世界一大きな動物は何か?

 世界一大きな動物はシロナガスクジラである。現存する最大の動物種であるだけでなく、かつて地球上に存在した確認されている限りの恐竜や動物を含めても、あらゆる既知の動物の中で最大の種であり、記録では体長34メートルのものまで確認されている。

 クジラが巨大化した理由は何だろうか? ヒゲクジラ亜目の巨大化について調べた研究によれば、彼らがここまで大きくなったのは450万年以内と比較的最近のことらしい。

 その原因は、気候変動によって食料が豊富になったことによる。およそ450万年前、環境の変化によりこの時期は北半球で氷床が増えていた時期と重なることが分かった。



 氷河から流出した水は鉄などの栄養分を沿岸に流した。また激しい季節的な噴出サイクルによって冷たい水が深いところから湧き上がり、有機物を海面に押し上げた。この生態系的効果が大量の栄養を海に与え、海洋の食物系に連鎖反応を引き起こしたのである。

 動物プランクトンとオキアミは栄養素をむさぼった。すると長さ数キロ、厚さ20メートルに及ぶ局地的に密集した帯を作り上げた。クジラにとって食べ放題のレストランが登場したわけだ。ヒゲクジラの仲間たちは大量の餌を好きなだけ食べられるようになり、体はどんどんと大きくなった。しかしこれは部分的な答えでしかない。

 豊富な食料だけで巨大になったわけではない、と説明するのは同じく研究に参加したシカゴ大学のグラハム・スレーター博士。オキアミや動物プランクトンの大発生は季節的なものであったため、クジラは餌を求めて何千キロも旅しなければならなかった。

 このとき体が大きいクジラほど燃料タンクが大きく、長旅における生存に有利だったのである。長距離の移動は大きな体のほうが得するのだ。そして何より、水の中では浮力によって重力の束縛から逃れられるためであると考えられる。


 クジラやトドらの大型化、理由を解明、定説覆す 

 陸生哺乳類の中にも体が大きなものは存在するが、地球上で真に巨大な生物を見つけるなら、海に行くことだ。

 これまでの説では、海洋哺乳類の体が大きいのは、水の浮力によって重力の束縛から逃れられるためとされてきた。それもまだ関係あるのかもしれないが、海洋哺乳類のあの重さは、冷たい海の中で体を温かく保つために必要なものだという論文が発表された。

論文は、3月26日付けの学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された。海にすむ哺乳類は「体温を効率よく維持することと、食べ物を十分に確保することの間で、妥協点を見つける必要があります」。論文の主執筆者で、スタンフォード大学の生態学者、ウィリアム・ギアティ氏はそう語る。

「海洋哺乳類の体が大きいのは特別な事情があるからです。彼らは大きくなることが『できる』のではなく、大きくなる『必要がある』のです」

 大きいほど有利、だが……  ギアティ氏のチームは、一連のコンピュータモデルにより海洋哺乳類の体の大きさに影響する要因を分析したところ、ふたつの要因が決定的であることを発見した。

 1つ目は、十分な体温を保存しておくためには、大きな体が必要ということだ。体が大きい哺乳類は、周囲の水によって失われる体温が少なくて済む。これが体の小さな哺乳類に対する大きなアドバンテージとなる。

 一方で、体の大きな動物はより多くの食物を必要とする。これがふたつ目の要因だ。大型の哺乳類は、体に熱を封じ込めるという点においてはすぐれていても、その分に見合う食べ物がちゃんと確保できなければ何の意味もない。

 英レディング大学の進化生物学者、クリス・ベンディティ氏によると、体の大きさは、動物を研究する上で最も重要なもののひとつだという。

 「たとえば、動物の体の中で何かひとつだけ計測をするとしたら、体の大きさを選ぶべきです。なぜなら体の大きさは、ほかのたくさんの要素に関わりがあるからです。もしある動物がどれくらいの大きさなのかがわかれば、彼らがどうやって動くのか、代謝率はどのくらいかといったことが推測できるでしょう」


 実は陸上より海中は多様性に乏しい

 この5年ほどの間に、哺乳類の仲間にはそもそも大きな体を持つように進化する傾向があることを示す証拠が発見されてきた。体が大きい動物は、交尾や食物、その他の資源をめぐる争いでライバルに勝つ可能性が高く、多様な食物を入手できる。

