「温かいおむすび」と「冷めたいおむすび」

 「温かいおむすび」と。脂肪をよく燃やすのはどちらだろう?
 実は「冷めたいおむすび」の方。温かいご飯になくて、冷めたご飯にある健康成分が、脂肪の燃焼を促進する。その成分が「難消化性でんぷん」。炊く前のお米の中ではでんぷんは固まった状態だが、加熱すると結合が解かれる。それが冷えると再び結合して、難消化性でんぷんになる。

 でんぷんと聞くと肥満のもととして女性に敬遠されがちだが、「難消化性」、つまり"消化されにくい"でんぷんに姿を変えることで、腸の中で食物繊維のように働き、私たちの健康に貢献してくれる。普通のでんぷんと違って胃で消化されにくいため、小腸で吸収されずに大腸まで届くのが特徴。難消化性でんぷんは、大腸内で腸内細菌の餌となり「酪酸」「酢酸」「プロピオン酸」という成分に分解される。



 例えば酪酸は、腸の細胞の唯一のエネルギー源となり、細胞のターンオーバー(生まれ変わり)を促進するという、腸を若返らせる作用がある。大腸から吸収されて肝臓まで運ばれたプロピオン酸には、脂肪の燃焼を促す作用があることも確認されている。また、冷めたご飯は、温かいご飯と比べて血糖値を上げにくいことが分かっている。これも難消化性でんぷんの働き。血糖値が上がると、脂肪を体にためこむホルモンであるインスリンが分泌される。血糖値を上げにくい冷めたご飯なら、インスリンの働きも穏やかになり、脂肪の蓄積も抑えられると考えられる。


 冷たいごはんにダイエット効果

 食べるのに手っ取り早いおにぎりは、もっとも親しみやすいアイテムですが、炭水化物なのでダイエット中のアナタは足踏みするかもしれません。ところが、冷たいおにぎりは「レジスタントスターチ」によって、ダイエット効果を生む。

 レジスタントスターチとは温かいご飯が冷めるときにできる成分で、冷たい主食のなかの消化されにくい「でんぷん」のこと。加熱されたでんぷんは、小腸に届くまでに消化、吸収されるが、消化されづらく変化したでんぷんは、大腸まで運ばれて排出される。

 主食のでんぷんのうち20%程度が、冷める過程でレジスタントスターチに変化し、肥満予防などの効果がある。そのほかにも、食物繊維の働きをし、ご飯の糖質や脂肪の吸収を妨げ長時間、腸内に溜まり空腹感を阻止してくれる。

 また、コレステロールを下げ、血液をさらさらにもしてくれ、インスリンが出にくくなり、血液中の糖が体脂肪になりにくくもする。さらに、海苔が付いているおにぎりならダイエット効果はよりアップ! 海苔に含まれている食物繊維は整腸作用がある。

 炊き立てのご飯は、たしかにとても美味しいですが、おにぎりだったら冷たくても美味しく食べられるのがポイントだ。


 RS(レジスタントスターチ)とは

「RS(レジスタントスターチ)」は水に溶けないでんぷんの一種(難消化性でんぷん)で、私たちの体内で食物繊維として働きく。また、ビフィズス菌を増やす働きに優れている。

 難消化性でんぷん (Resistant Starch; RS)は「健常人の小腸管腔内において消化吸収されることのないでんぷんおよびでんぷんの水解物の総称」と定義される。

 でんぷんは1970年代まで、小腸で完全に消化され、その100%がぶどう糖として吸収されると考えられてきた。しかし、1980年代に、多量のでんぷんがヒトの大腸から発見され、消化され難いでんぷん (レジスタントスターチ) の研究が始まった。


レジスタントスターチと食物繊維の違い

「RS(レジスタントスターチ)」は体内で食物繊維として働くが、食物繊維と成分は異なるもの。

 ぶどう糖がα結合したものがでんぷん(アミロース)で、β結合したものが食物繊維(セルロース)。でんぷんは消化酵素で分解されるが、食物繊維は消化酵素で分解されない。

 食物繊維は、体内でビフィズス菌などの栄養として働く。レジスタントスターチ(resistant starch)は、ヒトの小腸まででは消化されず、大腸に届くでんぷん、および、でんぷん分解物の総称。「レジスタント」=「消化されない」、「スターチ」=「でんぷん」という意味であり、難消化性でんぷんまたは耐性でんぷんとも呼ばれる。

 レジスタントスターチはでんぷんでありながら、エネルギーになりにくく、整腸作用や生活習慣病の予防効果があるとされている食品中の成分であり、食物繊維の1種である。食物繊維の中でも、腸内細菌に対して良い影響を与える効果があり、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特性をあわせ持っているなど、ユニークな機能を有している。

