太陽系とは何か?

 太陽系(Solar System)というと、太陽および、その重力で周囲を直接的、あるいは間接的に公転する天体から構成される構造である。主に、現在確認されている8個の惑星、5個の準惑星、それを公転する衛星、そして多数の太陽系小天体などから成る。

 太陽系の小天体とは、火星と木星の間にある小惑星帯や、海王星の軌道の外側に広がる、主に氷から成る太陽系外縁天体、エッジワース・カイパーベルトや散乱円盤天体をいう。

 そして、そのさらに外側にはセドノイドと呼ばれる、新たな小惑星の集団も発見されている。これらの小天体のうち、数十個から数千個は自身の重力で、球体の形状をしているものもある。そのような天体は準惑星に分類され、現在、小惑星帯のケレス、太陽系外縁天体の冥王星、ハウメア、マケマケ、エリスなどがある。

 さらに、太陽から外部に向かって放出されている太陽風は、太陽圏(ヘリオスフィア)と呼ばれる、星間物質中に泡状の構造を形成している。境界であるヘリオポーズでは太陽風による圧力と星間物質による圧力が釣り合っている。そして、長周期彗星の源と考えられているオールトの雲は太陽圏の1,000倍離れた位置にあるとされている。

太陽系の果てにある半径1キロちょっとの小天体を小さな望遠鏡で初観測できた今回、太陽系の果てエッジワース・カイパーベルトにある、半径がわずか約1キロメートルちょっとしかない小天体を日本の研究者が沖縄県宮古島市に設置した小さな望遠鏡で見つけた。謎に包まれている太陽系の誕生時の姿などの解明の手掛かりになるという。研究成果は1月28日付の英科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された。

太陽系の果てにある半径1キロちょっとの小天体を小さな望遠鏡で初観測

 発見したのは国立天文台や東北大学、京都産業大学、神戸大学、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所などの研究グループ。国立天文台の元研究員で現在京都大学研究員の有松亘さんらは、口径28センチメートルの望遠鏡に高速ビデオカメラを装着した簡単な観測システム2台を沖縄県宮古島市内の建物に設置。2016~17年の間、計60時間にわたって2千個の恒星を観測した。

 遠い宇宙にある小天体を直接観察するのは難しい。このため同研究グループは、多数の恒星の前を通過する小さい天体を監視する「掩蔽(えんぺい)」という手法を活用。観察した2千個の恒星のうち一つが0.2秒間だけ暗くなる現象を見つけ、解析の結果、恒星の前を微小天体が横切ったことを突き止めた。この微小天体は地球から約50億キロメートル離れた太陽系の果てにあり、海王星よりも外側の軌道で太陽を周回し、半径はわずか1.3キロメートルの極めて小さな天体だった。

 海王星よりも遠方にある太陽系の果てには、小天体が多くあり「エッジワース・カイパーベルト」と呼ばれる領域がある。この領域の小天体は彗星(すいせい)の供給源とみられている。しかしこれらの小さな天体は地上からはあまりに暗いために大型望遠鏡を使っても直接観測することはできなかった。

 研究グループは、「エッジワース・カイパーベルト」で半径1キロメートル程度の小天体を観測できたのは史上初めてで、今後太陽系の誕生時の姿や惑星の形成プロセスのほか、彗星の供給過程などを解明する手掛かりになると期待している。

 低予算で大発見!太陽系の “最果て” に小天体 日本の研究者

 太陽系の最も外を回る惑星、海王星のさらに外側に存在すると考えられている、直径が20キロより小さい無数の小天体の一つを、国立天文台などのグループが見つけることに成功した。こうした小天体は惑星がつくられる材料と考えられ、太陽系の成り立ちの解明につながる成果として注目されている。

 海王星のさらに外側は太陽系外縁部と呼ばれ、小さな天体が多く存在することがわかっているが、直径がおよそ20キロを下回る天体は小さくて暗いため、観測が難しく実態がよくわかっていない。

 こうした小天体について国立天文台や京都大学などのグループが独自に改良した小型の望遠鏡を使って観測を行った結果、直径およそ2.6キロの小天体1つを見つけることに成功した。

