惑星の衛星の数は? 

 月は地球のたった1つの衛星だが、太陽系の他の惑星は衛星を何個持っているのだろうか?

 内惑星である水星や金星は衛星を持っていないが、他の惑星は衛星を持っている。また、準惑星の冥王星などにも衛星がある。以下に主なものを、まとめておく。

 火星(2個)は、フォボス、ダイモス、木星(63個)は、イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト、アマルテア、ヒマリアなどがある。土星(64個)ミマス、エンケラドス、テチス、ディオネ、レア、タイタン、ハイペリオン、イアペタスなど、天王星(27個)アリエル、ウンブリエル、タイタニア、オベロン、ミランダなど、海王星(13個)トリトン、ネレイド、ナイアド、タラッサ、デスピナなど、冥王星(3個)カロン、ニクス、ヒドラ、小惑星ではエリス(1個)ディスノミア、ハウメア(2個)ヒイアカ、ナマカ。(2009年3月現在)



 木星、土星、天王星、海王星の衛星数は凄い。これは、アメリカの惑星探査機ボイジャー1号、2号が接近した際に多くの微小衛星を発見したためである。ボイジャーは2機合わせて、木星で2個、土星で3個、天王星で10個、海王星で6個の新衛星を発見した。現在も地上の望遠鏡や直接惑星を訪れた探査機が次々と衛星を発見している。

 今回、木星で新たな衛星が10個発見され、総数が79個となった。新発見された衛星は直径は1~3kmほどで、木星から遠く離れたものが多く、1~2年かけて一周する。また衛星の1つは、逆行衛星群の軌道付近を順行するという、非常に変わった軌道で公転している。

 米・カーネギー研究所のScott S. Sheppardさんたちが、チリのセロ・トロロ汎米天文台のブランコ望遠鏡などによる観測で、本来探していたのは、冥王星よりも遠くに存在すると考えられている幻の第9惑星だった。捜索を行っていた空域付近に偶然木星が位置していたため、幸運にも新しい衛星を発見することができたという。(2018年7月20日 カーネギー研究所)


木星に多数の新衛星発見、総計79個に

 発見後に行われたチリ・ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡や米・ハワイのすばる望遠鏡、ジェミニ望遠鏡などによる追加の観測を経て軌道が計算され、これら10個の新天体が確かに木星の周りを公転する衛星であることが確認された。木星の総衛星数はこれで79個(未確定のものを含む)となる。

 新しい10個の衛星のうち7個は、木星から約2000万km以上離れたところを約1.5~2年の周期で公転している。いずれも、木星の自転の向きと反対方向に公転する逆行衛星だ。既知の逆行衛星も含めて、これらは、かつて複数の大きな天体だったものが小惑星や彗星と衝突して形成されたものと考えられている。

 残る3個のうち2個は、木星の近くを1年以内で公転している。これらは木星の自転と同じ向きに公転する順行衛星だ。この付近に軌道を持つ衛星群はすべて軌道の距離や傾斜角が似ていることから、大きな天体が崩壊した破片が衛星になったものと考えられている。


 奇妙な衛星軌道

 最後に残った「S/2016 J 2」と符号が付けられた衛星は、直径が1km以下と、これまでに見つかっている木星の衛星中では最小とみられている。何といっても奇妙なのはその軌道だ。

 ラスカンパナス天文台のマゼラン望遠鏡による衛星S/2016 J 2。背景の星に対して動いていることがわかる。Sheppardさんはこの衛星の名前として、健康と衛生を司る女神「Valetudo」(バーリトゥード、ローマ神話の神「ジュピター」のひ孫娘)を提案している。

 S/2016 J 2は、前述の7個の衛星と同じような距離を、木星の自転と同じ方向に約1.5年周期で公転している。つまり、逆行衛星が多数存在している領域を、他の衛星とは逆に、順行しているのだ。そのため、この風変りな軌道を持つ衛星と逆行衛星は正面衝突してしまう可能性もある。そもそも、この小さい衛星自身が、過去の正面衝突で残った最後の残骸かもしれないと研究者たちは考えている。

