本田圭佑の“変顔”

 何だこれは?そう思った。そこにはサッカー元日本代表の本田圭佑の変顔。記事を読むと、オーストラリア森林火災の復興支援を目的とした募金呼びかけの一環として、自身の“変顔”を披露したという。

 本田は自身がCEOを務めるNowDo株式会社を通して、1月11日に「変顔チャレンジ」への参加を呼びかけていた。SNSで指名を受けたユーザーが、“変顔”の写真または寄付を行った証明書のどちらかを公開し、次の知人を指名するという運動となる。

 本田は11日の時点では変顔ではなく寄付を選択した形で、オーストラリア赤十字社に1万15ドル(100万円)を寄付した証明書を公開していた。だが翌12日には変顔の写真も投稿した上で、(寄付と変顔の)「できれば両方やってね!」とコメントを添えている。

 そういえば「オーストラリアで山火事が起きている」というのは、ニュースで何となく聞いてはいた。地球温暖化の影響で、乾燥した地域に落雷などがあると発生する森林火事は世界的にはどこかで起きている。いつものことと思っていた...。だが、思っていたより事態は深刻なようだ。

 まるで地獄絵図、激しい火の粉と風と雷

 森林火災による煙が渦を巻きながら上昇し、小さな白い雲ができる。それがわずか30分のうちに、すさまじい雷雲へと変わる。

「そのどす黒いことといったら、尋常ではありません」。オーストラリア、クイーンズランド大学の森林火災科学者ニコラス・マカーシー氏は、激しい森林火災から生まれる火災積乱雲について、そう表現する。

 火災積乱雲や嵐のような火災旋風は、火災をさらにひどくするきわめて危険な大気現象だ。猛烈な風を起こし、まだ火の手が達していない離れた場所へまで火の粉を吹き飛ばし、雷を落とす。

 2018年に米カリフォルニア州で起こった「カー火災」では、4.8キロにわたる火災積乱雲がわずか15分で11キロにまで膨れ上がり、炎の竜巻も起こった。火災旋風は、ポルトガルや米テキサス州、アリゾナ州で起きた深刻な森林火災で観測されている。

 火災積乱雲、火災竜巻、火災旋風

 地球温暖化により、大規模な森林火災は以前よりも増加し、火災シーズンも長期化している。昨年、オーストラリアでは春の降水量が過去最低を記録し、最も暑い1年となった。そして、森林火災がこれまで以上に猛威を振るっている。このままいくと、火災旋風の発生件数も増加し、ただでさえ乾燥しきっている土地にさらに追い打ちをかけるだろうと、専門家は懸念している。

 「全てが最悪の状態にあるということ」 いつどのようにして火災旋風や火災積乱雲が発生するのかを正確に予測することは難しいと、カナダ、アルバータ大学教授で森林火災が専門のマイク・フラニガン氏は言う。

「火災旋風は非常に激しく、予測不可能です」

「火災の最中で、これらの現象を作り出すもの全てが最悪の状態にあるということです」と語るのは、米海軍研究所の火災積乱雲専門家マイク・フロム氏だ。

 火災現場の上空が超高温になると、上昇気流が発生する。それとともに、煙が煙突をのぼるように吸い上げられる。上昇した空気は冷えて凝縮し、雲を形成する。雲は上へ行けば行くほど、雷を伴った嵐が起こりやすくなると、フラニガン氏は言う。

「猛烈な上昇気流は、独特な風を作り出します。そこは、非常に変化の激しい環境です」

 火災積乱雲は、通常の積乱雲と見た目がよく似ているが、いくつか重要な違いがある。まず、負電荷よりも正電荷を帯びた雷が発生することが多い。正電荷の落雷は寿命が長く、地上で火災を起こしやすい。

 また、火災旋風は動きが鈍く、それを発生させた火災現場の上空に長く留まる傾向がある。そして、何よりも気になるのが雨だ。火災積乱雲は、大規模森林火災の消火に必要な雨を降らせてはくれない。