 国立天文台によると、海王星より外にあるこの大きさの小天体を実際に確認したのは世界で初めてだという。小天体は惑星の材料になったと考えられ、衝突と合体を繰り返して地球などの惑星ができたとされている。しかし海王星の外側では衝突の確率が低く、惑星にまで大きくならないまま残ったとみられている。

 研究グループは観測を基に小天体の数についても試算し、直径がおよそ20キロを下回るものは、これまでの推定を大幅に上回る20億以上あるとしている。こうした結果は太陽系の成り立ちの解明につながる成果として注目され、イギリスの科学雑誌「Nature Astronomy」のオンライン版に掲載された。

 研究グループのリーダーを務める京都大学の有松亘研究員は「遠くにある光を放つ恒星の前を小天体が横切る際の光の強弱を捉えることで観測に成功した。小さなプロジェクトだが、巨大プロジェクトでも得られない偉業を達成できた。さらに観測方法を発展させて、より遠方の天体の発見につなげたい」と話した。

 わずか350万円… 低予算のプロジェクト

 観測装置の開発費がおよそ350万円という低予算だったことも注目されている。科学の分野では国などが多額の予算や人材を投じて大型の施設をつくり研究を進める、いわゆる「ビッグサイエンス」が主流となっている。

 天文学でも建設費がおよそ1000億円の世界最大の電波望遠鏡「アルマ」や、およそ400億円の「すばる望遠鏡」などが代表例である。しかし今回、研究グループが使ったのは市販されている口径28センチの小型の望遠鏡2台。

 撮影に使ったビデオカメラも既製品で、メンバーが取り付けから改良まで行いた。その結果、同じように太陽系外縁部の小天体の発見を目指す台湾やアメリカなどが参加している国際プロジェクトと比べて開発費はおよそ300分の1という低予算を実現した。

 観測方法の工夫も成果につながった。比較的大きな、直径が20キロを超える天体は観測されてきたが、それを下回る天体は極めて小さくて暗いため、すばる望遠鏡などの高性能な望遠鏡でも観測が困難だった。

 そこで研究グループは、地球から見て太陽系から遠く離れた所にある光を放つ恒星の前を小天体が横切るときに光が遮られる現象に着目した。およそ2000の恒星を60時間かけて動画で撮影し、光の強弱を観測。今回の小天体を見つけ出した。

 プロジェクトに関わったのは国立天文台、京都大学、東北大学、神戸大学、京都産業大学の日本人研究者合わせて10人。低予算ながらもアイデア次第で大きな科学的成果が得られることを示した実例として注目を集めている。

 小天体は、太陽系解明の手がかり

 およそ46億年前に誕生した太陽系。最初はちりやガスが円盤状に集まっていた。

 その後、ちりやガスは直径2キロから20キロ程度の小さな天体となった。さらにこうした小さな天体が衝突や合体を繰り返して原始の惑星が形成され、8個の惑星からなる今の太陽系になったと考えられている。一方、海王星より外側の太陽系の果て、外縁部とよばれる場所では、小さな天体の移動速度が相対的に遅く衝突や合体の確率が低かったと考えられている。

 そのため惑星になることができず、当時のままの小さな天体が大量に残っているとみられる。研究グループでは今回、直径およそ20キロ以下の小天体の数の試算も行った。それによると、これまで推定されていたおよそ2000万を大幅の超える20億以上の小天体があるとの結論に至った。

 さらにグループは、これまでに発見されている直径20キロを超えるおよそ2000の天体のデータなども踏まえて、大きさの分布のシミュレーションしたところ、直径3キロ前後のものが多く存在するとの結果がでた。このことから研究グループは、直径3キロほどの小天体が惑星の誕生に大きく関わった可能性があるとしている。

 このように太陽系外縁部の小天体の実態を明らかにすることは太陽系の誕生や成り立ちの過程を解明する貴重な手がかりにもなる。

参考 サイエンスポータル: https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/01/20190131_01.html

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