動物の神経系はどうなっているだろうか?

 神経系(nervous system)とは、主に神経細胞(ニューロン)の連鎖によって作られる神経を通して、外部の情報の伝達と処理を行う動物の器官。

 ファーブルは狩りバチが幼虫の餌となる昆虫を殺すのではなく麻痺させていることに気がついた。そこでその獲物のとらえ方を観察し、神経節が特に集中している場所を刺してその昆虫を麻痺させていることを見いだした。そこで、神経節が集中していない昆虫、たとえばイモムシを餌とする種ではどうかと調べたところ、頭からすべての体節に針を順番に刺しているのを確認し、獲物の神経系について非常によく知っていると感心している。

 動物の種類によって神経系の形態はいくつかに分類される。まず海綿動物・平板動物は神経系を持たない。それ以外の動物門は、それぞれに独特の神経系を持つ。神経系の発達は、体制の発達を考えた場合に、一つの高等さの指標となる。



 クラゲなどの腔腸動物では神経細胞(上皮筋細胞)が体表にあり、分散型のネットワークを形成する。中枢神経が分化しない。散在神経系という。その他の動物はすべて集中神経系である。

 ヒトなどの脊椎動物を含む脊索動物は、中枢神経系は背面中央に1本あり、管状。前方部分が脳に分化するものが多い。これを管状神経系という。

 昆虫類などの節足動物、環形動物、軟体動物は、中枢神経系は腹面左右に1本ずつあり、各体節ごとに神経細胞が集まってその両者を連結する神経節が存在する。節足動物の昆虫などでは、頭部と胸部の神経節が発達して脳を形成する。はしご形神経系という。

 プラナリアなどの扁形動物は、神経細胞が頭部に集まって神経節をつくり、その他の部位では、はしご状に連絡する神経索が存在する。これを、かご形神経系という。


 カタツムリの記憶を「移植」、人間への応用可能性も?

 米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の神経生物学者のチームはこのほど、カタツムリの神経系内にある記憶を別の個体に「移植」することに成功したと明らかにした。科学誌「eNeuro」に研究論文を発表した。

 研究チームは記憶の移植のため、電気ショックで再三にわたりカタツムリを「訓練」した。

 論文の筆頭著者を務めたUCLAのデイビッド・グランツマン氏によれば、訓練では「感作」と呼ばれる非常に単純な記憶を誘導した。「感作」については、地震など身体的に不快な出来事を経験することにたとえている。

 カタツムリの尻尾に一連の電気ショックを与えた結果、反射が大幅に増強され、皮膚に触ると体を強く収縮させるようになったという。

 研究チームはさらに、活発で敏感な状態のカタツムリの神経系からRNAを抽出し、訓練を受けていない個体に注入。24時間後にこうした個体の反射を調べたところ、電気ショックを与えられていたカタツムリと同様の反射を示したとしている。

 グランツマン氏は実験にカタツムリを用いた理由について、神経学者は数十年にわたりカタツムリ類の脳の働きを研究してきたと説明。「人間の脳は非常に複雑であることから、カタツムリ類は比較的単純な神経系を有しているという点で多くの利点がある」と述べた。

 カタツムリ類に言えることは、進化の観点から、なんらかの面で人間にも当てはまりそうだ。「あらゆる動物にみられる学習・記憶関連の細胞機構の多くは、まずはカタツムリ類で観察されたものだ」という。(CNN)


カタツムリは2つの脳細胞を使って複雑な選択を素早く処理、決断

 「食べるべきか、食べざるべきか?」 淡水カタツムリは水辺でエサを目の前にしたときにとっさにこう考え、すぐさま決断を下しているという。

 この素早い決断は、カタツムリのノロノロしたペースにはそぐわないように思える。しかし、研究者たちはカタツムリは2つの脳細胞を駆使して複雑な決断を素早く行っていることを発見した。

 一方の脳細胞が、空腹かどうかを判断し、もう一方の脳細胞が食べ物がそこにあるかどうかを見極めているのだ。

 イギリス、サセックス大学の研究者たちは、淡水カタツムリがエサをとる様子を観察していて、この発見に至った。この発見は、より効率的なロボットの人工知能の開発につながる可能性があるという。

