梅雨明け遅れる関東甲信越地方
今年は梅雨明けが遅れている。九州奄美地方では7月20日、高気圧に覆われておおむね晴れ、鹿児島地方気象台は、20日午前11時「奄美地方は梅雨明けしたとみられる」と発表した。奄美地方の梅雨明けは記録を取り始めてから最も遅くなった。
関東甲信越地方でも6月30日から19日連続して0.5mm以上の降水を観測するなど梅雨明けは遅れていて、8月にずれ込む可能性がある。8月の梅雨明けは2007年の8月1日以来である。近年では1982年の8月4日が記録として残っている。
2020年7月4日早朝の猛烈な雨により、熊本県南部の球磨川流域で大規模な氾濫が発生すると共に、斜面災害も発生した。現在、前線と低気圧の影響で九州など西日本では、26日・日曜日ごろにかけて局地的に非常に激しい雨が降って大雨となるおそれがある。
気象庁は土砂災害や川の増水などに警戒するよう注意している。特に豪雨の被災地ではこれまでより少ない雨で災害が発生する可能性があり、雨が強まる前に、早めに安全な場所へ移動するよう呼びかけている。
梅雨空に珍しい、夏至に部分日食
天体観測については、今年は天候には泣かされっぱなしである。2020年6月21日(日)、夏至の日の夕方16時ごろから18時ごろにかけて、日本全国で部分日食があったが、関東甲信越地方では6月11日にすでに梅雨入りしており、この日も曇りで見ることはできなかった。
次回は2030年まで起こらないので、ぜひとも見たい現象だった。晴れたところでは、南西日本ほど大きく欠け、沖縄などでは深い部分食となった。また、インド北部や台湾などでは金環日食になった。
東京では、36%欠けた姿が見られるはずであった。日本で次に日食が見られるのは2023年4月20日で、14~15時ごろに南西諸島、九州南部、紀伊半島などだけで部分日食が見られる。さらにその次は2030年6月1日で、北海道で金環日食、全国で部分日食が見られる。日本で皆既日食が見られるのは2035年9月2日(皆既帯は北陸~北関東)と先の話になる。
惑星が直列、全惑星が見られる
そして7月4日に起きたのが惑星直列。水星、金星、地球、火星、木星、土星、冥王星が1列に並んだそうだ。さらに7月中旬から下旬にかけて、明け方の空で、水星から海王星まで全惑星を見ることができる。
一度に全惑星を眺めることができるのは大変珍しい機会だ。さらに19日ごろまでは下弦過ぎの細い月も同時に見える。タイミングは日の出の1時間前から30分前くらいの約30分間となる。これより早いと東北東の空の水星が低すぎて見づらく、反対にこれより遅いと南西の空の木星が低くなってしまう。
見晴らしの良いところで観察しよう。また、天王星と海王星を見るには少なくとも双眼鏡が必要となる。一度に見るという制限を外せば、宵のころに木星と土星を見ておき、空が暗い時間帯に天王星と海王星を見つけて、明け方に水星を探せば多少は見やすくなる。
肉眼でも水・金・火・木・土星(と地球、月)は見え、双眼鏡や天体望遠鏡なら木星のガリレオ衛星や土星の衛星タイタンなどまでも観察できる。ぜひ一晩のうちに、なるべく多くの太陽系天体を見つけてみよう。明け方の空で惑星を全部観察したい。
ネオワイズ彗星が接近中、いつ、どの方角に見える?
そして見たいのが「ネオワイズ彗星」。天文学者は、ここ10年あまりで最も明るい彗星になるかもしれないと期待している。この彗星は現在、見るべき場所さえわかっていれば肉眼で十分見える明るさになっている。
ネオワイズ彗星は、7月の中頃までは夜明け前にしか見ることができなかった。7月15日頃からは夕方の空で見えるようになり、さらに見つけやすくなる。日没後の北西の空、おおぐま座(北斗七星)の下に見えるはずだ。日を追うごとに地平線からの高度が高くなる。
貴重な天文現象を見る絶好の機会だが、観察するには少しだけ準備が必要だ。「空を見上げればすぐわかるというものではありません」と、米アリゾナ州にあるローウェル天文台の上級天文学者デイブ・シュライヒャー氏は言う。「見るべき場所がよくわかっている必要があります。それに、双眼鏡が役に立つでしょう」
それでも、過去数日間にソーシャルメディアに投稿された写真を見ると、この彗星はかなり見応えがありそうだ。1997年の夜空に輝いたヘールボップ彗星以来の明るさになるかもしれない。2007年に地球の横を通り過ぎていったマックノート彗星は、今のネオワイズ彗星よりも明るかったが、見えたのは主に南半球だった。
ネオワイズ彗星は、3月下旬にNASAの宇宙望遠鏡「NEOWISE」が発見したことにちなんで命名され、正式名称は「C/2020 F3 (NEOWISE)」という。彗星は日本時間の7月4日に近日点(太陽に最も接近した点)を通過した。
今もなお彗星の姿が見えていることに、天文ファンは安堵のため息をついている。彗星の多くは、太陽に接近したときの高温に耐えられないからだ。彗星の核は、しばしば「汚れた雪玉」と表現されるように、岩石、塵、ガス、氷からできていて、極度の高温になると崩壊しやすい。
彗星は太陽に近づくにつれ高温になり、さまざまな物質を放出しはじめる。これが美しい尾の正体だ。時には、核が完全に崩壊して消えてしまうこともある。ネオワイズ彗星は、この試練を生き延びたようだ。太陽への最接近を果たした今も、ガスと塵でできた長い尾をたなびかせている。
彗星の明るさは、いくつかの要素によって決まる。近日点を通過した今は、太陽光の反射が少なくなっていくが、彗星自体は地球に近づいてきている。地球に最接近するのは7月23日で、地球から1億300万kmのところを通過する。その後は地球からも離れて徐々に見えなくなり、太陽系外縁部へ帰っていく。
梅雨空が続く関東甲信越地方では、まだ観察することができない残念な状態が続いている。
参考 国立天文台: http://www.miz.nao.ac.jp/ishigaki/content/news20200707#movie_C2020F3
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