ナナフシとは何か?

 ナナフシ(七節、竹節虫)は、節足動物門昆虫綱ナナフシ目に属する昆虫の総称。草食性の昆虫で、木の枝に擬態した姿が特徴的。「七節」の「七」は単に「たくさん」という程度の意味で、実際に体節を正しく7つもっているわけではない。また、「竹節虫」は中国語由来の表記である。

 ナナフシ目の学名の "Phasmatodea" は「異様なもの」を意味する phasma と、高次の分類群を示す odea を合わせたもので、学名についてはこの他に "Phasmida" とする場合もある。

 細長い体で、その姿は葉や枝などの植物体に擬態している。それだけではなく、硬い卵殻に覆われた卵も植物の種子に擬態している。体長は数cmから50cmを超えるものまでさまざまだ。




 不完全変態で、基本的に両性生殖だが、ナナフシモドキ(オランダ語版)など単為生殖を行うものが多い。オスが非常に稀である。

 翅や飛翔能力を失ったものが多い。退化の程度は様々で、雌雄とも完全な飛翔能力を有するものから、オスのみ飛翔能力を有するもの、雌雄とも完全に無翅のものまである。コノハムシのメスのように、上翅を有するものの飛翔能力は失われている例もある。

 防御手段の一つとして、敵に襲われた際に脚を自ら切り離す自切を行う種が多い。失われた脚は、自切が若齡幼虫時に行われたものであれば、脱皮とともに再生していくが、成長段階の終わりに近い時期の自切ほど再生され難く、終齡幼虫・成虫での自切は再生されない。

 ナナフシは自重の40倍の重量を運搬することができ、従来は自重の1/20程度の重さしか運べなかった産業用ロボットを改良するためミュンヘン工科大学などで幅広く研究され、ナナフシモデルと呼ばれる6脚ロボットが開発されている。


 ナナフシの卵が鳥に食べられても消化されず、排せつ後にふ化

 これまで、鳥に食べられた昆虫は子孫もろとも生存の機会を失うという考え方が常識となっていた。これに対し、神戸大学、高知大学、東京農工大学などの研究グループは、「昆虫が鳥に食べられた場合、昆虫体内の卵は消化されずに排泄される場合があるのではないか」との仮説を立て、この仮説を検証したところ、硬い卵をもつことで知られているナナフシの卵を鳥に食べさせると、一部の卵が無傷で排泄され、ふ化するという結果を得ることに成功した。

 鳥に捕食された昆虫は卵もろとも死ぬとの常識を覆す研究成果といい、論文は29日、米科学誌エコロジー電子版に掲載された。

 ナナフシは小枝に似た容姿で擬態する昆虫。羽がない種が多く移動能力は低いが、伊豆大島など陸続きでない場所にも生息する。研究グループによると、鳥による捕食でメスの体内にいた卵が運ばれ、分布域を拡大させた可能性があるという。

 同グループは、植物が果実を鳥に食べさせ、種子を遠くに運んでいることに着目。昆虫にも同様のケースがあるとの仮説を立てた。

 鳥に食べられても生き残るには、卵が丈夫で消化されず、ふ化した幼虫が自力で餌場にたどり着けるなどの条件が必要。植物の種子に似て硬い殻を持つ卵のナナフシが条件を満たすと考えた。

 研究では、3種のナナフシの卵をヒヨドリに食べさせた結果、5~20%の卵が無傷で排せつされた。このうち、ナナフシモドキでふ化を確認した。


 ナナフシの七不思議

 世界には約2,500種のナナフシの仲間がいるとされている。ただ、ナナフシの分類は大幅な見直しが進められており、以下に記述されている日本国内種についても、これから整理される可能性があるため注意が必要である。世界中の昆虫好きと会っていくうちに、ナナフシは意外と人気者だということが判明してきた。ペットとして飼っている人もたくさんいるようだ。

 ナナフシには7つの不思議がある。

1 たねにも擬態

 ナナフシの多くは植物の枝に擬態している。それだけでもスゴイのだが、なんと卵は植物の種子のような形をしている(下の写真)。卵を地面にぽろぽろと産み落とすものが多い。地面に落ちた卵をアリが植物のたねと「間違えて」運んでいくこともある。

2 卵に比べて幼虫が長すぎる

 卵から出てくる幼虫(成虫と同じ形をしている)の大きさが半端ではない。たった2~3ミリほどの卵の中から1センチ以上の幼虫が出てくる。こんな大きな幼虫がどんなふうに「折りたたまれて」卵の中に入っているのだろうか? 卵の20倍もの長さの幼虫が出てくるものもいるそうだ。

3 一生交尾

 アニソモルファというナナフシは、成虫になってから死ぬまでずっと交尾し続けるそうだ。オスが死んでからも、メスがオスの死体を胴部の先からぶら下げて歩いている。

4 枝と交尾

 メキシコに生息するファノクレス・ホルニという種のオスは、とにかく交尾をしたがる。メス1匹に3匹のオスが同時に交尾していることもあったり、枯れ枝と交尾しているオスもいたりするそうだ。ちなみに、学名のホルニは、「性的に興奮状態の」を意味する。

5 オスなしで繁殖できる種も

 単為生殖(メスが単独で子をつくること)を行うものがいる。その種数も少なくないそうだ。

6 標高5000メートルでも棲息

 南米のアンデスの高山地帯に生息するモンティコモルファ・フラボリンバタという種は、標高5000メートルでも確認されている。植物がほとんど生えない雪と岩の狭間の極限の世界で一体何を食べているのかが気になる。

7 ナナフシは14節

 「ナナフシ」だから7つの節があるのかと思いきや、そうではない。頭からおしりの先まで数えると、全部で14の節がある。「七」はたくさんという程度の意味らしいが、個人的にはジュウヨンフシよりナナフシの方が響きがよくて好きだ。

 ところで、コスタリカには100~150種ほど棲息していて、そのうちの半分にはまだ名前(学名)がついていない。新種だらけのナナフシの世界。そこには不思議の世界がまだまだ広がっているに違いない。

ナナフシの種の同定 by Oskar V. Conle & Frank H. Hennemann

参考 神戸大学:http://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2018_05_29_01.html