「わたしたち人間は複雑な行動決定をしているが、それを実行に移すとき、脳の中でなにが起こっているのか、実はあまりわかっていない」研究を進めるサセックス大の神経科学者、ジョージ・ケメネス教授は言う。

 「この研究は、たったふたつのニューロンが、生物の脳内でいかにして複雑な決定作業をし、それを効果的に利用するメカニズムを作っているかを初めて明らかにした。さらに、このシステムが一度の決定作業時にかかるエネルギー消費量を管理していることもわかった」

 カタツムリの決定作業をテストするために、脳に電極を取りつけて、ニューロンの活動の変化をみた。すると、コントローラーとモチベーターというふたつの細胞が、決定作業をするのに互いにフィードバックしていることがわかった。食べ物が目の前にあると、コントローラーがカタツムリにその存在を知らせ、モチベーターが空腹だと言えば、カタツムリは食べるという行為に出る。

 しかし、食べ物がないと、この回路は活動を抑え、エネルギーを節約する。食べ物を探すのは、生き物にとって生存スキルの基本であり、直接目標に向かう行動だ。

 こうしたタイプの決定作業をしている間に、カタツムリはまわりの環境の情報を取り込んで、自分の体の状態と組み合わせているに違いない。エネルギーをムダに浪費せずに食べ物を見つけるためだ。

 ケメネス教授は、この発見が似たような決定作業プロセスの根底にあるコアなニューロンシステムを特定するのに役立つかもしれないという。

 最終的には、必要最小限な構成部品で複雑なタスクを行うという原則を踏まえた、ロボットの人工知能の開発に役立つだろうという。研究の次のステップは、カタツムリの脳の特殊なニューロンをピンポイントで狙えるツールを開発することだ。


 神経系に侵入、神経を操る寄生虫

 アフリカマイマイ(阿弗利加蝸牛)は、腹足綱柄眼目アフリカマイマイ科に分類される巻貝。近縁種とともに世界最大の陸産巻貝の一種である。

 本種を中間宿主とする寄生虫(広東住血線虫)は、人間に寄生した場合、好酸球性髄膜脳炎を引き起こす危険があり、場合によっては死に至る。触る、這った跡に触れる等してもこの寄生虫に寄生される危険がある。

 日本では植物防疫法により有害動物指定を受けており、分布地からの生体の持ち込みは原則禁止されており、世界各国でも本種の生体の持ち込みは禁止されている。一方で外来生物法においても生態系被害防止外来種に指定されており、世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種にもなっている。

 広東住血線虫症(angiostrongyliasis)とは広東住血線虫(Angiostrongylus cantonensis)の幼虫寄生を原因とする人獣共通感染症。

 広東住血線虫の終宿主はネズミであり、ネズミから排出された第1期幼虫が中間宿主であるナメクジ類に摂取されると、その体内で第3期幼虫まで発育する。このナメクジ類がネズミに摂取されると第3期幼虫は中枢神経に移動し、第5期幼虫まで発育する。第5期幼虫は肺動脈へと移動して成虫となる。中間宿主が待機宿主に摂取されると第3期幼虫のまま寄生する。

 ヒトでは中間宿主や待機宿主に汚染された食品の摂取により寄生が成立する。ヒトの体内に侵入した第3期幼虫の多くは中枢神経へと移動し、出血、肉芽腫形成、好酸球性脳脊髄膜炎などを引き起こす。

 サイアベンタゾールやメベンタゾールなどが治療に使用される。第3期幼虫が中枢神経へ移動する理由としては、免疫システムからの回避、成長に必要な脳由来酵素の獲得、槍型吸虫やロイコクロリディウムのような宿主のコントロールといった仮説が挙げられる。


参考 CNN news: https://www.cnn.co.jp/fringe/35119391.html


動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか
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さまざまな神経系をもつ動物たち:神経系の比較生物学 (動物の多様な生き方 5)
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