11月、暦の上では“冬の始まり"の理由

 台風のシーズンもようやくすぎ、太平洋側は晴天の続く日が多くなった。朝夕は気温が低下し街路樹の葉も色づき始めると、冬の気配を感じるようになった。

 11月8日(金)は二十四節気「立冬(りっとう)」。暦の上では冬の始まりとなるが、今日はすでに17日。少しずれているようにも感じられるが、これはなぜなのだろうか?

 実は、二十四節気は中国が発祥の地。中国の中でも黄河中流域付近の気候を基準としているようだ。試しに黄河中・下流域に位置する鄭州(ていしゅう)と都市化の影響が少ない茨城県水戸市の気温を比べてみると...。鄭州の場合、最も寒いのが1月、最も暑いのが7月となっている。一方、水戸市は1月~2月が寒く、8月が最も暑くなっている。

 さらに、黄河の中・下流域に位置し水戸と同緯度にある都市、安陽(あんよう)と水戸市の平均気温を比較してみると...。安陽では大寒に最も気温が低く、大暑に最も高くなっている。しかし、水戸では大寒~立春にかけてが最も低く、立秋に最も気温が高くなっていた。

 こう見ると、黄河と日本では約1節気ズレていることがわかる。そのため、黄河の気候を基準とした二十四節気では、日本の季節と異なってしまうということだ。 

 11月の夕方の空

 晴れて空気が乾燥し、透明度が増してくると、冠雪した遠くの富士山がよく見える。夕方日が沈むころ、ちょうど富士山の山頂に日が沈むことがあり、ダイヤモンド富士などと呼ばれている。

 この時期は星を見るのにも適している。先日、日没後の西の空に明るい星が2つならんで見えた。あれは何だろうか?

 調べてみると金星と木星らしい。下旬ごろには金星と木星が大接近する。晩秋の夕空に明るい2惑星が浮かぶ、美しい光景が眺望できる。28日と29日には細い月も加わるので、さらに楽しみだ。

 宵の天頂にはペガスス座が見える。今年のノーベル物理学賞で話題になった、普通の星の周りで初めて見つかった系外惑星が、このペガスス座にある。その隣のアンドロメダ座には、古くから観測研究の対象とされてきたアンドロメダ座大銀河がある。星空を見上げながら、星座と天文学とのつながりを感じてみてはいかがだろうか。

 11月の星空と天文現象

 西の空には、夏の代表する、夏の大三角が輝く。いっぽう、秋の星空の目印、秋の四辺形が南の空高く輝いている。夏の大三角は、こと座のベガ・おりひめ星とわし座のアルタイル・ひこぼし、はくちょう座のデネブを結ぶとできる三角形。秋の四辺形は、ここにある星座ペガスス座の名前をとり、ペガススの四辺形とも呼ばれている。

 この分かりやすい夜空の目印のうち、秋の四辺形を目印に、南側にみなみのうお座のフォーマルハウトと、くじら座のデネブカイトスが見つかる。また頭の上から北側には、アンドロメダ座、カシオペヤ座、ケフェウス座が見つかる。秋の星座をさがすには、ぜひ秋の四辺形を目印にしよう。東の空に目を向けると、冬の星座・オリオン座が昇り始めている。まもなく、冬が訪れる。

 今月は、くじら座の変光星ミラが明るくなり、見つけやすくなる。できるだけ長い期間、観察すれば、明るさの変化も感じられる。また、月末には、宵の空の金星と木星の接近と、明け方の水星の西方最大離角がある。急に寒くなる時期なのでしっかり防寒対策をして、日々様子の変わる秋の星空を楽しみたい。
 11月の暦と惑星 

 8日は立冬(太陽黄経225度)。12日は満月/水星が内合だった。13日ころ、おうし座北流星群が極大(見頃は10月25日頃から11月5日頃までの夜半頃。1時間に2個程度)18日ころ、しし座流星群が極大(見頃は19日の未明。1時間に1個程度。月が明るく条件が悪い)。

 20日には下弦の月/水星が留となる。22日は小雪(太陽黄経240度)。23日は勤労感謝の日。27日は新月。28日は海王星が留/水星が西方最大離角となる。

 水星は、上旬は日の入り直後の南西の低空に位置していますが、見かけの位置が太陽に近く、観察には適していない。12日に内合となり、以後は日の出前の南東の低空に位置するようになる。下旬になると高度が上がり、28日に西方最大離角となる。東京では11月22日から12月7日の間の日の出30分前の高度が10度を超え、観察しやすくなる。11月22日から12月7日の明るさは、0.2等からマイナス0.6等。

 金星は日の入り直後の南西の低空に位置している。東京では下旬になると高度が高くなり、見つけやすくなる。明るさは、マイナス3.9等。

 火星は、おとめ座を東に移動している(順行)。日の出直前の東から南東の低空に位置し、東京では中旬以降は高度が高くなり、見つけやすくなる。明るさは、1.8等から1.7等。

 木星は、へびつかい座を東に移動し、下旬にはいて座に移る(順行)。日の入り直後の西の低空に見えているが高度が低く、観察は難しい。土星はいて座を東に移動している(順行)。宵の南西の低空に見え、明るさは、0.6等。

参考 アストロアーツ: https://www.astroarts.co.jp/alacarte/2019/11/index-j.shtml

  

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