ネズミという生物のイメージ

 新年、明けましておめでとうございます。日差しが眩しい正月を迎えました。皆様におかれましては清々しい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。また、旧年中は、サイエンスジャーナルにお立ち寄りいただきありがとうございました。本年も、更にわかりやすい情報提供に努めて参りますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

 さて今年はネズミ年。ネズミ(鼠)といえば、哺乳類ネズミ類の総称である。ネズミ類を齧歯類(げっし類)ということもある。齧歯の意味は、物をかじるのに適した門歯と顎のこと。門歯は終生のび続け、先端はのみ状を呈し、堅い物をかじるのに適する。

 ハツカネズミ、カピバラ、リス、ヤマアラシなど、2000種~3000種が含まれ、現在の哺乳類で最も繁栄しているグループである。これは現生哺乳類全種(4300-4600種)の約半数を占める。生息域は、南極大陸を除く全大陸、およびほとんどすべての島である。さまざまな環境に適応した多様な種が存在する。英語では大型のものを「Rat」、小型のものを「Mouse」と呼ぶ。

 ネズミを漢字で書くと「鼠」この字を使った四字熟語には窮鼠噛猫(きゅうそごびょう)社鼠城狐(しゃそじょうこ)首鼠両端(しゅそりょうたん)鼠窃狗盗(そせつくとう)虫臂鼠肝(ちゅうひそかん)などがある。どれも「ちっぽけな」とか「取るに足りない」イメージで使われている。

 干支の中のネズミのイメージ

 動物であるネズミに対して、十二支のネズミ(子)は全く違う。日本の十二支と言えば、ネズミ、ウシ、トラなどの12の動物を連想する人が多いが、元々は十二支に動物の意味はない。

 最初は、十干と十二支を合わせて日付を記録するのに使われていた。そして、季節が月の満ち欠けを12回繰り返したら循環することから月に割り当てられたり、時刻、方位、陰陽(光と影)、五行(性質)などを指すのに使われるようになった。

 「子」の指す時刻は「23時~1時頃」、方角は「北」、月は「旧暦の11月」、陰陽は「陽」、五行は「水」という意味がある。このように十二支はあらゆる概念の指標になっており、生活において重要なものだった。そのため、無学な民衆でもこれを覚えて使えるようになってもらうために、馴染み深い動物が割り当てられたと言われている。

 では「子」は動物でなかったのなら、どういう意味があるか。そもそも十二支は植物の循環の様子を表している。子は本来「孳」という字で、種子の中に新しい生命がきざし始める状態を指す。その後、「丑・寅・卯・辰・巳」と徐々に芽が育ち、「午」で陰陽の転換点を迎え、「未・申・酉・戌」と結実する。そして最後の「亥」で地面に落ちた種が土中へ埋まり、次世代の生命へと繋がっていく。

 「子」は生命のスタートであり、繁殖や発展を意味する。「子」の本義は「孳(じ)」つまり、生む、繁殖にあり、十二禽でネズミを当てたのも多産のイメージ故である。何かを始めるのには良いタイミングの時期となる。

 2020年の干支は「庚子」

 2020年の干支は「庚子(かのえ・ね)」である。干支は10種類の十干(じっかん)と、12種類の十二支の組み合わせで60種類が存在し、60年で一巡する。2020年は十干が「庚(かのえ)」、十二支が「子(ね)」であり、2つ合わせて干支は「庚子」となる。

 「庚子」が表す意味は、新たな芽吹きと繁栄の始まりである。つまりは、新しいことを始めると上手くいく、大吉であると指し示している。

 そもそも干支は、未来に起こることを知るための占い的な要素を持っている。東洋思想では未来は既に決まっているものであり、人はそれを知るすべを持たない。まさに神のみぞ知るというわけで、東洋の占いは基本的には未来を知るためのものである。これは東洋と西洋では時間の流れの概念が正反対であることによる。

 西洋思想における時間は、過去から未来へと流れる。つまり未来は、過去から続くそこに至るまでのプロセスの結果として存在する。しかし東洋思想における時間は、未来から過去へと流れている。神や仏とも呼ばれる全能の理、大いなる意思によって未来は既に定められていて、それが我々の元に降りかかってくると考える。

 故に西洋の占いは、未来を良い結果に導くために今何をすべきかを問うものに対し、東洋の占いは、この先自分の身に降りかかってくる定められた未来の出来事を知り、それに備えるためのものなのである。