 なお、日本でトクホ飲料によく使われる難消化性デキストリンとは構造も性質も異なる。


 消化されない理由

 レジスタントスターチは消化されないメカニズムの違いによって次の4種類に分類されている。

RS1: 雑穀のように硬い組織に囲まれていることで消化酵素がでんぷんまで届かないタイプ

RS2: 十分に加熱されていない未糊化のでんぷんやアミロースの極めて多いでんぷんなど、でんぷんの粒子自体が消化されにくいタイプ

RS3: 冷やご飯や春雨のように一度加熱されて糊化したあと、冷めたり保存する過程で一部のでんぷんが再結晶して消化されにくい構造に変化したタイプ

RS4: 加工デンプンの一種で、でんぷんを高程度に化学修飾することで消化酵素が作用しにくくなったタイプ 


 レジスタントスターチを含む食品

 レジスタントスターチは雑穀や豆などの穀類や、コーンフレークやパスタなどのでんぷん質の食品の一部に含まれる。中にはハイアミロースコーンスターチのように、多量のレジスタントスターチを含むものもある。

 また、ご飯を冷やす、じゃがいもをポテトサラダにするなど、“冷やす”ことででんぷん質中のレジスタントスターチの量が増えると言われている。このため、ダイエットやお腹の調子を整える目的で、でんぷん質の食品を冷やして食べる方法が紹介されることもある。

 日本テレビ系の教育バラエティ「世界一受けたい授業」でも、“冷やして得する栄養学”としてレジスタントスターチが紹介された[6]。さらに、最近はレジスタントスターチをより多く含んだでんぷんが食品素材として開発されており、麺類やパンなどに配合して、より手軽に摂取できるよう取り組みが進められている。トクホの関与成分としても使われている難消化性再結晶アミロースもレジスタントスターチの一種であり、RS3のタイプに相当する。

 下記の食品中に含まれるレジスタントスターチの量は、測定法、食材の熟成度、調理法、調理後の温度などによって変動しうることに注意。

 食品中に含まれるレジスタントスターチ レジスタントスターチ含有量(乾燥重量あたり)

 パスタ 1.4 % コーンフレーク 2.8 % インゲンマメ(水煮)5.3 % コーンスターチ 0.99 % ハイアミロースコーンスターチ43.0 %

 ライ麦パン(全粒粉)3.2 トルティーヤ(とうもろこし 3.0 オールブラン(ケロッグ) 0.7 コーンフレーク 3.2 グラノーラ 0.1

 オーツブラン(シリアル) 1.0 ポテトチップス 3.5 バナナ(生) 4.0 パスタ(小麦、調理済) 1.1 白米(長粒種、調理済) 1.2 インゲン豆(調理済) 2.0 ポテトサラダ 1.0


 レジスタントスターチを摂取するメリット

 血糖値の上昇抑制効果: 通常のでんぷんは、摂取すると小腸で消化酵素によって分解されてグルコースになり、血液へ取り込まれるため血糖値が上がる。これに対し、レジスタントスターチは消化酵素によって分解されにくいため、血糖値の上昇が低く抑えられる事が分かっている。

 EUでは、レジスタントスターチを14%以上含む食品について「食後の血糖応答が小さい」という内容の表示(ヘルスクレーム)をすることが認められている。

 腸内発酵性: 大腸に届いたレジスタントスターチは、腸内細菌によって発酵されて、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸などの有機酸に変えられる。このような有機酸は、腸内を悪玉菌が活動しにくい弱酸性に維持する効果があり、善玉菌を育てやすくする。さらに、大腸から体内へ吸収されて大腸癌の予防、大腸炎の予防、中性脂肪やコレステロールの上昇抑制、インスリン抵抗性の改善など、全身の健康維持に役立っていることが分かっている。

 空腹感の抑制: レジスタントスターチを多く含んだ食品を摂ると、小腸でおだやかに消化され、大腸ではゆっくりと発酵されて有機酸になるため、摂取してから時間をかけて体に吸収される。このため、朝食に食べると昼食、昼食に食べると夕食の空腹感や食欲を抑えるセカンドミール効果により、食事量を抑えられると言われている。

 摂取カロリーの抑制: でんぷん1gあたりのカロリーは通常4kcalとみなされているが、レジスタントスターチのように小腸で消化されず、大腸で腸内細菌に発酵されて有機酸として吸収されるでんぷんのカロリーは1gあたり2kcalと、通常のでんぷんの半分とされている。


参考 Kenbi nave: http://www.kenbi-navi.jp/column/editors/post_7.shtml