 しかしながら、陸生哺乳類には重力という縛りがある。彼らは大きな骨と血管で巨体を支えつつ、同時にしっかりと動けなければならない。ゾウのように体重数トンという動物に進化するのはごく稀なケースだ。

 この研究に着手した当初、海洋生物の体が大きいのは、単に陸上で制約として働く重力が、海では関係ないことが確認できるだけだろうとギアティ氏は考えていた。

 こうした予想に反し、データが示していたのは、水生哺乳類の最小サイズは、最小の陸上生物よりも1000倍大きく、一方で最大サイズの方はわずか25倍という結果だった。体の大きさは、陸上の動物よりも狭い範囲に収まっていた。つまり、陸上よりも海のほうが制約がきつかったのだ。これは、海洋哺乳類の体がこの大きさに収まる何らかの要因があることを示していた。

 ベンディティ氏は言う。何が動物の体の大きさを決定するのか、その謎がまだ完全に解明されたわけではない。それでも生物たちはいまも、あらゆる形、あらゆる大きさへと進化し続けている。


 ベルクマンの法則とは何か?

 動物の大きさについては、ベルクマンの法則がある。

 ベルクマンの法則とはドイツの生物学者クリスティアン・ベルクマン(Christian Bergmann)が1847年に発表したものであり、「恒温動物においては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」というものである。

 これは、体温維持に関わって体重と体表面積の関係から生じるものである。類似のものにアレンの法則があり、併せてベルクマン・アレンの法則と呼ばれる事もある。

 例えばよく例に挙げられるものに、クマがある。熱帯に分布するマレーグマは体長140cmと最も小型で日本からアジアの暖温帯に分布するツキノワグマは130-200cm、温帯から寒帯に生息するヒグマは150-300cm、北極近辺に住むホッキョクグマは200-300cmにも達する。また日本国内のシカは北海道から慶良間諸島まで分布するが北海道のエゾシカが最大であり、慶良間諸島のケラマジカが最も小柄である。

 この現象の理由は、体温保持との関わりで説明される。恒温動物は、常に体温を一定に保つために体内では常に熱を生産している。この熱は、筋運動やさまざまな代謝によって生み出される。

 他方、体表面からは熱が放出され、それを促進するためには発汗による気化熱が利用される。したがって体内での熱生産量はほぼ体重に比例し、放熱量はおおよそ体表面積に比例する。つまり放熱量は体長の2乗に、熱生産量は体長の3乗に比例する。これは、体長が大きくなるにつれて体重当たりの体表面積は小さくなることを意味する。いわゆる2乗3乗の法則の例の一つである。

 温暖な地域では体温を維持するためには放熱を十分に行う必要があるから体重当たりの体表面積は大きくなければならず、小型であるほうがよい。逆に寒冷な地域では放熱は簡単であり、むしろ体温を維持するためにはそれを抑える必要があり、そのためには大型であることが有利となる。


 アレンの法則とは何か?

 類似の法則にアレンの法則がある。1877年にジョエル・アサフ・アレン(Joel Asaph Allen)が発表したもので、「恒温動物において、同じ種の個体、あるいは近縁のものでは、寒冷な地域に生息するものほど、耳、吻、首、足、尾などの突出部が短くなる」というものである。

 これも体温維持に関するもので、このような体の突出部は体表面積を大きくして放熱量を増やす効果がある。温暖な地域では、そのような部分の拡大は放熱量を増やすことで体温維持を容易にすることになる。

 逆に寒冷な地域ではその部分から体温を奪われるという点と共にそのような部分の体温を維持するのが困難なため、凍傷になりやすいという問題点がある。

 例えばキツネ類ではアフリカから中東の砂漠地帯には非常に耳の大きなフェネックが生息し、極地に生息するホッキョクギツネでは耳が丸くて小さいことなどその例に当たる。あるいは、(ヒトを除けば)最も寒冷な地域に生息するサルであるニホンザルが近縁のものと比べても極端に短い尾を持つこともその例に挙げられる。


National Geographic news: natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/032800137/


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