行性の神経変性疾患。研究グループによると、このバイオマーカーが実用化されて早期発見ができれば患者の病状進行を抑えることなども可能になると期待される。

 パーキンソン病は有病率が10万人当たり140人で、神経変性疾患としては国内で2番目に患者が多い。手足などが震えたり、こわばったりする症状が徐々に進行する難病。高齢になるほど発症率は高まるため、社会の高齢化により患者数も増えると予想されている。症状や画像診断などで診断するが発症初期の判定は難しかった。一方、患者に症状が出る少なくとも10年以上前から脳内のある種の神経細胞が減少し始めることが最近の研究で明らかになり、注目されていた。

 順天堂大学大学院医学研究科・神経学の大学院生・藤巻基紀さんと斉木臣二准教授、服部信孝教授らの研究グループは、コーヒーなどに含まれるカフェインを適量摂取することがパーキンソン病の発症予防に効果があるとした報告に着目。患者108人と健常者31人から採血して血液中のカフェインとカフェイン代謝物の濃度に差が出るかを調べた。

 その結果、健常者はカフェイン摂取量と比例してカフェイン濃度が高くなっていたのに対し、患者はその相関関係が弱く健常者より濃度が有意に低かった。血液中のカフェインだけでなく9種類の代謝産物も摂取量との相関関係が弱かった。

これらのことから研究グループは、カフェインと9種類の代謝産物の濃度を調べれば、発症の初期でもパーキンソン病罹患を見つけることが可能で、これらが早期診断のバイオマーカーになり得る、と判断したという。患者は腸管からカフェインを吸収する力が弱いとみられることから、同グループは適切量のカフェインを投与することにより、症状の進行を遅らせたり、発症を予防することにつながる可能性がある、としている。


 パーキンソン病とは何か?

 パーキンソン病(Parkinson's disease)は、手の震え・動作や歩行の困難など、運動障害を示す、進行性の神経変性疾患である。進行すると自力歩行も困難となり、車椅子や寝たきりになる場合がある。40歳以上の中高年の発症が多く、特に65歳以上の割合が高い。

錐体外路症状を呈し、アルツハイマー病と並んで頻度の高い神経変性疾患と考えられている。日本では難病(特定疾患)に指定されている。本症以外の変性疾患などによりパーキンソン様症状が見られるものをパーキンソン症候群と呼ぶ。

 人間のあらゆる機能を統制する役割を担うのが脳である。脳内では、神経伝達物質が細胞間の情報伝達を介在しているが、パーキンソン病を発症すると、脳内の快楽物質とも呼ばれる神経伝達物質「ドーパミン」が減少し、それによって体の運動機能に障害が出る。

 パーキンソン病の症状の原因と考えられているドーパミンの減少は、中脳の中にある「黒質」と呼ばれる部分で起こる。パーキンソン病の原因ははっきりと解明されていないが、黒質の中のドーパミン神経が変性して剥がれ落ち、その部分に異常なタンパク質が集まることが確認されている。

 そこで治療薬としては「L-ドパ (レボドパ) 」が使われている。「L-ドパ」は、ドパミンの前駆物質(一つ手前の化合物)で、パーキンソン病の脳で不足しているドパミンを補うための薬である。ドパミンそのものは血液から脳に入るための関所(血液脳関門)を通過できないため、服薬しても効果を示さない。

 一方、L-ドパは、血液脳関門を通過して脳内のドーパミン神経に取り込まれてドーパミンに変わり、蓄えられ、神経から遊離されて症状を改善する。 L-ドパはよく効くが、服薬したあと血液中にとどまる時間が短い(1時間強)という欠点がある。それでも病気の軽い間は神経の中にドーパミンを蓄える能力があり長く効果が続くが、病気が進行し、ドーパミンを蓄える能力が低くなってくると、ウェアリング・オフ現象(次の薬を飲む前にパーキンソン症状が現れる)が生じるようになる。

 パーキンソン病では次のような特徴的な症状が出現する。振戦(手足の震え)、動作緩慢(動作の鈍さ)、筋固縮(筋肉の固さ)、歩行障害、姿勢反射障害(小刻みで足をすった歩き方、転倒しやすさ)。多くの患者さんでは左右どちらかの手足の震えや動作の鈍さで最初のはっきりとした症状が始まるが、それ以前に筋肉の固さを感じてマッサージや整骨院に行かれることもよくみられる。震えや動作の鈍さはやがて反対側に拡がるとともに、すり足やちょこちょこ歩きなどの歩行の変化も生じ、次第に進行していく。

 パーキンソン病は、高い確率で認知症を合併する。パーキンソン病の約40%に認知症が合併していたというメタ解析データもある。パーキンソン病患者は、認知症を発症するリスクは、健常者の約5-6倍と見積もられており、パーキンソン病患者を8年間追跡調査した研究では、78%が認知症を発症した。


 パーキンソンになった著名人

 パーキンソン病になった著名人としては、あのバック・トゥ・ザ・フューチャーで有名なマイケル・J・フォックスがいる。彼は30歳の若さでパーキンソン病を発症し「マイケル・J・フォックス パーキンソン病リサーチ財団」をつくったことでよく知られている。

 マイケル・J・フォックスは1990年頃から、パーキンソン病の発症の兆候が見られていた。病を隠しつつ、テレビドラマなどに出演し続けていたが、1998年にパーキンソン病ということを公表して、2000年には俳優活動から退いていた。2010年バンクーバーオリンピックで元気な姿を閉会式で見せ、同じパーキンソン病の人達を勇気付けた。そして、2012年テレビドラマへの主演で本格的に復帰することが発表された。

