レアアースはハイテクに必要不可欠

 レアアース(rare earth elements)といえば、希土類元素ともいう。31鉱種あるレアメタルの中の1鉱種で、スカンジウム 21Sc、イットリウム 39Yの2元素と、ランタン 57La からルテチウム 71Lu までの15元素(ランタノイド)の計17元素の総称(元素記号の左下は原子番号)である。

 周期表の位置では、第3族のうちアクチノイドを除く第4周期から第6周期までの元素。なお、希土類・希土は、かつて稀土類・稀土とも書き、英語名の直訳であり、化学的に単元素の分離抽出が難しいことに由来している。

 iPad、プラズマテレビ、レーザー、自動車のモーター、バッテリー、エンジン用触媒コンバーターなどのハイテク製品や精密誘導兵器、ミサイル、軍用アビオニクス、人工衛星、暗視装置など軍事兵器まで使われている。



 2009年に中国がレアアースの輸出を制限したとき、世界に大きな衝撃を与えた。その後、南鳥島沖、約5700メートルの海底の泥を分析。その結果、世界最高濃度のレアアースを含む鉱床であることを突き止めた。

 中国のレアアース含有量が500~1000ppmであるのに対し、南鳥島沖の鉱床はその約10倍となる約6600ppm。5700メートル海底であるため、水圧と海流に耐える技術と処理技術などの技術的な課題は残っている。しかし、海底下2~4メートルという浅い地層で発見されたため、上記の課題を乗り越えれば、採掘自体は簡単になるという。


 日本の排他的経済水域内にレアアース資源を確認

 早稲田大学(早大)らは、日本の南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)内に存在するレアアース泥の資源分布を可視化して資源量を把握し、世界需要の数百年分に相当する莫大なレアアース資源が存在することを明らかにし、さらに、レアアース濃集鉱物を選択的に回収する技術の確立に成功したことを発表した。

 この成果は、早稲田大学理工学術院 髙谷雄太郎講師、東京大学工学系研究科 加藤泰浩教授らの研究チームが、千葉工業大学、海洋研究開発機構、東亜建設工業、太平洋セメント、東京工業大学、神戸大学と共同で発表したもので、英国のオンライン科学誌「Scientific Reports」に4月10日(現地時間)に掲載された。

 レアアース元素は、再生可能エネルギー技術やエレクトロニクス、医療技術分野など、日本が技術的優位性を有する最先端産業に必須の金属材料である一方で、レアアースの世界生産は中国の寡占状態にあり、その供給構造の脆弱性が問題となっている。今後もレアアース資源の安定的な確保は不可欠で、日本の排他的経済水域内(EEZ)におけるレアアース泥の分布およびレアアース資源量の正確な把握が望まれていた。


 世界需要の数百年分のレアアース確認

 今回、研究チームは、南鳥島EEZ南部海域に存在する有望エリアのレアアース資源分布を初めて可視化することに成功した。特に、北西に位置する一角に極めてレアアース濃度の高い海域が存在することを確認し、このエリア(約105km2)だけでも、レアアース資源量は約120万トン(酸化物換算)に達し、最先端産業の中で特に重要なジスプロシウム、テルビウム、ユウロピウム、イットリウムは現在の世界消費の57年分、32年分、47年分、62年分に相当することがわかった。

 また、有望エリアの全海域(約2,500km2)を合算すると、その資源量は1,600万トンを超え、同エリアが量(資源量) と質(鉱物学的な特長を生かした選鉱が可能)両面から、レアアース泥の莫大な資源ポテンシャルを持つことが明らかになった。

 さらに、研究チームは、レアアースの大半が含まれる生物源のリン酸カルシウムが、レアアース泥中の他の構成鉱物に対して大きな粒径を持つことに着目し、粒径分離によってレアアース泥中の総レアアース濃度を最大で2.6倍にまで高めることに成功した。粒径分離によって泥の重量が大幅に減少するため、海上への揚泥や製錬のコストの削減も期待される。

 これにより、レアアース泥の粒径選鉱を行うことによってレアアース泥開発の経済性を大幅に向上させることが可能となる。加えて、日本のEEZに莫大なレアアース泥が確認されたことは、我が国の資源戦略に対しても極めて大きなインパクトを与える。

 この研究成果をもとに、将来的に南鳥島レアアース泥の開発が実現すれば、日本のみならず世界においても海底鉱物資源の開発が進展するとともに、レアアースを活用した多様な最先端産業の発展・創出といった波及効果が期待される。

 ハイドロサイクロンを用いた分級試験の様子(出所:東工大ニュースリリース)※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。


中国、日本のEEZでレアアースなど海底資源を10年以上「無断採取」

 中国が日本の排他的経済水域(EEZ)で日本政府の同意を得ずにレアアースと海底熱水鉱床などの海底資源を無断で採取していると読売新聞が4月15日に報道した。

 同紙は中国がこれまで発表した関連論文を基に、中国の海洋調査船が日本のEEZ内に進入し、海底資源を調査して豊富な鉱物資源を含有する海底熱水鉱床とレアアースのほか、珍しい深海生物まで採取してきたと伝えた。

 2007年8月から今年1月までに発表された論文30本を分析した結果、海底資源採取地点の緯度と経度、時期などに関し2003年から2014年にかけて沖縄周辺と沖ノ鳥島付近のEEZで中国船が実施した調査と一致する記述があることで判明したと説明した。

 これに先立ち日本経済新聞は4月10日に日本最東端の南鳥島周辺の海底に埋蔵されているレアアースは最小1600万トンで、世界が数百年使用できる規模だと伝えた。


参考 マイナビニュース: https://news.mynavi.jp/article/20180411-614917/


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