人跡未踏の地への憧憬

 この地球上に未だ人類が到達したことがない、人跡未踏の地があるのだろうか?

 学生時代、誰もいない場所に行ってみたくて沖縄の秘境、西表島でも裏の方の海岸でキャンプ生活をしてみたことがあった。その島には人里離れた所に「カヌカワ(鹿川)」という地名の場所があって、そこに仙人のように自給自足の生活をしている人がいる噂を聞いた。

 ある日、そこに行く船があるというので乗せてもらい行ってみると、海岸近くのジャングルのようなところに家らしきものがあった。近づくとラジオの音が流れている。どうやらNHKラジオで、夏の甲子園の実況中継のようだった。



 「何だ、仙人も世間を身近に感じながら生活をしているのか」といささか失望しながらも「誰かいませんか」と声をかけると「はい」という返事。「ここで生活をしているんですか?」憧れと尊敬の念で話しかけた。

 「そうです」「凄いですね」「もう何年いるのですか」「3年」ごく普通の会話が続いた。

 後で考えてみると、ラジオは生活の必需品。台風銀座である沖縄南西諸島では台風情報が欠かせない。仙人だって情報が必要だ。また、米や肉を食うので人里に買い物に行く。船でやすやすと行けるツアーがあるというのも、人里離れた場所とはいえ、すでに観光の一部になっている。

 結局、人がいない場所なんて無いのかもしれない。やや失望しながらも誰もいない場所を目指して、さらに奥の海岸で1ヶ月キャンプ生活をしてみた。そこで魚を取りながら、時々野菜や米、味噌などを買いに町にでかけるような生活をした。

 そんな場所でも、地元の漁師が網を広げに目の前の海岸を通ることがあった。また、そんな場所でも台風が近づくと、警察官が見回りに来た。「台風が来るから避難しなさい」と声を掛けられることもあった。日に日に落ちていく体力と気力、髪や髭はのび放題、やせ衰えた体は昔の「乞食」のようになった。

 そんな生活をしながらようやく悟ったことは、自分一人で生きていこうとしても、結局は誰かの助けがいるということ、一人では気力が湧いてこないということ、人は人の間でしか生きていけないということ(だから「人間」)...という、あたりまえのことだった。


 高い理想よりも経済活動

 昔の人もまだ見たことのない土地を探して、大航海を繰り広げた時代があった。現在でも、コロンブスやマゼランの航海の話は、人をわくわくさせる。だが、それは知的好奇心という理由で航海したのではなかった。その主な目的は交易と海路の開拓、そしてそのために植民地を獲得することにあった。

 今年も終戦記念日を迎えるが、当時中国は清国が滅び、欧米列強による植民地になっていた時代。その中で、米国だけが植民地を持たなかった。そこで日本の植民地である、満州国の鉄道に共同経営の話を持ち掛けてきた。米国も利益を得たかったのである。日本は何を思ったかそれを断ってしまった。

 今日、植民地主義は否定されているが、経済は生活を豊かにするために、仕事として認められている。そこに日本人は、人種差別撤廃、八紘一宇、大東亜共栄圏の完成などの高すぎる理想を持ち込んでしまった。人はまず、食べていかねばならない。「衣食足りて礼節を知る」という言葉もある。米国は国内に未だ人種差別を抱えているが、経済活動を優先したおかげで、今日のような世界で一番豊かな国になっている。

 経済活動は大切である。まずはより豊かになるために、より価値の高いものを造り出す努力をせねばならない。日本は米国の企業を受け入れるべきだったのである。理想は豊かになってからでよいのだ。戦後日本は見事な経済発展を遂げた。これからも豊かさを目指して働いてゆかねばならない。次に、豊かな精神性を話題にしていけばよいと思う。世界的にはまだまだ発展途上国が多く、日本においても両立が必要な時代が続く。

 現在調べてみると、人跡未踏の地は、高い山とか離島の火山島など、まだ少し残っているようである。しかし、大部分の人にとって経済的な価値は低く、ほとんんど無視されている状態かと思う。


人間の影響を受けていない海は13%

 今回、人間による影響の少ない「原生の海」を特定した。魚業や海洋汚染といった人間による影響がほとんどない「原生の海」は、世界の全海洋の13%(およそ5500万平方キロ)であるとする論文が、7月26日付けの学術誌「Current Biology」に発表された。