 また、ローマオリンピックの金メダリストで、元世界ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリがいる。アリは引退後にパーキンソン病にかかり、30年以上の長い闘病生活に入った。公の場に出る機会は大きく減ったが、難病の中でも社会に対してメッセージを発し続けた。

 1996年7月19日、アトランタオリンピックの開会式で聖火を聖火台に点火。金メダルを再授与された。この開会式では聖火台の点火者は当日まで秘密にされていたが、女子水泳選手のジャネット・エバンスが点火台まで聖火のトーチを運び上げた際、アリは彼女からトーチを受け取り、病気のため震える手で点火用のトーチに火を点けた。点火用トーチに着火するとそのトーチは上昇し、上にある聖火台に飛び込んで点火される仕掛けになっていた。

 他にはアドルフ・ヒトラー(ナチスドイツの党首で、独裁者)がいる。1942年頃からヒトラーの左手は震え始める。映像を見た神経科医や、晩年のヒトラーと接見した軍医はパーキンソン病と診断している。当時はまだ治療法がなくやがて右手も不自由になった。

 永六輔は、日本の作詞家、タレント、随筆家。2009年に呂律が回らなくなったが、加齢と入れ歯のせいだと思っていたところ、2010年にパーキンソン病と診断され公表した。一時は引退も考えたと語る事もあったが、投薬治療されるようになってからは症状が良くなりラジオでも会話が滑らかになった。2016年7月7日午後1時57分に、東京都内の自宅にて死去していたことが同月11日に発表された。83歳没。永の死の5日後に、大橋巨泉も82歳で死去している。


 パーキンソン病の歴史

 1817年にイングランドのジェームズ・パーキンソン(英語版)により初めて報告された。ジェームズは、現代でいうパーキンソン病の症状を呈した6症例を、振戦麻痺 (shaking palsy) という名で紹介したが、記載した症状は、寡動・安静時振戦・姿勢保持障害・前傾姿勢・小字症などで、筋強剛については記載していない。

 ジェームズの報告は長い間評価されなかったが、1888年になってフランスのジャン=マルタン・シャルコーによって再評価された。シャルコーは筋強剛についても記載し、彼の提唱により本疾患はパーキンソン病と呼ばれるようになった。シャルコーが改名を提唱した理由は、本当の意味での「麻痺」は見られないためと、すべての患者に必ずしも振戦が見られるわけではないためであった。もう一つの主要症候である無動・動作緩慢については、サミュエル・アレクサンダー・キニア・ウィルソン(英語版)がその教科書の中で提唱している。

 パーキンソン病の病理に関しては、1913年にフレデリック・レビーが神経細胞内の封入体 (レビー小体) を初めて記載、またロシアの神経病理学者コンスタンティン・トレティアコフ(英語版)は1919年、パーキンソン病の責任病変が中脳の黒質にあると発表した。

 パーキンソン病の治療は19世紀末までにベラドンナアルカロイドが効果のあることがわかり、20世紀に入ってスコポラミンによる治療が、1949年にはトリヘキシフェニジル(英語版)の治療報告が行われている。L-ドパ (レボドパ) は1913年にはすでに精製単離されていたが、1950年代後半から脳内、特に線条体でのドパミンの存在と、その低下がパーキンソン病で見られることが報告されると、1960年代にレボドパを使った実験・試験が始まり、その効果が明らかとなった。

 1987年にスウェーデンのルンド大学のオーレ・リンドヴァールたちが、中絶胎児からとった中脳の一部の細胞を、パーキンソン病患者の線条体へ移植する臨床研究を行った。彼らは細胞移植によりパーキンソン病の脳機能の回復が起こったと報告している。数体の中絶された胎児から細胞を採取する必要があるため、その倫理的な問題性と中絶された胎児を数体同時に入手するのが困難なため治療法としては確立していない。しかし、近年進められているiPS細胞の開発が細胞の確保を可能にしつつある。


 パーキンソン病の予防法

 パーキンソン病の原因はまだはっきりしていないため、現状では確実な予防法は存在しない。しかし、以下に紹介する方法は、病状の悪化や、パーキンソン病と関係がある脳内物質の減少を防ぐことにつながると考えられている。

運動する: 手の震えや姿勢反射など、思うように体を動かせないという運動症状が現れるため、患者本人が外に出るのを嫌がるようになりがちですが、病状を悪化させないためには、適度に運動をすることが大切。そうすることで、筋力の低下を防げるだけでなく、ドーパミンの増加にもつながる。

ドーパミンを増やす:ドーパミンの分泌との関係性が指摘されているパーキンソン病。日常生活の中で意図的にドーパミンを増やすことは、パーキンソン病患者の生活の質を向上させることにもつながる。

好きなことや得意なことをする: 幸福感を得られ、やる気を高める役割を果たすドーパミンは、好きなことや得意なことをすることで分泌が増えるといわれる。また、何かを達成したときの報酬により、ドーパミンの分泌が活性化されるともいわれている。達成できそうな目標を立てて、達成するたびにご褒美を得られるような設定にするとよい。好きなことを楽しみながらたくさん笑うこともおすすめだ。

「チロシン」を含む食品を食べる: タンパク質の一種であるチロシンは、ドーパミンをはじめとする神経伝達物質の原料とされる栄養素。乳製品やアーモンド、大豆、かつお節などに豊富に含まれていて、ストレス緩和やうつの改善効果が期待できるとされている。


参考 サイエンスポータル: http://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2018/01/20180105_01.html


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