関東上空で大きな火球 破裂音が「聞こえた」
去る7月2日午前2時32分ごろ、関東上空に極めて大きな流れ星(火球)が流れた。数分後には爆発音も聞こえたといい、火球が破裂した際の音が地上まで届いたようだ。火球の音が聞こえた例は極めて珍しい。
流れ星は、宇宙を漂うちりが地球の大気とぶつかって光る現象。大きなものが地上まで落ちてくると隕石(いんせき)と呼ばれる。
隕石で思い出すのは、1908年ロシアでシベリアの森林を数十キロメートル四方にわたってなぎ倒した例があるほか、2013年にもロシアのチェリャビンスク州上空で隕石が爆発し、衝撃波で建物のガラスが割れたり、けがをしたりする人が出るなどの被害が出たものが記憶に新しい。
この様子はインターネットのSNS上で、東京など関東の各地で「爆発音」がしたという投稿が相次いだ。同じような時間帯に“光の玉のようなもの”が上空を流れる様子を撮影したとされる映像も投稿された。
東京など関東の各地で「ボーンという爆発音がして家が少し揺れた」、「雷が落ちたような爆発音がした」など爆発のような大きな音がしたという書き込みがツイッターで相次いだ。SNSでは、上空を流れる「火球」が原因ではないかという指摘も多く見られた。
天文が専門の平塚市博物館の学芸員の藤井大地さんによると「瞬間的に満月よりも明るく輝いていて、小惑星などのかけらなどが大気圏に突入して燃え尽きる際に特に強く光る火球と呼ばれる現象だ。音は衝撃波によるものと考えられるが、実際に音が観測されるのはかなり珍しい。かけらは数センチ以上あるとみられ、隕石(いんせき)として地表まで到達している可能性がある」と話していた。
関東上空に現れた火球はマンションに落下
その後、7月2日に関東上空で目撃された火球が、千葉県習志野市のマンションに落下した隕石だったとする分析結果を、国立科学博物館が7月13日に公表している。この隕石は、国内では53番目の隕石で、今後「習志野隕石」として登録申請される予定だ。
国立科学博物館の発表によると、火球が観測されたのは7月2日の午前2時32分ころ。爆発音も聞こえたことから、ネットでも話題を呼んでいた。
その後、千葉県習志野市のマンションで石のかけらが見つかり、地元の博物館に「隕石ではないか」と問い合わせが寄せられた。国立科学博物館が6日から調査を始めたところ、最近落下した隕石であることが確認されたという。
見つかった隕石は重さ63グラムと70グラムの2つの破片から構成され、綺麗に合わさる部分があることから、元は1つだったとみられる。今後、およそ1ヶ月かけて隕石の分類を特定したのち、「習志野隕石」として学会に登録申請をする予定だ。国内で見つかった隕石はこれで53番目で、2018年の小牧隕石以来2年ぶり。
習志野隕石とは何か?
2020年7月2日午前2時32分に、関東や東海地方などで火球として目撃され、その後千葉県側の東京湾上空で見えなくなった隕石。未明にも関わらず、SNS上には火球の動画や爆発音の証言などの投稿や警察などへの通報が相次いだ。
大学研究者やアマチュア天文愛好家などで作る観測者グループによると、燃え尽きずに隕石として落下した場合は千葉県千葉市の北西部や佐倉市などで見つかる可能性が高いとして、協力を呼びかけていた。
同年7月13日、燃え尽きなかった岩石部分が千葉県習志野市のマンションに落下しているとの情報が同マンションの住民から千葉県立中央博物館に寄せられ、調査を担当した国立科学博物館が岩石を分析した結果、隕石の破片2個を確認したと発表した。
同博物館によると、ガンマ線測定の結果から宇宙線により生成される放射性物質が検出され、その半減期から7月中に落下した隕石であると判明した。
元々は直径数cmの大きさだったと考えられており、分裂した破片の重さは63gと70gである。二つの破断面が一致し、外観から普通球粒隕石(コンドライト)の一種だと考えられている。
同博物館は「習志野隕石」と命名し、今後は岩石に含まれる鉱物や希ガスなどの分析を進め、分類が確定した時点で国際隕石学会に登録申請する予定である。
日本で隕石が発見されたのは、2018年9月の小牧隕石以来で、国内では53番目に確認されたことになる。また、千葉県内では1969年にも芝山町でも隕石(芝山隕石)が発見されているため、約50年ぶりとなった。
また、国立科学博物館によると、今回の事例で「火球の軌道」と「隕石本体」の両方が同時に見つかったのは、国内では初めてであり、同博物館では小惑星探査機「はやぶさ」のサンプルなどに匹敵する宇宙の貴重な情報になるとして、今後この隕石に関する研究を開始することを明らかにしている。
なお、この隕石落下により建物の廊下や手すりに石が当たった痕跡はあったが、大きな被害は無かった。
小牧隕石とは何か?
小牧隕石(こまきいんせき)は2018年9月26日22時30分頃、愛知県小牧市の民家に落下した隕石。L6普通コンドライト(球粒隕石)である。
隕石が建物を直撃および落下直後に発見されたのは、2003年に落下した広島隕石以来15年ぶりとなる。2019年2月19日から、3月17日まで国立科学博物館で衝突した屋根の一部と共に展示された。その後は名古屋市科学館において三つに分かれた破片のうち最大の物をえぐれた屋根の一部や割れたカーポートと共に2019年4月6日より常設展示、二番目に大きい破片の寄贈を受けた国立科学博物館で2019年3月21日から常設展示している。
日本が所持する隕石の数は世界第二位
宇宙の不思議の1つである隕石。実は隕石は流れ星として、けっこう日常で目撃することができる。通常、隕石は流れ星のように大気圏で燃えながら、地球に向かって落ちてくる。まれに大きなものは形を残したまま地球へ落下。それが隕石と認識されているのだ。
その隕石の所持数、実は日本が世界第二位。この小さな島国で世界二位…。隕石が落ちてきたなんてニュースはめったに耳にしないのに、なぜだろう?
