2012年の金環日食

 日本での日食というと、2012年5月20日の日食を思い浮かべる。この時は東京でも観察できた珍しい金環日食であった。中国南部、日本列島、太平洋、アメリカ合衆国西部などで20日・21日に観測された。

 20日・21日と2日間にわたっているのは食の経路が日付変更線をまたいだためで、先にアジア地域で21日の朝(現地時間)に見られた後、北米地域では20日の夕方(現地時間)に見られた事による。 金環日食の中心食帯が日本列島の南側を通過し、九州地方南部、四国地方南部、近畿地方南部、中部地方南部、関東地方では金環日食の、また中心食帯の外側の日本列島の全域では部分日食の観測可能域となった。

 日本気象協会ではJWA10日間予報を用いて作成した日食当日の朝における日本各地の天気予報が分かる予想天気マップを5月11日より20日まで毎日公開した。多数の自治体・報道機関がよそ見などで事故を起こしたり目を痛めることのないよう注意を呼びかけたほか、登校時間をずらす小学校もあった。

 当日は日本の広い範囲で曇りとなるとの天気予報が出ていたが、東京では雲の合間から金環日食が観測されるなど、多くの地点で金環日食や部分日食が観測された。

 この金環日食に伴い、日本では太陽観測用グラス(日食グラス)が爆発的に売れ、ビクセン製品は200万個を出荷、ケンコー・トキナー製品のキャラクター付きグラスは100万個を販売した。

 皆既日食と違い、金環日食では強い光を放つ太陽の光球がじかに見えるため裸眼での観測はもちろん、煤でいぶしたガラスやサングラス等でも目に危険で、この金環日食を観察した人の中には目に異常を訴えるものも現われ、1000人ほどが眼科を受診し、その内の一部で目に異常が継続している。

 日食網膜症に罹患した可能性も指摘されている。また、金環日食の最中に男児が3階の窓から転落する事故が発生しており、この男児は金環日食を見ていて誤って転落した可能性がある。金環日食が見られた主な地点(都道府県庁所在地)は下記のとおり(いずれも時刻はJST)。

 2019年12月26日 部分日食

 そして今回、2019年12月26日(木)、昼2時過ぎごろから夕方16時半ごろにかけて、日本全国で部分日食が見られる。今年1月6日にも全国で部分日食が見らたが、一年の締めくくりにも日食となる。

 太陽の高度が低く、東日本では欠けた状態で太陽が沈む。時刻と高度、観察や撮影の場所を事前にチェックしておくことがポイント。安全にもじゅうぶん気をつけて楽しもう。

 日食の時刻(始まり、最大)は地域によって異なるが、おおむね「14時~14時30分ごろに始まり、15時30分ごろに欠け具合が最大になる。終わる時刻はだいたい16時30分ごろだが、静岡~新潟あたりより東の地方ではこれよりも早く(つまり日食が終わる前に)太陽が沈む。このような「欠けた太陽が沈む」日食のことを「日没帯食」や「日入帯食」と呼ぶことがある。

 欠け具合は「食分」という値で表す。太陽の直径のうち、どれだけ月に隠されているかを示す数値である。日本では、だいたい南の地域ほど最大食分が大きくなる。

 時刻だけでなく方位や高度も重要なポイント。方位はおよそ南西、日食が始まるときの太陽の高度は10~25度くらい。冬至の4日後なので昼過ぎの時点でも太陽はかなり低く、札幌では日食開始時の太陽高度は12度しかない。観察予定の場所からどのように見えそうかを事前に確認し、とくに南西方向の見晴らしが良い場所(写真撮影をする場合には前景になりそうなものがある場所)を探しておこう。

 今回の日食は金環日食

 今回の日食はアフリカ東部からアジア全域、オーストラリア北西部、グアムなどで見られる。金環日食となるのはアラビア半島~インド南部、シンガポール、グアムなどで、その外側の広い地域で部分日食となる。

 黄色の線とオレンジ色の線で囲まれた範囲で日食が見られる。黄色の線の内側では最大食(その場所で太陽が最も大きく欠ける状態)を見ることができる。

 オレンジ色の線のうち外側は「日出時に部分食が終わるか、日没時に部分食が始まる」限界線である。内側は「日出時に部分食が始まるか、日没時に部分食が終わる」、つまり部分日食を全過程見られる範囲を表す。

 金環日食が見られるのは、「金環帯」と呼ばれる細い帯状の範囲。赤い中心線上では、その帯の部分(南北のうち)で最も長い時間、金環食を見ることができる。

 反対に帯の南北端付近では、金環食は一瞬しか見られないが、月縁の凹凸が太陽の端と重なって光点が途切れ途切れに連なる現象「ベイリーズビーズ」を見ることができる。

 将来の日食はいつ?

 日本で次に日食が見られるのは来年2020年6月21日(夏至)で、夕方ごろ全国で部分日食が見られる。今回と同様に、南西日本ほど太陽が大きく欠け、アラビア半島~インド北部~中国・台湾などで金環日食となる。

 日本で皆既日食が見られるのは2035年9月2日(皆既帯は北陸~北関東)、金環日食が見られるのは2030年6月1日(金環帯は北海道)である。

 2030年6月1日の北海道で金環日食

 2012年から18年ぶりに、日本で金環日食が見られる。金環帯が北海道を通っており、北海道の大部分が金環日食となる。その他の地域では仙台が86%欠けますし、東京80%、大阪73%、福岡66%などの食分となっている。

 2035年9月2日 日本列島中央部で皆既日食

 2009年以来26年ぶりに日本で皆既日食が見られる。細い皆既帯が日本中央部を北西から南東方向へ横切る。

 東京や金沢の食分が99%を超えており、糸のように細くなった太陽が見られる。しかし残念ながら、あと一息のところで皆既日食にはならない。

 2041年10月25日 日本列島中央部で金環日食

 2030年から11年ぶりに金環帯が日本列島を斜めに横断する。金沢では食分0.95の金環日食となる。大阪や東京では食分が0.9を超えており、カチューシャのような形をした太陽を拝むことができる。

参考 国立天文台: https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2019/12-topics03.html

  

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please