「皮肉なことに、雨はまず降りません。火災積乱雲は火から生まれるので、煙に含まれる微粒子が雲の中の物理現象に影響を及ぼして、水滴が形成できなくなってしまうのです」

 あと数カ月は火災が続くと予測

 オーストラリアは、気候変動の直接的な影響を受けるリスクが高い。2005年以降、観測史上最も暑い年が10回もあった。ハリケーンに洪水、森林火災など、ひとつひとつの気象現象を気候変動と関連付けることはできない。そのため、科学者は長期的な気象パターンを調べる。フロム氏の研究では、気象パターンの変化はまだ確認できていないが、研究は続けられている。

 過去1年間で、オーストラリアではその前の20年間をすべて合わせたよりも多くの火災旋風が発生している。今後も暑く乾燥した状態が続き、火災積乱雲が現れる回数も増加するだろうと、科学者は見ている。

「気候変動のせいで森林火災は激しさを増し、火災旋風も増えると思われます」と、フラニガン氏も言う。

 2019年7月に発表された論文で、マカーシー氏らの研究チームは、オーストラリアの気候が変化し、この先多くの人や動物の生息地が火災旋風の危険にさらされるだろうと予測している。

 だが、火災旋風や火災積乱雲の長期的な影響はまだはっきりしていない。それらが火災を拡大させ、森林火災を悪化させることはわかっているが、火災積乱雲は局地的に太陽の光を遮り、気温を下げる効果があるかもしれないと、フロム氏は指摘する。

 オーストラリアの森林火災シーズンはまだ始まったばかりだ。気象予報士は、火災があと数カ月は続くと予測している。 

 約5億匹の動物が亡くなった

 オーストラリアで発生している森林火災の勢いが止まらない。 9月からこれまでに焼失した面積は1200万ヘクタールとも報道されており、日本国土の3割近い計算だ。

 立ち昇る煙は隣国のニュージーランドのみならず、1万キロ以上離れた南米のチリやアルゼンチンでも観測された。  オーストラリアは森林の減少などから多くの動物の生息環境が悪化しており、WWF(世界自然保護基金)の会長が政府に改善を求める手紙を昨年公開したばかり。そこに襲いかかった山火事で、絶滅危惧種の動物や昆虫を含めた生態系への影響が強く懸念されている。

 特にシドニーのあるニューサウスウェールズ州の火災が深刻で、同州だけで5億匹近い動物が死んだと推計。野生の固有種の宝庫として知られる観光名所カンガルー島は3分の1が焼失し、この島だけで2万5000頭のコアラが命を落とした。一部ではコアラ絶滅の可能性まで報道されている。

 同州のコアラ病院がクラウドファンディングで募金を集めたところ、全世界から応募が殺到した。2万5000ドルの目標に対し、およそ600万ドル集まり、その額は今も増え続けている。山火事の余波で、オーストラリアの複数のラジオ局は「Fire(火事)」とつく曲の放送を自粛しているそうだ。

 オーストラリアの昨年の平均気温は観測史上最高を記録し、降水量も1900年以降で最も少なく、最悪の干魃状態となっている。  実は、2019年の平均気温が高いのは世界的な傾向だ。

 欧州連合(EU)が運営しているコペルニクス気候変動サービスは1月8日、2019年の世界の平均気温が観測史上2番目の高さだったと発表した。過去の上位5位の高温記録がすべてこの5年間に出ているという。

 気象庁も令和元年の日本の年間平均気温が、全国的にかなり高かったと発表したばかりだ。南半球はいま、夏真っ盛り。これから4月にかけて高温傾向が続く予報が出ている。山火事は鎮火する様子を見せておらず、コアラやカンガルーなど野生動物への影響が懸念されるばかりだ。

参考 National Geographic news: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/010800012/

  

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please