1億分の1秒を撮影可能 超高速デジカメ開発

 光は速い速いといいながら、今一つ実感が湧かないというのが、大方の感想ではないだろうか。もし、そんな速い光を映像で捕らえることができれば、実感が湧くに違いない。

 今回、1億分の1秒の一瞬の光景を捉えることができる超高速デジタルカメラを近畿大学などのグループが開発し、レーザーの光が進んでいく様子を撮影することに成功した。

 超高速デジタルカメラを開発したのは、近畿大学や立命館大学などのグループ。



 グループはレンズからの光を電気信号に変換する「イメージセンサー」を改良するなどして、1億分の1秒の速さで連続10枚の画像を撮影できるようにした。3月22日、大阪・八尾市でこのカメラを使った実験が公開され、7メートル余りの間隔で向かい合わせに鏡を置いて、その間を反射するレーザー光線の撮影が行われた。

 光は1秒間におよそ30万キロメートル、1億分の1秒ではおよそ3メートル進むが、このカメラを使って撮影した結果、緑色のレーザー光線が鏡の間を反射して進む様子が捉えられた。

 グループによると、これまでに特殊な方法を使って光の進み方を検出することはできたが、1台のカメラで成功したのは初めてだという。

 グループは超高速で撮影できることで、自動運転で歩行者を認識する技術や生物の細胞で起こる現象の観察などに役立つとしている。

 近畿大学理工学部の竹原幸生教授は「これまでのものと比べ、簡単に撮影できるので、さまざまな場面に応用ができる非常に強力な技術だ」と話している。


 ハイスピードカメラ(高速度カメラ)とその歴史

 ハイスピードカメラ(高速度カメラ)は、目にも止まらぬ短時間の高速現象を高速撮影して、スローモーションで観察する特殊なカメラ装置。通常のビデオカメラは、1秒間に30枚の撮影をおこなうが、ハイスピードカメラ(高速度カメラ)は、1秒間に数百~数万枚の高速撮影ができるため、驚くほど鮮明なスローモーション映像の再生が可能になる。撮影速度はfps=frame per secondの単位で表し、今回の機種では1億fpsと超高速撮影が可能になった。

 ハイスピードカメラの歴史をたどると、フィルム式、ビデオ式、デジタル式と変わっていく。

 世界で最初に高速度写真撮影を行ったのは、英国の写真発明家 William Henry Fox Talbot(1800 - 1877)。1851年、大気中の火花放電を使って瞬間写真撮影に成功した。彼は、ライデン瓶に蓄えた電荷を空中で放電させ、1/2,000秒(500マイクロ秒)の発光を作り、回転板で回転しているLondon Times紙の文字を見事に静止させるという写真撮影に成功した。

 その時使用した感光材が、ASA4相当(現在のフィルムの1/100)のガラス板に卵白と水に硝酸銀を混ぜて塗布した「amphyitypes」(amphitype、ambrotype)と呼ばれたものだった。それにF/32の口径比を持つレンズ(現在のレンズの1/500の明るさ)で撮影された。今から比べれば、5,000倍も暗いシステムで見事に高速瞬間撮影を行った最初の出来事だった。

 高速度ビデオカメラの開発は、1972年、米国Video Logic社が開発した120コマ/秒、白黒ビデオカメラに始まる。このビデオ装置は、テレビカメラの4倍のスピードをもっていた。従来、高速度カメラといえば16mm巾映画フィルムを用いた高速カメラが一般的だったが、このビデオカメラが世に出て以降、多くの種類の高速度ビデオカメラが開発され、高速度カメラの主流になった。

 フィルムカメラを使えば、フィルムを駆動するメカニズムの高速化により10,000コマ/秒程度の撮影が比較的容易に達成された。しかしビデオカメラの場合には、取り込む画像は一筆書きのように記録されるため記録周波数が高くなり、高速度映像記録は容易ではなかった。


 デジタルハイスピードカメラ

 デジタルハイスピードカメラの構成要素はビデオカメラと大差ないが、大別すると一体型と分離型が存在する。一体型はカメラのボディー内に記録用メモリーや処理系の回路を内蔵し、筐体としては1つのハードで構成される。

 分離型はセンサーとその周辺回路以外の機能を持たない小さなカメラヘッドと、専用のカメラケーブルで結ばれたメモリや処理系の回路を内蔵した本体部分で構成される。こうした外観の違いは使用される環境や目的を考慮した結果である。

 また、撮影後の画像データを保存する必要がある場合はさらにパソコンが必要になる。パソコンとの接続にはUSB、IEEE 1394、ファイバーチャネル、イーサネットなどさまざまな形式があるが、どの接続方式を採用するかはメーカーの考えに依存している。また、一部の分離型ハイスピードカメラの中には本体部分に専用のボディーを使用せず、直接パソコンにカメラを接続して使用する製品もある。

 デジタル式の場合、撮影後すぐに映像を再生できるため、映像の評価をその場で簡単に行える。また、繰り返し撮影を行う場合は再度録画ボタンを押すだけで良いため、手軽に繰り返し撮影が行えるうえに消耗品も発生しないという特徴がある。

 この他、メモリ式カメラの最大の特徴としては、エンドレスループレコーディング機能が挙げられる。ビデオテープやフィルムを記録媒体に用いた場合は物理的に記録時間に限りがあるが、デジタルメモリーはその容量に応じた絶対記録時間内であれば、上書きを繰り返しエンドレス記録(リングバッファー)が行える。ただし、この場合は上書きされた映像が消えてしまう。

 ハイスピードカメラに使用されるセンサーの多くはCMOSイメージセンサであり、CCDイメージセンサを使用したカメラは少ない。ハイスピードカメラに求められる最大の機能は、当然ながら高速で映像を撮影できることであるため、高速で電荷を読み出せるCMOSの特徴がマッチするためである。ただし、CMOSはCCDに比べて感度やノイズの点で不利な場合が多く、こうした問題点をいかに解決するかがセンサー開発の鍵となる。

 最近では高画質・高感度なCMOSセンサーが開発され始め、少しずつハイスピードカメラに採用されるケースが増えつつある。しかし、こうしたハイスピードカメラに使用できるセンサーが手軽に入手できるようになったことから、ハイスピードカメラのメーカーが乱立しており、ユーザーの立場から見れば使用する場合に選択の幅が広がったとの利点もある代わりに、機能や性能・特徴を表示したカタログやWEB上での表現が分かりづらいため、目的とする機能・性能を得られない製品を誤って選択してしまうケースがあるので、注意が必要。

 現在ではカシオ・エクシリム Pro EX-F1のように、デジタルカメラにも1200fpsの高速度撮影の機能を備えた機種が市販されている。


参考 近畿大学 News Release: www.kindai.ac.jp/news-pr/news-release/index_2.html

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