COP25スペインで開催

 国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が12月2日から13日までの予定で、スペインのマドリードで開催している。

 地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」が来年1月に本格スタートするのを前に、条約に加盟する約190の国と地域が、協定の下で温室効果ガス削減を進めるための詳細ルールに最終合意し、温暖化対策強化の基盤を作ることを目指す。また、世界各地で温暖化が原因とみられる被害が顕在化する中、削減目標強化の機運醸成も期待される。

 パリ協定は、産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指し、各国が独自に削減目標を決めて国連に提出する仕組み。前回COP24で、この仕組みを運用する実施指針(ルールブック)を採択。先進国や途上国の区別なく、すべての国が同じルールの下で対策を進めることが決まった。

 地球温暖化対策を訴える16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんもCOP25に参加するため、訪問先のアメリカから船で大西洋を横断し、ポルトガルに到着。スペインには12月4日に到着した。

 グレタさんは、国連の温暖化対策サミットなどに出席するためことし8月からアメリカに滞在し、先月にはCOP25が開かれる予定だった南米のチリに陸路で向かうことにしていたが、チリ政府は10月、国内での大規模な反政府デモを理由にチリでの開催中止を表明。急きょ開催地がスペインに変更となっていた。

異常気象 豪雨や猛暑の日本が世界で最悪の被害

 12月4日、ドイツの環境NGOは、去年1年間に異常気象で世界で最も深刻な被害を受けたのは、記録的な豪雨や猛暑に見舞われた日本だったとする分析を発表し、温暖化対策の強化を呼びかけた。

 熱波や干ばつ、洪水などによる世界各国の被害を分析しているドイツの環境NGOは、スペインで開かれている国連の会議、COP25で記者会見を行い、去年1年間で異常気象による最も深刻な被害を受けた国は日本だったと発表した。

 死者数や経済的な損失などをもとに行ったということで、西日本を中心に広い範囲で大きな被害が出た西日本豪雨や、「非常に強い」勢力を維持したまま上陸した台風21号、そして埼玉県熊谷市で41.1度と観測史上、国内で最も高い気温を記録するなど猛暑に見舞われたことを理由にあげている。

 環境NGOは「同じ年に複数の極めて異例な気象災害に見舞われるのは地球温暖化の影響を抜きには考えにくい」としています。

 そのうえで、世界全体では過去20年に異常気象によって50万人近くが亡くなり、経済的な損失は日本円で385兆円を超えるとして、温暖化の被害を抑える対策を強化するよう呼びかけた。

「パリ協定」へルール詰め COP25 2日から開幕 190カ国・地域参集

 COP25での最大の論点は、パリ協定で定めた、他国が削減した排出量を自国の削減目標達成に活用できる仕組み「市場メカニズム」の実施ルールについて合意できるかだ。

 他国の排出削減を支援した国は、削減できた分を自国の排出分から差し引くことができるが、支援を受けた国は自国の実績にはできない。このためブラジルなど一部の途上国は、支援を受けた削減分も実績として認めるよう主張している。しかし削減分を二重に計上することになるため、先進国などは反対している。COP25で合意できなければ、対策強化の議論が遅れる恐れがある。

 また、各国は国連に提出済みの2030年までの削減目標を見直し、来年2月までに再提出することになっている。世界第2位の温室効果ガス排出国である米国のトランプ政権が11月にパリ協定からの離脱を国連に正式通告し、機運低下が懸念される中、目標引き上げを促す合意が採択されるかも焦点だ。

 国連のグテレス事務総長は20年までに温室効果ガスの排出量が多い石炭火力発電所の新設中止を各国に求めており、石炭火力を「ベースロード(基幹)電源」と位置づけ新設を認める日本政府に対しては、国際社会からの批判は強まる。

 政府代表として演説する小泉進次郎環境相が新たな方針を打ち出すかにも注目が集まる。スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんも会議に参加する予定で、さらなる対策強化を各国に迫るとみられる。

 近年、世界各地で熱波や豪雨による被害が頻発する。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は今年、将来の温暖化影響を予測する特別報告書を相次いで公表した。50年に穀物価格の高騰で飢餓リスクが増大する可能性や、今世紀末には海面水位が最大で1・1メートル上昇するなどと指摘。温暖化対策の強化は急務で、9月の国連気候行動サミットでは77カ国が50年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとする目標を公表した。

温暖化により「破壊的影響」とUNEP警告 日本は温室効果ガス削減続くも目標には不十分

 増加している世界の温室効果ガス排出量を抑えないと今世紀末の気温は産業革命前と比べて最大4度近く上がり「破壊的な影響」が生じる――。このように警告し、地球温暖化対策の強化を世界各国に求める報告書を国連環境計画(UNEP)が11月26日、公表している。

 報告書は、パリ協定が努力目標として掲げる1.5度の上昇幅に抑えるためには排出量を年7.6%ずつ減らす必要があると指摘している。

 一方、日本の環境省は11月29日、国内の2018年度の温室効果ガス排出量は前年度比3.6%減って5年連続減少したと発表した。日本は2030年度の排出量を2013年度比26%減らすことを目標に掲げているが、2018年度の排出量は2013年度比で11.8%減にとどまり、同省は引き続き大胆な削減が必要としている。

 「Emissions Gap Report 2019」と題したUNEPの報告書によると、人間の活動による温室効果ガスはこの10年平均で年1.5%ずつ増え、2018年の排出量は553億トン(二酸化炭素換算)になり過去最大となった。

 パリ協定で各国が約束している現在の排出量削減目標では2030年時点の排出量が560億トンになる。そして、このままでは今世紀末に気温が3.4~3.9度も上がってしまい「破壊的な影響」が生じる恐れがある。パリ協定に基づいて協定に参加する各国の削減目標を達成しても3.2度上昇するという。

 パリ協定は、温暖化による深刻な被害を防ぐためには産業革命前から今世紀末までの気温上昇を2度未満、できれば1.5度に抑えることを目指している。報告書は、気温上昇を1.5度に抑えるためには2030年の排出量を320億トン減らす必要があり、そのためには現在年1.5%ほど増えている排出量を毎年7.6%減らす必要があると分析。2度未満を目指す場合でも、毎年2.7%の削減が必要としている。

 報告書はまた、20カ国・地域(G20)で世界の全排出量の78%を占めるため、これらの国が率先して社会や経済の在り方を転換し、温室効果ガス排出量削減対策を強化する必要があると指摘している。

 地球温暖化対策とCOPのあゆみ

1992年 国連環境開発会議(地球サミット)で気候変動枠組み条約採択(94年発効)
  95年 条約第1回締約国会議(COP1)で先進国の取り組み開始
  97年 COP3で京都議定書採択。先進国に温室効果ガス排出削減を義務付ける
2001年 米国が京都議定書離脱
  05年 京都議定書発効
  07年 COP13ですべての国が参加するルール検討に合意
  14年 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次報告書が「人間活動が温暖化原因」とほぼ断定
  15年 COP21でパリ協定採択。途上国を含む全ての国に削減目標策定と国内対策を課す
  16年 パリ協定発効
  19年11月 トランプ米政権がパリ協定から離脱通告する文書提出
  20年1月 パリ協定スタート

参考 サイエンスポータル: https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2019/12/20191203_01.html

  

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