エネルギーとエネルギー資源

 エネルギーという言葉には2つの意味が含まれる。一つは仕事をする能力のこと。もう一つはエネルギーをつくり出す資源のことである。

 仕事をする能力の方は、まず物体は高さによって位置エネルギーをもつ。運動する物体がもつ運動エネルギーはさらに回転エネルギー、振動エネルギーなどに分類される。これらを力学的エネルギーと総称する。

 熱はエネルギーの一種であって、熱エネルギーと呼ばれるが、その実体は物質を構成する微粒子の力学的エネルギーの総和である。電磁現象には電磁エネルギー、光には光エネルギー、化学物質には化学エネルギー、原子核現象では核エネルギーなどが考えられる。

 あらゆる物理変化,化学変化において,これらのエネルギーの総和が保存されることを広義のエネルギー保存則という。

 一方、エネルギーの発生源として、自然界に存在するエネルギー資源のことをエネルギーと呼ぶこともある。

 例えば太陽光は太陽光発電や太陽熱湯沸器に利用されている。また流水の運動エネルギーを水車や水力発電に利用したり、風の運動エネルギーを利用する風力発電などの例は、自然界にあるエネルギー源をそのまま利用したもので、自然エネルギーとか再生可能エネルギーなどと呼ばれている。

 最近では、石油危機などをきっかけに海洋の海流、潮汐などの利用、また地熱の利用なども盛んに研究され、一部は試験操業の段階に入ったものもある。

 一方、石炭、石油、天然ガスなどの類は、燃焼させることによってエネルギーを出すいわば間接的なエネルギー資源であり、化石燃料とも呼ばれている。物質としてのエネルギー資源といえる。

発電効率が1番いい自然エネルギーはなに?

 一般的に電気エネルギーの変換効率は、入力したエネルギーに対して、どれだけの電力が発生したかという効率である。たとえば太陽電池の場合、太陽光のエネルギーは1kW/m2なので、1m2のパネルで200W発電すれば効率は20%ということになる。

 また、タービンを回して発電する装置の場合、タービンを回す機械的な効率と回転運動から電気エネルギーに変換させる電気的な効率を掛ける。特に自然エネルギーで問題となるのは設備利用率で、補助金と同様コストの回収に直接影響を与える。

 太陽光発電の発電効率

 一般的な太陽電池のエネルギー変換効率は、シリコン系単結晶タイプの20%が最高である。しかし化合物系のセルを多接合したものは38%のものも開発されている。ただし製作コストが高額なため現在は、人工衛星にしか使用されていない。

 この発電は、天候や時間に左右され、日本の設備利用率は12%程。県別で高いのは山梨県や長野県などの盆地で、低いのは青森県や秋田県の豪雪地帯である。またこの変換効率は、気温が高いと落ちるという特性もある。

 風力発電の発電効率

 風力発電は風速が3~5m/s以上になると発電を開始し、定格風速の8~16m/sで定格出力の発電を行う。この発電のエネルギー変換効率は、機械効率(約95%)と発電機の効率(約90%)を加味しても20~40%あり、自然エネルギーの中では比較的効率の良い発電である。

 ただし大型の風車を設置するので、自然の景観がそこなわれ、近隣住民に対して騒音や電波障害などの環境問題に発展する恐れがある。

 木質バイオマス発電の発電効率

 木質バイオマス発電は、化石火力に比較して燃焼温度が低いため発電効率は20%程度である。この発電は他の自然エネルギーと違い燃料にコストが掛かる。したがって排熱の利用が重要で、コージェネなどを行ってエネルギー効率を上げることが重要である。

 地熱発電の発電効率

 地熱発電は、地下のマグマで温められた蒸気を利用して発電を行う。自然の蒸気を利用するため蒸気の温度が比較的低く、このため発電効率も10%~20%である。しかし発電の原料となる蒸気は安定して供給されるため、設備利用率は約80%と高くなっている。

 既存の温泉施設で需要が増えてきたバイナリー発電だが、温水の熱量は小さく、また熱媒に熱交換をするため発電効率は5%前後である。

 水力発電の発電効率

 水力発電は水の落差を利用して発電するシステムである。この発電は、水の位置エネルギーを全て利用でき、エネルギーの損失となるのは水車の機械損失と発電機の損失だけ。このため総合的な発電効率は約80%と自然エネルギーの中では最も高い数値となっている。

 しかし、水を貯めるダムは、山奥など自然豊かな場所に建設されるため、環境破壊の原因になる。また長期間雨が降らないと、水の供給が不足して発電をストップしてしまう危険性がある。

参考 Loopclub:https://looop.club/editorials/detail/90?popin_recommend_link

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