感染対策を確立しつつ、経済活動を再開せよ!

 緊急事態宣言の発令で、日本経済は深刻な影響を受けている。中小企業の6割以上は、6月に経営危機に陥るとの調査もあり、経済活動の再開は待ったなしの状態である。大企業も安泰とは言えず、国内工場や交通インフラの機能不全などが起きれば、日本経済は大打撃を受け、失業とそれに伴う自殺者も増加しかねない。

 日本の政府、マスコミは当初より、感染症の専門家の見解を根拠に判断しており、他の専門家の見解は取り入れていない。経済や教育、人々の心理面に与える影響への配慮が不足している。長期的かつ大局的な視座に立ち、いかに国民の生命・財産を守るかについて、知恵を振り絞るべきであろう。

 わが国及び自治体の財政状況に鑑みても、休業要請と補償を続けることは現実的ではない。オンライン受診の普及促進などを通じた院内感染の防止をはじめ、人と人との接触の機会を減らすための、業態に応じた工夫を徹底させるなど最大限に感染拡大リスクを抑制した上で、自粛ムードを一掃させる情報発信を行うべきだ。

 トランプ大統領と対立するファウチ氏

 これは米国でも同じで、経済活動を再開しようとするトランプ大統領に対して、国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は、経済再開について警鐘を鳴らしている。

 大統領は13日、政府の新型コロナウイルス対策に医療面から助言を行う米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長がロックダウン(都市封鎖)緩和に慎重論を唱えたことに対し「受け入れられない」と述べて対立姿勢を強めた。

 特に、学校閉鎖の継続については「全く」同意できないとしている。学校や大学を9月に再開させるべきかという問題は、経済活動の早期再開をめぐって意見を異にするトランプ政権とファウチ氏の間で、論争の火種となりつつある。

 感染症の専門家として国際的に高い評価を得ているファウチ氏は、12日の米上院公聴会で、性急なロックダウン解除は「非常に深刻な」結果をもたらしかねないと証言。「制御不可能な流行を引き起こす真のリスクがある」と警告していた。

 しかし、この発言についてトランプ氏は「受け入れられない」とホワイトハウスで記者団に明言。「われわれは封鎖を解除していく。国民も解除を求めている。学校は再開される」と述べた。

 トランプ氏はさらに、14日放送予定のビジネスニュース専門局フォックス・ビジネス(Fox Business)のインタビューで、「アンソニーは良い人間だ。とても良い人間だが、彼に賛同はできない」「学校は再開しなければならないと思う」と語っている。

 「われわれは米国を再開しなければならない。安全に再開したいが、同時にできるだけ早く再開したい。このような状況を継続するわけにはいかない。街中ではすでに大混乱が起きている」とトランプ氏は主張。「学校に関しては、彼(ファウチ氏)に全く同意しない」と付け加えた。(AFP通信 2020.5.13)

 感染症の専門家が、感染症対策の意見をいうのはもっともで正しい。しかし、人は働いて経済活動を行わなければ生きていけない。どちらが大切かといえばどちらも大切なのだ。

 ウイルスが中国の研究所で作られたという科学的根拠はない?

 そんなファウチ氏が気になる意見を述べている。「ウイルスが中国の研究所で作られたという科学的根拠はない」と発言する記事が National Geographic(2020.05.11)で公開されていた。

 トランプ大統領が「ウイルスが中国の研究所で作られ、それが漏れた可能性がある」と言うのに対し、反対の意見に思われるがこれはどういうことだろう?

 ファウチ氏にインタビューした記事したの内容を紹介すると...。

 「最近、新型コロナウイルスの起源が話題になっています。あなたは、このウイルスが中国の研究所で作られたものだと思いますか?」という問いに対して次のように答えている。

 「コウモリから見つかったウイルスと、現在猛威をふるっているウイルスの進化を見れば、これらが人為的な操作や意図的な操作を受けていないことを非常に強く示しています。ウイルスが時間とともに段階的に変化する様子を見た多くの優秀な進化生物学者が、新型コロナウイルスは自然界で段階的に進化し、種の壁を跳び越えたものとしか考えられないと言っています。」

 科学的か科学的でないかの根拠はどこにあるか?

 これだけでは分かりにくいので説明すると、彼は「コウモリから見つかったあるウイルスが突然変異で進化し、人に感染するようになった」という進化生物学者の論文を読み、それは正しく科学的であると述べている。

 諸説ある新型コロナウイルスについて、彼はコウモリウイルス由来説が正しいと言っている。というのは、次のようにも述べているからである。

 「自分が何を言っているのか分かっていないような人でも専門家を自称することはできますが、一般の人が本物と偽物を区別するのは非常に難しいことです。まずは、その論文が権威ある研究機関から出ているかどうかを確認しましょう。とはいえ、そういう機関にも、ときどきナンセンスなことを言う研究者がいます。『New England Journal of Medicine』、『サイエンス』、『ネイチャー』、『セル』、『JAMA』など、査読のしっかりしている科学誌に発表された論文かどうかも重要です。 」

 つまり、簡単に言えば、中国の研究所で「突然変異もしくは遺伝子操作」して新しくウイルスを進化させた可能性はあっても『New England Journal of Medicine』、『サイエンス』、『ネイチャー』、『セル』、『JAMA』などに「論文」になっていないと科学的ではないといっているのである。

 SF(想像科学)も実現可能な「科学」

 生物細菌兵器を想定して研究した新型コロナウイルスを論文で発表することがあるだろうか?

