日本で増え続けるニホンジカ、イノシシ

 日本では昔から生息しているニホンジカ やイノシシが、近年、急速に生息数が増加し、全国で分布を広げている。増えすぎたニホンジカやイノシシが、いま、日本全国で生態系や農林業、さらには私たちの生活にまで深刻な被害をもたらしている。

 2013年度の農作物被害総額はニホンジカ約76億円、イノシシ約55億円にものぼる。農家の方が作ったお米や野菜などを食べ荒らしてしまうことで、農家の中には意欲を失い、農業を続けることをあきらめてしまう方もいる。

 また、多くの自然公園において、生態系への被害が確認されている。高山帯にまで現れるようになったニホンジカが、お花畑や希少な植物を食べつくせば、美しい景観が失われ、斜面が崩壊してしまうことも懸念されている。1978年から2014年までの36年間で、ニホンジカが約2.5倍、イノシシが約1.7倍に拡大し、 いまも拡大が続いている。

 こんな問題は日本だけのことなのだろうか?

 オーストリアで増えすぎたカンガルー

 カンガルーはカリスマ的な人気をもつ動物で、オーストラリアの生物多様性を象徴する存在でもある。そして同国の国民は、明らかにカンガルーを誇りに思っている。オーストラリアの国章にエミューとともに描かれており、オーストラリアの国獣とされる。オーストラリアを代表する動物である。映画やテレビ番組、詩や児童書で主役となり、通貨や国章、スポーツのユニフォームなどにも使われている。

 一方で、カンガルーを害獣と見なす国民も少なくない。政府の公式発表によると、カンガルーの生息数はオーストラリア人口の2倍を上回る。5000万頭と推定されるカンガルーのせいで作物が荒らされ、家畜の水や牧草が奪われてしまうと、農場経営者は訴える。また、保険業界の統計によると、年間2万件を超える自動車と動物の接触事故のうち8割がカンガルーによるものだという。

 内陸部の過疎地では、カンガルーの増加が人々の生活に支障を来すほど“異常発生”していると思っている人が多い。ディンゴのような捕食動物が減り、先住民による狩りも行われなくなった今、駆除をしなければ生態系のバランスが維持できないと考えられているのだ。

 カンガルーの駆除は、地方経済の振興にも役立つ。政府公認の下、営利目的で駆除されたカンガルーの肉と皮革製品の輸出高が、2017年には約35億円にのぼり、雇用者数も約4000人に達する。

 現在、絶滅のおそれがない4種のカンガルーの肉や皮革が56カ国に輸出されている。オオカンガルー(別名ハイイロカンガルー)と、クロカンガルー、アカカンガルー、ケナガワラルーだ。丈夫でしなやかなカンガルーの革は、ナイキやプーマ、アディダスといった世界的なスポーツ用品メーカーが素材として買い求め、かつてはペット用だった肉も、今では食料品店や高級レストランなどでも徐々に扱われるようになってきた。

 カンガルーを駆除し有効活用

 オーストラリアに八つある州と特別地域のうち、四つが年間の上限数を設定してカンガルーを駆除し、需要に応えている。カンガルーの肉は低脂肪な上、高タンパクで、温室効果ガスを排出する羊や牛を飼育するより地球環境にやさしいと、駆除賛成派は指摘する。

 「牧草地が豊かとは言えない土地において、この風土に適応した動物から食物や革を得るのは、極めて賢明で、持続可能な方法です。赤身肉の生産方法としては、これが最も人道的だと考える生態学者は数多くいます」と、かつてオーストラリア・カンガルー産業協会で理事を務めたジョン・ケリーは語る。

 一方、反対派は少数だが、声は大きい。動物愛護団体や著名人が、駆除は非人道的で持続可能でないと訴え、それに同調する研究者も増えつつある。そもそも生息数の調査に関しては疑わしい部分も多く、生物学的に見て異常発生など起こりえないという。

 この論争を突き詰めると、カンガルーをどう捉えるかという本質的な問いに行き着く。ある人にとっては根絶したい害獣だが、別の人にとっては活用すべき資源であり、また別の人にとっては保護すべき大切な固有の動物だ。

 カンガルーを積極的に食肉に

 「オーストラリアと言えばカンガルー、カンガルーといえばオーストラリア」と言えるほど、カンガルーはオーストラリアの象徴的な動物です。お腹の袋で子育てをしたり、オス同士でボクシングをしたりと個性的で愛される存在のカンガルーだが、個体数の急増を受けてオーストラリアでは駆除して食べるべきという議論があがっている。

 最新のデータによると、オーストラリアの人口は2400万人なのに対して、カンガルーの数は5000万頭近くに達しており、人間の2倍の数になっています。カンガルーの個体数の増加は目覚ましく、2010年に2700万頭だったのが2016年には4500万頭にまで増加したそうで、降水量に恵まれたおかげで食料となる草が豊富に育ったことがその要因だと考えられている。

 カンガルーの個体数が増えた今、「カンガルーを食べよう」と推奨されています。アデレード大学のデイビッド・パトン准教授によると、カンガルーの肉を積極的に食べるべきだとのこと。

 カンガルーが増えすぎると生態系への影響だけでなく、人間への攻撃の可能性などが高まるため、適度な駆除が必要になります。しかし、殺処分したカンガルーをどうするのかについては一考の余地があるとのこと。カンガルーの死骸を収集すれば腐敗が避けられず、この処分の難しさを考えると、積極的に食べるのが望ましいそうです。

