人類は火星の次に木星に向かう

 人類はやがて火星へ到達する。そしてその次は間違いなく木星へも行くことになるだろう。現在、NASAが10億ドル(約1100億円)を投じ、開発した木星探査機「ジュノー(Juno)」が、木星を高速で周回している。

 ジュノーは時速最高13万マイル(約21万キロメートル)で旅をしながら木星に接近、搭載された可視光カメラ「JunoCam」で約53日ごとに新たな画像を撮影している。画像の受信には数日から数週間を要することもあるが、待つだけの価値はある。最新の画像は渦を巻く、幻想的な雲や嵐の姿を捉えている。

 NASAやサウスウェスト・リサーチ・インスティテュート (Southwest Research Institute)の研究者たちは12月、彼らのウェブサイトに未加工の画像データをアップした。以来、多くの人々が白黒画像を、カレンダーにもなった、鮮やかなカラー画像に加工してきた。



 「最高に美しい。だが、近づきすぎると命を落とす」NASAの画像を定期的に加工しているイギリスのグラフィック・アーティスト、ショーン・ドラン(Sean Doran)氏は、最新画像について、そうツイートした。

 NASAがジュノーを打ち上げたのは2011年、木星までは約5年かかった。ジュノーの周回軌道は木星から遠く離れている。接近するのは、ほんの一瞬だ。こうすることで、電子機器が木星の強い放射線にさらされるのを最小限に抑えている。

 ジュノーは、木星の北極と南極、両極の上空を飛んだ唯一の探査機だ。研究者らは、ジュノーが10度目の近木点で捉えたような、木星の乱雑に渦巻く極雲の構造を解明しようとしている。その数多くの帯状の雲のかたまりは、科学的にも謎だ。木星の一部の嵐は、地球よりも大きい。

 NASAは、ジュノーが少なくともあと2、3年は木星の周回を続け、新たな素晴らしい写真を送ってくれることを期待している。しかし、NASAは最終的に10億ドルのジュノーを破壊するだろう。氷の惑星「エウロパ(Europa)」に誤って衝突するのを防ごうとしているのだ。そこには隠れた海があり、生命体が存在する可能性もあるという。


無秩序に渦巻く木星の雲、13度目のフライバイで撮影 

 米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ジュノー」がフライバイ時に撮影した木星の北半球の雲の渦。NASA提供(2018年6月23日撮影、24日入手)。

 米航空宇宙局(NASA)は、無人探査機「ジュノー(Juno)」が13度目の木星へのフライバイ(接近通過)時に撮影した、木星北半球の雲の渦の画像を公開した。

 画像は太平洋夏時間の23日午後10時23分(日本時間24日午後2時23分)に、北緯56度、雲頂から約1万5500キロの高度から撮影され、色彩強調されたもの。この辺りは雲がさまざまな形に渦巻いており、無秩序で荒れ狂っているような様相を見せている。通常、暗い雲は木星の大気層の下層に、明るい雲は上層に存在する。明るい雲はアンモニアまたはアンモニアと水が木星上に点在する何らかの化学物質と混ざり合って作られている可能性が高い。

 写真の下中央にある明るい楕円状の雲は、地上望遠鏡での観測では、一様に白く見える。だが、ジュノーに搭載されたカメラ「ジュノーカム(JunoCam)」は内部構造などより細部の構造を捉えている。楕円内には大赤斑(Great Red Spot)のような明らかな動きは見られず、中心部に向かって風が大きく減速していると考えられる。(AFP news 2018年6月25日)


 木星探査「ジュノー(juno)」とは何か?

 木星以遠を調査する惑星探査機としては、初めて原子力電池 (RTG) ではなく太陽電池パネルで電力を得るシステムを採用した[2]。木星軌道では地球軌道で得られる太陽エネルギーの4%しか得ることができないため、3枚の大型の太陽電池パネルを展開して必要な電力を確保する。もし、地球軌道で使えば12-14kWの電力が得られるが、木星軌道では486Wの発電量となる。

 衛星重量は3,625kg。木星軌道投入後、1年間(33周回)観測を行う予定。観測データを中継し終えると、木星の大気圏に突入することとなっている。これは、生命の存在の可能性があると考えられるエウロパに衝突して衛星に付着している地球の微生物による汚染の危険性を排除するためである。

 ジュノーは2011年8月5日、アトラスVロケットで打ち上げられた。木星や月の研究を行ったガリレオのレゴ人形が積まれている。2012年8月30日、地球スイングバイへ向けた最初の軌道修正が行われたが、エンジンの噴射後に推進剤の圧力が想定より高くなるトラブルが発生したため2度目の軌道修正を10日間延期した[6]。同年9月14日、2度目の軌道修正が行われた。

 2013年10月9日、ジュノーは地球表面から558kmまで接近し、重力アシストで時速12万6000kmから時速14万kmに加速した。最接近10分後ジュノーは何らかの故障を検知してセーフモードになり、10月11日までこの状態が続いた。軌道の変更自体は成功し、ジュノーは木星へ向かう軌道に乗った。

 日本時間2016年7月5日、木星を周回する軌道に入った。2017年2月18日、NASAはジュノーが同年2月2日に木星の南極上空を通った際に撮影した木星の写真を公開した。


参考 AFPBB news: http://www.afpbb.com/articles/-/3179820