2018年北海道胆振東部地震発生

 昔は「地震・雷・火事・おやじ」などと恐ろしいものの代名詞が使われてきたが、今夏は「地震・雷・熱波・台風」といったところか?集中豪雨、熱波などの異常気象、台風、そしてついに地震まで発生してしまった。さらに火山噴火でも起きればすべての災害がそろいそうだ。

 地震発生前には、日本海を北上した平成30年台風第21号が地震発生前日の9月5日朝にかけて北海道付近を通過し、暴風により道内で6人が負傷、建物の損壊や停電が発生し、鉄道が運休するなど、被害と影響をもたらしていた。

 2018年(平成30年)9月6日3時7分59.3秒(日本時間)に、日本の北海道胆振(いぶり)地方中東部を震源として地震が発生した。地震の規模はM6.7、震源の深さは37km。最大震度は、震度階級で最も高い震度7で、北海道では初めて観測された。気象庁は同日、この地震の名称を「平成30年北海道胆振東部地震(いぶりとうぶじしん)」と定めた。



 また、地震発生直後には震度データの入電しない地点があり、気象庁は当初、安平町で観測された震度6強を最大震度として発表していた。その後、厚真町鹿沼で震度7を観測していたことが、当日夕方までに判明した。

 この地震の発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、内陸地殻内で発生した地震である。余震は最初の震度7の地震の震源地から南北に広がっている。

 今回の地震では強震動によって厚真町(あつまちょう)を中心に広い範囲で土砂崩れが発生した。この土砂崩れの主な崩壊源は約4万年前に支笏カルデラから噴出されたテフラ(Spfa-1)で、この層の上位にある恵庭岳や樽前山のテフラや、土壌層が一気に崩れたとみられている。前日の台風や、6~8月の降水量が平年の約1.6倍と多かったことから、土壌には多量の水を含んでいたと考えられており、その影響もあった可能性も考えられてる。


 気象庁「震度6強」から「震度7」へ変更

 当初、この地震の発表では、最大震度6強を観測したとされていたが、震度計のデータが気象庁に届いておらず、震度7の地域がある可能性があることがわかった。後に厚真町付近は、深度7の強い揺れの影響で震度の情報が送られてきていないことが判明した。

 9月6日午前3時8分ごろ、北海道胆振地方を震源とする地震があり、震度7を記録した。気象庁などによると、震源の深さは約37キロ、地震の規模を示すマグニチュードは6.7と推定される。厚真町などで多数の家屋の倒壊や土砂崩れが発生し、生き埋めの被害が出た。北海道電力によると、道内のすべての火力発電所が停止し、道内全戸の約295万戸が停電した。

 北電によると、厚真町の苫東厚真発電所(石炭火力)に大きな被害が出てダウンしたため、電力の需給バランスが崩れ、ほかの火力発電所などが連鎖的にストップしたという。

 原子力規制委員会や北海道電力によると、北海道電力泊原発(北海道泊村)の外部電源が喪失した。非常用ディーゼル発電機によって、燃料プールにある使用済み核燃料の冷却は継続しており、午前4時現在、異常は確認されていないという。ディーゼル発電機の燃料は、少なくとも7日分は確保されている。

 JR北海道は6日朝の始発から全線で運転を見合わせた。復旧のめどはたっていない。札幌市営地下鉄と市電も停電のため、始発から運転を見合わせた。

 新千歳空港は午前5時40分現在、全館で停電している。旅客ターミナルビルで水漏れが発生し、受付カウンターの一部が破損した。

 胆振東部消防組合(厚真町)によると、午前5時半現在、「民家が倒壊している」との情報が厚真町内で6件、土砂崩れによる民家倒壊の情報が厚真町内で3件寄せられた。道路が液状化によって寸断されている場所があり、救助にいけない場所もあるという。停電が続く中、119番通報が相次いでいるという。厚真町消防に入った情報によると、町内で10棟が倒壊し、生き埋めの人がいるという。人数は不明だ。

 苫小牧市役所によると大きな揺れは立っていられないほどの強さで、1分ほど続いたという。

 室蘭市の新日鉄住金室蘭製鉄所構内にある三菱製鋼室蘭特殊鋼によると、製鉄工場から出火した。ただ午前6時10分現在、ほぼ鎮火し、人的被害や施設の大きな被害はないという。


 土砂崩れ・液状化現象・ブラックアウト

 札幌市で液状化現象が発生、道路が隆起してた。また清田区では地震発生当日、少なくとも2か所で道路が陥没し、うち里塚一条の現場では周辺複数家屋が陥没道路に向かって傾いた。

 農業用水用の厚真ダムでは9月6日、土砂崩れにより水路が埋没していることが確認され、農林水産大臣齋藤健は自衛隊の協力も含め今後の降雨によりダムが溢れることに対する対策を検討していることを語った。