 「庚」は上手く転身できる年、「子」は賢くスタートが切れる年

 まずは十干からひも解いていこう。2020年の十干は「庚」である。十干は太陽の巡りと動物の生命の循環サイクルを「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類で示したもので、「庚」は7番目にあたる。季節でいえば秋の初めであり、生命サイクルでは結実や形成という変化転換を表す。

 また「庚」という漢字は、杵を両手で持ち上げる象形と植物の成長が止まって新たな形に変化しようとする象形からできた文字で、「かわる」や「つぐ」という意味がある。これらを考え合わせると、「庚」とは結実の後に転身することを意味する。

 次は十二支だ。2020年の十二支は「子」である。十二支は月の巡りと作物の発芽から収穫までの生命の循環サイクルを、ご存知の通り「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類で示したもので、「子」は1番目にあたる。

 「子」は種子が土中で発芽したまさにその瞬間を意味する。その後、「丑・寅・卯・辰・巳」と徐々に芽が育ち、「午」で陰陽の転換点を迎え、「未・申・酉・戌」と結実する。そして最後の「亥」で地面に落ちた種が土中へ埋まり、次世代の生命へと繋がっていく。

 「子」は生命のスタートであり、繁殖や発展を意味する。「子」の本義は「孳(じ)」つまり、生む、繁殖にあり、十二禽でネズミを当てたのも多産のイメージ故である。

 また「子」という漢字は、頭の大きな赤ん坊が両手を広げた象形文字で、子どもを表し、そこから小さい、生む、種子、従うといった意味が派生した。古代中国では立派な男性に対する敬称にも使われ、孔子、孟子、老子、荘子など優れた哲学者によく用いられるなど、「子」の文字には「賢い・聡い」という意味も内包されている。

 ネズミは多産であることから、繁殖や発芽の意味を持つ「子」に割り当てられた。この繁栄のイメージから子年の縁起物のネズミは俵に乗り小槌を持っていることが多い。

 商売取引、新築、結婚、すべて吉

 東洋では多くの神社仏閣で占いが普通に行われている。しかしキリスト教の教会で占いは行わない
十干の「庚」と十二支の「子」のそれぞれの意味がわかったところで、次はその関係性について考察してみよう。

 干支は陰陽五行思想と呼ばれる古代中国の思想に基づいている。陰陽五行思想とは世の中のすべては5種類の元素「木・火・土・金・水」に分類され、「陰・陽」に分かれる。これらは独自の性質を持ち、お互いに影響を与え合うとしている。

 つまり十干と十二支の組み合わせによっては、お互いを高め合ったり、もしくは打ち消し合ったり、中には片方をダメにしてしまうこともあるなど、関係性が重要な意味を持つ。

 2020年の干支「庚子」に関して言えば、「庚」は金に属し、「子」は水、これは「金生水」という相生(そうせい)と呼ばれる関係にある。相生とは互いを生かす関係のことで、金は温かい空気を冷やして水を作り出し、溢れた水の流れが土中に眠る金を洗い出し、人の手元に運んでくるとされる。

 ちなみに「庚」はカノエ、「金の兄」とも書き、陰陽五行思想では「金の陽」にあたる。金は金属のごとき冷徹・堅固・確実な性質を持ち、秋の象徴でもある。陽は大きなとか強いといったイメージだと考えると理解しやすい。

 つまり2020年の干支「庚子」は、非常に冷静なひらめきとクレバーな行動で転身し、新しく始めることがとてもうまくいくことを意味している。

 では何をスタートすれば成功するのか。仕事か趣味か、それとも私生活か。大事なことを悩んだ時には、先人たちは「二十八宿」と呼ばれる運命星を拠り所に占っていた。

 これは占星術と同じ考え方で、天の黄道を十二星座ではなく、東西南北に四分割し、そのひとつひとつを7宿に等分、4×7=28宿として吉凶を占った。この二十八宿も干支と同じく暦の上で年・月・日にそれぞれ当てはめられ、有名なものには大掃除の吉日とされる鬼宿(きしゅく)などがある。

 2020年は「二十八宿」では「畢(ひつ)」にあたり、その意味は「神仏祭礼、婚礼、屋根葺き、棟上げ、取引開始すべて吉」というものである。つまり結婚、新築、新規事業や開店などの商売に、大きなチャンスが待っているようである。

参考 LIFULLLI HOME'S PRESS:https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00743/

  

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