 原生の海が多いのは、公海や南半球など、人間の典型的な活動地域から離れた場所だ。世界には数多くの海洋保護区が設定されているが、今回、原生の海と判断された海域のうち、海洋保護区に指定されているのはわずか5%にすぎない。

 こうした傾向は予想通りだが、原生の海はもっとあると考えていたと、論文の筆頭著者で、野生生物保護協会(WCS)の専門家ケンダル・ジョンズ氏は言う。同氏によると、漁場が拡大し続けていることが大きな原因の一つだ。「漁業は、人間が海に及ぼす影響の中で最も重大なものです」


  三つの海域に集中する「原生の海」

 原生の海は、北極と南極に集中している。海氷のせいで人間が容易に近づけないからだ。しかし、海氷が解けていくにともなって人間活動や気候変動の影響も受けやすくなる可能性があると、ジョンズ氏のチームは考えている。

 今回の研究では、漁業や海洋汚染、陸地からの栄養塩の流出といった15の要因のほか、海洋酸性化など気候変動にまつわる4つの要因を考慮して、人間の影響が最も小さい海域を決定した。

 原生の海はほかの海域に比べて、生物の種類が多様であるほか、生物の遺伝的な多様性も豊かだ。こうした海は気候変動による影響からの回復が比較的早く、人間の影響がおよぶ前の海の姿もうかがい知ることができるとジョンズ氏。

 「悪化した生態系を回復させようとする際に、私たちが目指すべき大切な情報を、原生の海は教えてくれるのです」

 手つかずの自然がなくなっていくのは、少し寂しい感じもする。それも南極などの極寒の地が多い。しかし、海洋のど真ん中にもまだ多少は残されているようだ。機会があればそのような場所に行ってみたいと思う。


 地上で未踏の山、高地など

 ガンケルプンスムは、誰も登頂に成功していない山の中で最高峰。標高7,570mを誇る屈指の未踏峰である。ブータンと、中国チベットの国境に聳える。ブータン最高峰の山である。

1983年 ブータンが登山を解禁。85年と86年に日本や英国など4つの遠征隊が挑戦するものの、すべて失敗

1994年 地域の宗教信仰に反するという理由から、ブータンでは6,000m以上の山への登山が禁止となる

1998年 日本の登山隊に登頂許可が出たが、当時のブータンの政治問題で取り消されてしまう

2003年 ワンチェック国王がこの地を永久未踏峰とすることを宣言

このような経緯があり、世界中の登山家が挑戦を希望しているがブータン側からの登山許可が今後下りることはない。

 梅里雪山は、中国の雲南省デチェン・チベット族自治州に位置する、長さ30㎞にもわたる連山の総称だ。連山のすべてが未踏峰である。急流によって削り取られた連山は険しく、インド洋から吹くモンスーンの影響のため、一年中雪に覆われ人を寄せ付けない。

 登頂の試みは、1902年ごろに始まった。アメリカ、中国、日本などからそれぞれ5~6回ほど登山隊を派遣してきた。しかし雪が深く気候条件も良くないため登頂は全て失敗。「神々の山」はいまだに未踏峰のままとなっている。

 地球最後の秘境、ギアナ高地がある。ブラジル、ロライマNormandiaにあるギアナ高地は、巨大なテーブルのような100を超える台地(テーブル・マウンテン)が点在している。

 風雨の浸食で硬い地質だけがテーブル状に残ったもので、その標高は高いもので約3000mに及ぶ。テーブルマウンテンの頂上は、下界と隔離されているため、独特の地形、独自の進化を遂げた動植物が生きる、まさに秘境と言える場所。

 カリブの風とアマゾンの風がぶつかるこの地域の上空は雲が出来やすく、殆ど雲に覆われているため、常に雲に覆われているので人工衛星からも調査できず、まだ正確な地図すら作られていないのが現状。

 ギアナ高地には、山上に大きな陥没穴がたくさんあり、孤立した生態系を育む大きな縦穴で知られている。最大の穴は直径、深さ共に350メートルほどあり、地表からほぼ垂直に落ち込んでいる。

 巨大な陥没穴は現在確認されているだけで8つあるようだ。穴の底辺には独自の生態系が形成され、3000種もの固有種が存在していた。ほとんど調査のなされていない秘境であり、もっともっと新種の生物がいるものと見られている。


参考 National Geographic news: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/073000337/


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