 木星が誕生したころに同時にこれらの小衛星も作られていたとすると、生まれたばかりの惑星の周りに残っていたガスや塵の影響で小衛星は木星に引きずり込まれてしまっていたはずだ。これらの小衛星が残っているということは、実際には木星が落ち着いたあとに衛星が作られたことを意味している。


 木星のエウロパに2つの発見

 エウロパ(Jupiter II Europa)は、木星の第2衛星である。2007年までに発見された衛星の中で内側から6番目の軌道を回っている。この衛星はガリレオ・ガリレイによって発見されたものだ。イオ、ガニメデ、カリストとあわせてガリレオ衛星と呼ばれている。

 表面は少なくとも厚さ3km以上の氷で覆われており、所々にひび割れが走っている。イオの次に木星に近く、公転周期がイオの2倍、ガニメデの半分という軌道共鳴の状態にあるため、強い潮汐力の変動に晒されている。その潮汐力で発生する熱によって表面の固い氷層の下は深さ数十から百数十kmにわたって氷が融け、シャーベット状ないし液体の海になっており、地球の海洋深部にあるような熱水噴出孔も存在すると考えられている。

 今回、エウロパの地表に水蒸気や粘土のような鉱物が初めて見つかった。水蒸気は、ハッブル宇宙望遠鏡の分光観測でわかった。地表から噴出している可能性が高く、今後の観測でそれが確実になれば、土星の衛星エンケラドスに続いて2例目ということになる。


 木星のイオで3火山が同時に噴火

 米航空宇宙局(NASA)は2007年3月2日、木星の衛星イオで三つの火山が同時に噴火している画像を公開した。このうち北極付近のツバシュター火山の噴出物は、290キロ上空にまで達していた。同火山の噴火をこれほど鮮明にとらえたのは初めてだという。

 NASAの冥王星探査機ニューホライズンズが2007年2月28日、木星の重力を使った加速に成功した後、イオから250万キロ離れた場所から撮影した。画像には、赤道付近にあるプロメシウス火山、南半球の夜の部分にあるマスビ火山の噴火も一緒に写っている。

 イオは直径約3640キロで、地球の月より一回り大きい。太陽系では、地球以外で活発な火山活動が確認されている唯一の天体で、数百の活火山があるとされる。木星の強力な重力を受けて衛星自体がひずみ、このひずみで生じたエネルギーが火山活動の源になっていると考えられている。( asahi.com 2007年03月04日)

 イオは木星の衛星で、太陽系内では地球以外で唯一活火山が観測されている星である。名はギリシア神話に登場する人物、イオにちなむ。

 この衛星はガリレオ・ガリレイによって発見されており、そのためエウロパ、ガニメデ、カリストとあわせてガリレオ衛星と呼ばれている。なぜ火山ができるのだろうか?

 火山活動があるかないかということは、天体内部の温度によって決まるものと考えられている。温度が十分に高く熱い天体では岩石が熔けて火山活動が生じるが、温度が低く冷たい天体では岩石が熔けないので火山活動もない。

 天体の温度が時間とともに変化するのには、いろいろな原因がある。宇宙空間にある固体物質を見てみると、そのほとんどは低温で岩石が熔けるような高温のものはまずない。

 これは宇宙というのが元来冷たい空間であり、熱い物体を置いておくと自然に冷却して冷たくなってしまう場所だからである。したがって冷たいのが当たり前のところに火山活動があるということは、なんらかの機構によって天体が加熱されたことを意味する。

 天体を加熱するしくみはいくつか存在するが、重要なのは、(1)重力エネルギーの解放、(2)放射性元素の壊変、(3)潮汐加熱、の3つと考えられている。


参考 National Geographic news:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/071900318/


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