回復傾向にあるオゾン層

 オゾンホールといえば、フロンやハロンガスが紫外線によって分解(破壊)され、生成した塩素ラジカルが触媒としてオゾンを破壊するために引き起こされると言われている。オゾンが減少すると対流圏に紫外線が到達し、地表へより多くの紫外線が到達することになる。これが、皮膚がんを引き起こしたり、北極や南極の氷が溶け出す原因にもなるといわれている。

 2016年、科学者たちは、地球上の生命を太陽の有害な紫外線から保護するオゾン層が「回復している」ことを確認できたという。チームは自信をもって「オゾンホールが今世紀中ごろまでに塞がらない理由はない」と結論付けた。

 米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究グループが米科学誌サイエンスに発表した。研究グループは、オゾン層を破壊するフロンを規制した国際条約「モントリオール議定書」の効果が出たとみている。



 MITの研究グループは、例年南極のオゾンホールが大きくなるとされる9月の人工衛星や気球、地上施設の観測データを長期間分分析した。その結果、オゾン層が薄くなって穴が開いたような状態になる「オゾンホール」は2000年以降縮小する傾向になり、15年までに約400万平方キロメートルも縮小していたことが判明した。この縮小面積はインドの国土(約329万平方キロメートル)を大きく上回る。

 オゾンホールは15年10月には一時的に拡大したが、研究グループは、南米チリのカルブコ山の火山噴火が原因でオゾン層を破壊したとして「オゾン層は回復に向かっている」と結論付けた。NASAの継続的な観測でも15年10月のような規模のオゾンホールはみられない。

 オゾン層は上空10~50キロの成層圏にあり、3個の酸素原子からなるオゾン分子が多く存在する。人類など地上の生物に有害な紫外線を吸収する重要な役割をしている。1980年代に入り南極上空でオゾンホールがはっきりと観測され始めたことをきっかけに1987年にモントリオール議定書が採択され89年に発効した。

 議定書の規制対象は、成層圏で連鎖反応を起こしてオゾン層を破壊する塩素や臭素を放出するフロンやハロン。オゾン層が破壊されると白内障や皮膚がんが増え、生物種が減少すると世界的に指摘され、議定書に批准した200近くの国・地域で冷蔵庫の冷媒を代替フロンに切り替えるなどの対策が進んだ。


オゾン層破壊物質の放出が増加

 ところが、今年になって残念なニュースが流れた。紫外線から動植物を守るオゾン層に穴を開ける化学物質が増加中だというのだ。

 オゾン層に穴を開ける可能性のある禁止化学物質、クロロフルオロカーボン(CFC)の放出が増加していることが、このほど発表された米海洋大気局(NOAA)の研究報告で明らかになった。増加の原因を作り出した「犯人」は分かっていない。

 現在は放出源の特定と阻止に向けた取り組みを急いでいる状況。科学者の間では、東アジアのいずれかの地域が発生源との見方が出ている。

 CFCは以前、冷蔵庫やエアロゾル缶、ドライクリーニング用の化学物質として一般に使われていた。しかし、オゾン層に巨大な穴が出現する要因となっていることが判明し、1987年のモントリオール議定書で禁止された。

 オゾン層は気体状の壊れやすい保護膜で、強力な紫外線から地球上の動植物を守っている。オゾン層が脆弱(ぜいじゃく)化すると、層を通り抜ける紫外線の量が増えて人間に影響を与え、皮膚がんや白内障などの病気にかかりやすくなる。

 世界規模で対策が実施されたことを受け、オゾン層の穴は徐々に修復し始めていた。しかしNOAAの科学者は今回、何らかの発生源からCFCの放出が急増していることを突き止めた。

 研究論文の筆頭著者を務めたNOAAの科学者は声明で、「これが今起きている事態だ。我々はオゾン層の回復から遠ざかっている」として、国際社会に警鐘を鳴らしている。

 研究チームはCFC放出の原因について、東アジアのいずれかの場所で新たに未報告の製造が行われている可能性が最も高いと指摘。製造の理由については不明としており、何らかの特定の目的で製造が行われているのか、あるいは他の化学プロセスの副産物として意図せずして生成されているのかも分かっていないという。


北海道でPM2.5の濃度上昇 シベリアの森林火災影響4

 環境問題はオゾン層破壊だけではない。大気汚染の問題も深刻だ。今年の4月、札幌市など北海道では、大気汚染物質PM2.5の濃度がふだんより高い値が観測された。原因はシベリアの森林火災と見られる。

 札幌市では4月27日昼前から空が白くもやがかかった状態になった。マスクをつけて歩いていた男性は「外が白くなっていて驚いた。マスクを付けて来てよかった」と話していた。また、一緒にいた女性は「のどがいがいがする感じや少し焦げ臭いにおいがして、違和感を感じる」と話していた。

 北海道によると、大気汚染物質PM2.5の濃度は、千歳市の観測地点で4月27日午後1時に1立方メートル当たり134マイクログラム、札幌市北区の観測地点で27日正午に1立方メートル当たり123マイクログラムなどと、ところによりふだんの5倍から10倍の高い値を観測している。

 原因はシベリアの森林火災と見られる。北海道は高齢者や呼吸器系や循環器系に疾患のある人はマスクをしたり、できるだけ外出を控えたりするなどの行動をとってほしいと呼びかけた。


大気や空気の汚染で年間700万人が死亡

 世界保健機関(WHO)は、大気や空気の汚染が原因で肺の病気などにかかって死亡する人は、年間700万人に上り、その半数は石炭やまきなどの燃料を家庭で料理や暖房に使った室内の空気の汚染が原因だとする分析を発表した。

 WHOは、世界の4300以上の都市で大気汚染物質PM2.5などの年間平均濃度を測定し、健康への調査を続けていて、5月2日、最新の分析結果を発表した。

 それによると、大気や空気の汚染が原因で肺がんや心臓病などの病気にかかって死亡する人は、年間700万人に上ると推定され、このうち9割以上がアジアやアフリカなど低所得や中所得の国々だったという。 また2016年に死亡した人のうちおよそ半数の380万人は、石炭やまきなどの燃料を家庭で料理や暖房に使った室内の空気の汚染が原因と分析している。

 さらに世界の人口の40%に当たるおよそ30億人が、こうした室内の空気汚染にさらされていて、その大半が女性や子どもだと指摘しています。WHOは「大気や空気の汚染に国境はない。各国は再生可能エネルギーの開発などにともに取り組んでいく必要がある」と呼びかけている。


参考 CNN news: https://www.cnn.co.jp/photo/l/826349.html


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地球は今…〈第1巻〉壊れゆく「オゾン層」 (地球環境ファミリーシリーズ)
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栄光教育文化研究所