日本はこの夏、観測史上最も暑かった 浜松で日本記録タイ

 秋分の日を迎えようやく暑さも一息したところだ。今年の夏は特別に暑かった。初めて熱中症というものにかかってしまった。

 日本では、40度台を観測する地点が続出した。8月17日に静岡県浜松市で41.1度を記録し、国内最高気温に並んだ。それまで単独1位だったのは、2018年7月23日の埼玉県熊谷市の41.1℃だった。

 意外だが、温暖な九州・沖縄地方が首位ではない。なぜなのか。気象庁によると地形の特色だそうだ。 「海岸から離れた位置に平野部や盆地があり、また周囲(西側及び北側)が山地に囲まれているため、条件が合致すれば最高気温が上昇しやすいと考えられます。逆に、沖縄などは、特に陸地の広がり(海岸からの近さ)といった点で、夏季の最高気温があがりにくいと考えられます」

 基本的に「海は温まりにくく冷えにくい、陸地はその逆で温まりやすく冷えやすいといえる」。そのうえで夏季の最高気温に影響を与える要素としては、「日射による日中の気温上昇の影響」が最も大きいと考えられるが、「海風の影響や山越え気流による影響」などもある。

 日中、陸地で気温が上昇すると、海から陸に向かって風が吹く(海風)が、内陸はその影響を受けにくいため気温が上昇しやすくなるのだ。

 北半球はこの夏、史上最も暑かった WMOとNOAAが発表

 しかし、この暑さは日本だけでなかった。米カリフォルニア州デスバレーでは2020年8月18日に54.4度を、イラクの首都バグダッドでも7月28日に51.8度をそれぞれ記録した。世界気象機関(WMO)によると、気象学者などの検証後に公式記録として認められた場合、世界で過去3番目に高く、1931年以降の89年間では最も高い気温となる。

 世界気象機関(WHO)と米海洋大気局(NOAA)は、今年の6月から8月にかけて北半球の気温は20世紀の平均を1.17度上回り、観測史上最も暑い夏になったと発表した。世界全体の8月の気温は平均を0.94度上回り、1977年以降毎年、平均を上回る「温暖化」が続いている。

 WMOとNOAAは日本時間の15日にそれぞれ「史上最も暑い夏だった」と発表したが、その基になったのはNOAA・米環境情報センター(NCEI)の観測データだ。両機関の発表によると、6月から8月までの陸地と海面の平均気温は20世紀の平均を1.17度上回り、これまで「最も暑い夏」だった2016年と19年の記録をさらに上回った。

 8月に限定すると、北半球では平均を1.19度上回り、観測史上最も高温だった。世界全体では平均を0.94度上回り、観測史上16年についで2番目に暑かった。また、世界全体の今年1月から8月までの平均気温は、平均を1.03度上回り16年についで2番目に高くなっている。

 WMOとNOAAは「暑い夏トップ10」は1988年以降に、また「暑い夏トップ5」は2015年以降にそれぞれ集中して記録されているとし、世界の温暖化が続いていることを強調している。

 米国西海岸で山火事

 WMOは今回の発表で、今夏に米国西海岸のカリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州で多発した山火事について「2003年から19年までに全米で起きた山火事を見ても今夏の山火事の甚大化は明らか」と指摘。気候変動による熱波や干ばつが山火事の甚大化に関係があるとの見方を示している。カリフォルニア州で過去起きた山火事の規模上位20件のうち6件が今年発生したという。

 WMOはまた、カリフォルニア州で8月中旬から、オレゴン州とワシントン州で9月初めからそれぞれ発生している山火事によって煙が大量に放出され、カリフォルニア州では推定21.7メガトンの、オレゴン州では同7.3メガトンの炭素が排出された、としている。

 地球の歴史を俯瞰、真の「温室化」時代はやってくるのか?2020.08.24

 だが、地球の歴史をさかのぼれば、もっと暑い時代はあった。そして将来、再びそういう時代がくるだろう。その暑い時代は「温室期(ホットハウス・ピリオド)」と呼ばれる。現在の南極にあるような氷床が地球になかった時代で、大気中に温室効果ガスが過剰に供給され、地球の気温は現在よりもはるかに高かった。

 今のところそこまでは達していないが、人間が排出する炭素は地球の気候を変え、熱波はその頻度と激しさを増している。

 意外に感じる人もいるだろうが、地質学者に言わせれば、地球は現在「氷河時代(氷室期)」にある。その中で、極地の氷床が増えたり減ったりという「氷期/間氷期」のサイクルを繰り返している(今のところ、北半球の氷床は、グリーンランドまで後退している)。今よりはるかに暑い世界とはどのようなものなのか、それを垣間見るためには、少なくとも5000万年前の始新世初期にさかのぼる必要がある。

 「それは、地球が本当に温室化していた最後の時期です」と、米アリゾナ大学の古気候学者ジェシカ・ティアニー氏は話す。

 現在、地球の平均気温は15.6℃前後だが、始新世初期には21.1℃ほどだった。地球は、別世界だった。極地に氷はなく、熱帯の海は35℃もあり、まるで温泉のようだった。北極にはヤシの木が生い茂り、ワニがうろついていた。

 さらに過去へさかのぼれば、より極端な温室期もあった。9200万年前、白亜紀の超温室期には、地球の表面温度は約29.4℃に上昇した。この高温の時期は数百万年も続き、南極の近くには温帯雨林が繁茂していた。

 米スミソニアン協会の予備研究によれば、2億5000万年ほど前、ペルム紀と三畳紀の境には、極端な地球温暖化現象が発生し、地球の平均気温は32.2℃前後を推移する期間が数百万年も続いた。

 その地獄のような時代に、地球は史上最悪の大量絶滅を経験した。熱帯の海は熱い風呂のようだった。ペルム紀の日々の気象データは知る由もないが、超大陸パンゲアの乾燥した内陸部では、先日デスバレーを襲ったような熱波は日常茶飯事だった可能性が高い。

参考 サイエンスポータル: https://scienceportal.jst.go.jp/news/newsflash_review/newsflash/2020/09/20200918_01.html

  

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