 コアラと共にオーストラリアの象徴的な動物のカンガルーですが、家の柵を壊したり、家畜のえさや水を奪ったり、作物を踏みに荒らしたりと、人間に被害を与えることからオーストラリアでは害獣と見なされることも多いとのこと。もっとも、駆除したカンガルーを積極的に食べる地域では、カンガルーが人間に対してより攻撃的になっているという報告もあるそうだ。

 突然道路に飛び出す野生動物 

 オーストラリアではカンガルーをはじめとする野生動物が突然道路に飛び出してくるため、自動車との衝突事故が多発している。事実、田舎の高速道路の道ばたには、カンガルーやその他野生動物の死体を見かけることが多い。

 このような事故から車体の損傷の被害を最小限に抑えるためにバンパーを取り付ける車もあり、バンパーのことはルー・バー (Roo Bar) と呼ばれている。 オーストラリアではいくつかの種が絶滅、あるいは絶滅の危機に瀕している中、一部のカンガルー類はその生息数を増やし続け、現在の生息数は主要な4種だけで5000万頭以上とも言われている。

 そのために、環境や農業へ被害を与えているともいわれ、特に近年は、旱魃の影響により、人の生活圏の側までカンガルーが進出してきたと問題になっている。また、気候変動の影響を指摘する声もある。

 オーストラリア国防省は、2007年5月14日に旱魃の影響を受けた地域で野生のカンガルーによる深刻な被害が出たとして、キャンベラ近郊の軍用基地 2カ所で 3200 匹前後の駆除を発表した。これに対し動物保護団体からは抗議の声が挙がった。

 一度は撤回したものの、翌2008年5月に、オオカンガルー514頭が駆除された。王立動物虐待防止委員会 (RSPCA) を含む動物管理の専門家の協力で安楽死による駆除が実行されたものの、動物保護団体や動物愛護運動家から猛反発が起きており、この際にも10人以上の動物愛護運動家が逮捕されるなどした。

 一方で、一部のカンガルー類において個体数が増加し、環境や農業へ被害を与えている数種のカンガルーを対象に、年間300万頭前後が商業的に狩猟され、その肉はオーストラリア国内での消費をはじめ、世界55国へ輸出されている。

 オーストラリア国内では食用肉としてバーベキューやステーキ、ソーセージ、ミンチ肉、ケバブなどの形で、大手スーパーの精肉コーナーで販売されて、消費されている。なお、カンガルーの肉はアボリジニの代表的なブッシュ・タッカーとして消費されてきた。

 カンガルーとは何か?

 カンガルー(kangaroo)は、有袋類双前歯目の一群である。 カンガルー科 (Macropodidae) に分類されるが、別の分類ではネズミカンガルー科 Potoridae をカンガルー科に統合し、カンガルー科をカンガルー亜科 Macropodinae(先の分類でのカンガルー科)とネズミカンガルー亜科 Potorinae に分ける。

 オーストラリア大陸、タスマニア島、ニューギニア島に生息している。大型の(狭義の)カンガルー、小型のワラビー、樹上性のキノボリカンガルーなどがいるが、同じカンガルー属 Macropus にオオカンガルーもアカクビワラビーも中間サイズのワラルーもおり、大型カンガルーとワラビーの区別は分類学的なものではない。

 体長は小さいもので25cmから大きい種では160cm、体重は0.5kg程度の種から85kgに達する大きな種まで様々ある。毛の色もアカカンガルーのように明るく赤っぽい茶色、灰色、黄色っぽい茶、クロワラルーのように黒色の毛をしている種などがある。ただし、色のバリエーションは同じ種内でも、季節や年齢などによっても変化する。

 カンガルー属の学名Macropusはラテン語で「大きな足」を意味する。オーストラリアではカンガルーを単にルー (Roo) と呼ぶ。

 後肢が発達しており、太い尾でバランスをとりながら跳躍することにより、四肢を使うよりも少ないエネルギー消費で、高速移動ができる。大型種であるアカカンガルーは跳躍により時速70kmほどのスピードを出すことができ、2km近くの距離を時速40kmで跳躍し続けることができる。

 また、移動距離も長く、発情期には100km/1日程度の移動も行う。またオオカンガルーの雌が時速64kmを出した記録がある。しかしながら、カンガルーは後退することができない。大型のアカカンガルーは、両手を器用に繰り出して殴り合うボクシングを行う。特に顕著なのは発情期で、雄は雌に寄り添い交尾の時機を伺いながら、周囲から近づく別の雄を攻撃するようになる。

 この際、上半身を大きく見せるポンピングを行い、それでも勝負が付かない場合には殴り合いになる。これがいわゆるカンガルーのボクシングである。 ボクシングというが、蹴りもつかう。尻尾で体を支えた両足での前蹴りで、人間ならば内臓破裂しかねない程の破壊力を持つ。

 食性は、ほとんどの現存する種類では草の葉を食べる草食性だが、一部の種のように木の根やキノコ、昆虫を食べる種類もある。 ただし、現存こそしていないがエカルタデタ やツヨハオオネズミカンガルーのように肉食性の種類も存在していた。

参考 National Geographic news:  https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/19/020100077/

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