 吉野地区では広い範囲で大規模な土砂崩れが発生、周辺家屋で被災者が生き埋めとなり、警察官および自衛隊員が救出活動を続けている。

 地震により苫東厚真火力発電所をはじめとする北海道内全ての火力発電所が緊急停止した影響により、道内全域約295万戸で停電が発生した。道内全域停電は1951年の北海道電力創設以来初の出来事である。

 また、停電により、泊原子力発電所の外部電源が喪失し非常用電源に切り替わった。今後北海道・本州間連系設備による融通を含めて復旧を予定しているが、道内全域の復旧には1週間以上かかるという。大規模な停電により、災害基幹病院では通常の救急対応が出来ない状態が発生。一部では、救急車の受け入れのみ再開した。

 電気事業連合会によると、管内のほぼ全域で電力が止まる「ブラックアウト」が起きるのは初めてだという。

 その後具体的な被害が次第に明らかになり、9月9日現在、政府は42人が死亡し、1人が安否不明になっていると発表した。電力が不足して計画停電を実施する場合でも、被害の大きかった厚真(あつま)、安平、むかわの3町は対象外とする方針も明らかにした。

 北海道のほぼ全域に及んだ停電は、8日夜までに99.9%にあたる約294万9千戸で復旧した。ただ電気の供給はなお綱渡りで、政府は2割の節電を呼びかけた。検討中の計画停電は10日までは見送る。11日以降に踏み切る場合、2日前までに知らせるという。

また、前述のとおり完全復旧に時間を要する事から、道内で輪番停電の実施を計画。管内を60のブロックに分け1回2時間程度送電を停止する計画。実施は2日前までに予告する形となる。


 北海道胆振、地震のメカニズム

 北海道胆振東部地震(ほっかいどういぶりとうぶじしん)は、2018年(平成30年)9月6日3時7分59.3秒(日本時間)に、日本の北海道胆振地方中東部を震源として発生した地震である。地震の規模はMj 6.7、震源の深さは37km(いずれも暫定値)。最大震度は、震度階級で最も高い震度7で、北海道では初めて観測された。気象庁は同日、この地震の名称を「平成30年北海道胆振東部地震」と定めたと発表した。

 また、地震発生直後には震度データの入電しない地点があり、気象庁は当初、安平町で観測された震度6強を最大震度として発表していた。その後、厚真町鹿沼で震度7を観測していたことが、当日夕方までに判明した。

 本地震の発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、内陸地殻内で発生した地震である。余震は最初の震度7の地震の震源地から南北に広がっている。

 サハリン・北海道中軸部では、白亜紀から始新世におけるオホーツクプレートのユーラシア大陸東縁への沈み込み、漸新世におけるオホーツクプレートの右横ずれ運動、中期中新世における背弧海盆運動による右斜め衝突運動などによって、厚い大陸地殻が形成された。日高山脈では、後期中新世以降における千島海溝の斜め沈み込みに伴う千島前弧スリバーの西進による東西短縮運動によって急激に隆起した。

 この急激な隆起は後期鮮新世には衰え、主な東西短縮の場は日本海東縁へと移動したとされている。しかし、現在でも日高山脈付近では東西短縮が継続しており、活断層として石狩低地東縁断層帯などが分布しているほか、1982年(昭和57年)には内陸地殻内地震の浦河沖地震(Mj 7.1)が発生している。

 今回の地震の震央付近では過去にも、1942年2月28日と1949年4月20日、2017年7月1日にいずれもMj 5.1の地震(2017年の地震は震源の深さ27km)が発生している。


 土砂崩れのメカニズム

 今回の地震では強震動によって厚真町を中心に広い範囲で土砂崩れが発生した。この土砂崩れの主な崩壊源は約4万年前に支笏カルデラから噴出されたテフラ(Spfa-1)で、この層の上位にある恵庭岳や樽前山のテフラや、土壌層が一気に崩れたとみられている。前日の台風や、6~8月の降水量が平年の約1.6倍と多かったことから、土壌には多量の水を含んでいたと考えられており、その影響もあった可能性も考えられてる。

 Spfa-1は主に未固結の軽石からなる。厚真町周辺では4m前後の厚さで堆積しており、下位にある中新世の海成層を覆う。この軽石は乾燥密度が約0.5 g/cm3と非常に小さく、国内に分布する軽石でも最も軽い値となっている(多くの軽石は1.0 g/cm3前後)。上位にある土壌層は概ね1.5〜2.0 g/ cm3で、軽いものの上に重いものが重なった不安定な地層構造であったとみられる。


参考 毎日新聞: https://mainichi.jp/articles/20180909/k00/00e/040/205000c


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