 国際法でも禁止されている生物細菌兵器をつくっていることを発表するはずがない。だが万一、中国の研究所でウイルスがつくられていたらどうだろうか...? 事態は深刻である。

 トランプ大統領は5月6日、真珠湾攻撃や9.11を引き合いに出して、コロナについて「われわれが経験した中で最悪の攻撃だ」と述べている。ニューヨーク市では4月7日、コロナによる死者数が9.11の死者数を上回った。

 発生源が研究所であり意図的に漏らした可能性が、立証ができれば...。アメリカが中国へ"報復"する条件が整うとの見方もある。

 今回のケースが意図的であれば、これまでにない細菌兵器の大規模な攻撃ということになり、人類にとって初めてのケースになる。その可能性を考えることは科学的ではないのだろうか?

 「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」この有名な言葉はフランスのSF作家ジュール・ヴェルヌの言葉だ。

 人間が想像することは、タイムマシン、宇宙旅行など楽しいことばかりではない。生物細菌兵器による人類の戦いもSFの世界では何度も描かれてきた。そしてその筋書き通り現実に起きているように見える。こうしたSF(想像科学)も含めて科学と呼んでいいのではないだろうか?

 ウイルスが中国の研究所で作られたという科学的根拠は、想像科学において十分可能であるからだ。

 以下にNational  Geographic newsのファウチ氏インタビュー記事を引用する。

 アンソニー・ファウチ氏「まだ経済活動は早い」

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、米国の新型コロナ対策の「顔」と言える科学者だ。ファウチ氏は今回、ナショナル ジオグラフィックの独占インタビューに答えて、新型ウイルスが中国の研究所で作られたと考える科学的根拠はないと断言した。 

 ファウチ氏は、「コウモリから見つかったウイルスと、現在猛威をふるっているウイルスの進化を見れば、これらが人為的な操作や意図的な操作を受けていないことがわかります」と言う。このウイルスは時間とともに自然界で段階的に進化し、種の壁を跳び越えたものと考えられるという見解だ。 

 彼が重視しているのは、夏までに感染率を下げ、秋と冬にやってくる第二波に備えることだ。第二波が来る前に十分な数の検査キットを準備し、検査を最も必要としている人々が検査を受けられるシステムを構築することが必要である。 

 「このウイルスが消えることはないと思います」とファウチ氏は言う。「ウイルスは存在しつづけ、チャンスがあれば復活するでしょう」。米国は夏の間に医療システムを強化し、病床、人工呼吸器、医療従事者のための防護服の確保に努めなければならない。 

 彼はまた、各都市や各州の症例数が減少しはじめるまで、あらゆる場所で人との距離を保ち続けることの重要性を強調する。全米では4月以降、毎日2万〜3万人の新たな感染者が発生しており、高止まりの状態にある。

 それでもファウチ氏は、過去にないほど短い期間でワクチンが完成し、早ければ1月にも一般の人々に接種できるようになるだろうと考えている。

 ファウチ氏はナショナル ジオグラフィックに、まだ感染率が低下していない段階で各州が経済活動の再開を急いでいることへの懸念を語った。

 新型コロナウイルス感染症の情報洪水について

 ――私たちは新型コロナウイルスに関する情報の洪水にみまわれています。その中からどのようにして最も重要な科学的情報を選び出していますか?

 実際、情報の勢いはすさまじく、消火栓から水を飲もうとするようなものです。幸い、私には3~4人の優秀なスタッフがいて論文をふるいにかけてくれるので、合理的でないものや現実的でないものにまで目を通さないですんでいます。私はこうして選ばれた論文のタイトルと抄録を読みます。よさそうだと思った論文は、別に取り分けて読みます。スタッフが「これは読んでおくべき」と言う論文は必ず読むようにしています。

 ここまで準備してもらっていても、近年の風潮として、査読を受けていない、公式には発表されていない論文まで公開されるようになっているので、判断が難しいところがあります。

――専門家の主張が科学的に信用できるかどうかを一般市民が判断するための目安はありますか?

 自分が何を言っているのか分かっていないような人でも専門家を自称することはできますが、一般の人が本物と偽物を区別するのは非常に難しいことです。まずは、その論文が権威ある研究機関から出ているかどうかを確認しましょう。とはいえ、そういう機関にも、ときどきナンセンスなことを言う研究者がいます。

 『New England Journal of Medicine』、『サイエンス』、『ネイチャー』、『セル』、『JAMA』など、査読のしっかりしている科学誌に発表された論文かどうかも重要です。

 ――最近、新型コロナウイルスの起源が話題になっています。あなたは、このウイルスが中国の研究所で作られたものだと思いますか?

 コウモリから見つかったウイルスと、現在猛威をふるっているウイルスの進化を見れば、これらが人為的な操作や意図的な操作を受けていないことを非常に強く示しています。ウイルスが時間とともに段階的に変化する様子を見た多くの優秀な進化生物学者が、新型コロナウイルスは自然界で段階的に進化し、種の壁を跳び越えたものとしか考えられないと言っています。(2020.5.11 National Geographic記事より抜粋)

参考 National Geographic news: https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/051100279/

  

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