日本は国土が小さいながらも、隕石の所持数は世界第二位を誇っている。その理由は、南極で大量の隕石を発見できたから。はじめは1969年、南極大陸にある山と山脈のふもとで9個の隕石を南極観測隊が発見する。その後、2010年までに16,836個もの隕石を発見しているのだ。
この驚異的な隕石の数は1974~1975年に訪れた観測隊が、わずか10日間で663個もの隕石を発見できたことが大きいといわれている。なぜそれほどの数を見つけられたのだろうか?それは南極で氷上に黒い大量の隕石が散らばっている場所を日本が発見したからだ。
南極大陸には月や火星から飛来してきた隕石が多くあるといわれている。この月や火星から飛来してきた大量の隕石を発見したのが違う国だったら、日本は隕石所持数・第二位にはなれていなかった。
しかし、日本は偶然大量の隕石を見つけたわけではない。きちんと、事前に「このあたりに大量の隕石があるのではないか」と、調査した結果に基づいて出向いている。
今まで日本に落ちてきた隕石の数は50個ほど。少ないように感じるかもしれないが、国土の大きさを考えたらむしろ多いほうなのかもしれない。
世界最大の隕石はアフリカ南部にある
地球に落ちてきている隕石の大きさは、実にさまざまだ。その中でも世界最大の隕石といわれているのが、アフリカ南部に位置するナミビア共和国で1920年に発見された「ホバ隕石」。
気になるその重量は、なんと発見当時で66トン。縦横それぞれおよそ2.7メートル、高さ0.9メートルというあまりの大きさに動かすことができず、畑の中央に放置されたままだったという。
しかし、畑にそんな大きい隕石があっては農作業ができない。そのため、隕石を破壊しようとする人たちが現れた。そりゃそうだろう、仕事にならないもの。
「貴重な隕石を壊されてはならない」ということで、その後国は隕石を破壊されないようにしようと、畑の隕石を1950年に国定記念物に指定し保護した。その結果、現在でも隕石は無傷で残っているというわけである。
日本の保有する隕石
日本に落下した隕石。薩摩隕石、白萩隕鉄、曽根隕石、米納津隕石、気仙隕石、田上隕鉄、国分寺隕石、美保関隕石など。国立科学博物館の展示。
国全体の面積が小さい日本では、落下する隕石の数はそれほど多くないものの、人口密度の高さゆえ、隕石落下に伴う火球の目撃や落下した隕石の回収率は高い。
隕石と認定されたものは50個ほどである。最古のものは、861年5月19日(貞観3年4月7日)に福岡県直方市に落下し、須賀神社に保存されている直方隕石 (472グラム) である。これは落下記録が残るものとしては現存最古である(従来は1492年11月7日にアルザスのエンシスハイム(英語版)に落下したエンシスハイム隕石 (127キログラム) だった。ただし直方隕石が実際に落下したのは1749年7月13日(寛延2年5月29日)とする説も存在する。
南極地域観測隊が1969年にやまと山脈のふもとに集積していた9個の隕石を採集したことに端を発し、その後、南極大陸の特定の場所(基本的には山脈のふもと)に隕石が集積するシステムが明らかになり、現在まで1万6700個(極地研より)の隕石を発見・回収した結果、日本は世界で二番目に多くの隕石を保有する国となった。
南極で発見された隕石の大半は国立極地研究所の南極隕石研究センターが保管しており、分類と研究が進められている(詳細は「南極隕石」を参照)。他に、海外で発見された隕石を博物館などが保有しているものもある。
そもそも隕石とは何か?
隕石(meteorite)とは、惑星間空間に存在する固体物質が地球などの惑星の表面に落下してきたもののこと。
「隕」が常用漢字に含まれていないため、「いん石」とまぜ書きされることもある。昔は「天隕石」「天降石」あるいは「星石」などと書かれたこともある。惑星間空間に存在する固体物質が地球あるいは惑星表面に落下してきた際、大気を通過中に高熱で気化せずに残ったものが隕石である。
1985年までに発見された2700個の隕石中、落下するところが目撃されたのはおよそ45%である。南極では日本をはじめとして各国の南極観測隊が1985年まででも7500個の隕石を回収した。
隕石カタログ(Catalogue of Meteorites 2000年版)には2万2507個(南極隕石1万7808個を含む)が掲載されている。このうち2万1514個(95.6%)が石質隕石、865個(3.8%)が鉄隕石、116個(0.5%)が石鉄隕石である。
放射性同位体を用いた測定によって、隕石の多くはおよそ45億年ほど前にできたもので、太陽系の初期、惑星が形成された当時の始原的な物質であろうと推定されている。また、隕石の起源天体と流星物質の起源天体は必ずしも同種ではない。
大気との衝突によって多数の破片になり、楕円形の地域(長径数キロメートルから数十キロメートル)に、数十個から数百個程度、まれには数万個程度の微小な物質となって落下する(「隕石雨」と呼ばれる)。この場合は数百グラムから数キログラム程度のものが多い。
大きな塊のまま落ちてくることもあり、北アメリカのバリンジャー隕石孔(直径1.2キロメートル)を作った隕石は数万トン から数十万トンの質量だったと推定されている。隕石そのものが発見された中で最大なのは(1988年の『世界大百科事典』出版当時で)ナミビアのホバ隕石で、重さ66トンである。
参考 アストロアーツ: http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11382_meteorite
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