食品アレルギーの原因とは?

 最近気になるものに小麦アレルギーというものがある。小麦はパンやうどんやラーメンなどの麺類に使用されていて、私の食生活には、無くてはならないものであるが、ある人にとっては、死ぬ可能性もあるアレルギーの原因になるという。

 人にとって重要な「食」を拒絶する、食物アレルギーの原因は何だろうか?

 一般にアレルギーというのは、体内に特定の物質が入ったときに働く免疫システムが過敏に働き体に不利益な症状が現れることをいう。

 その特定の物質の正体はタンパク質である。タンパク質はヘビやハチのつくる毒にも含まれていて、これが人体に害をおよぼすのはよく知られている。

 一般にタンパク質は食品としての栄養源であり、肉や魚に含まれている。実は植物でも量は少ないがつくられており、小麦には小麦に特有のタンパク質がある。これがアレルギーの原因になっている場合が小麦アレルギーである。

 食品の中では卵、エビ・カニのアレルギーはよく知られていた。最近ではピーナッツ、キウイ、イクラなど…こんな食品にもアレルギーがあるのか?…と思うほど多様なアレルギー源が発見されている。

 現在、食物アレルギーの症例数が多く、重篤な症状になりやすい特定原材料7品目に、卵・小麦・乳・えび・かに・そば・落花生が指定されている。

 食品アレルギーの原因を考えれば、生物によってつくられるタンパク質は違うわけだから、それだけ多様なものが原因になることは理解できる。それにしても、免疫は無くてはならない大切な仕組みだが、様々なアレルギーという副作用を産んでしまう複雑で厄介なものだと思う。

 様々な病気に関連する「HLA」とは何か?

 今回、理化学研究所(理研)と島根大学の研究グループは、小麦アレルギーに「白血球の血液型」と言われるHLAのうち、特定の型が関連していることが分かったと発表した。発症リスクを予測するバイオマーカーとして活用できる可能性があるという。

 HLA(Human Leukocyte Antigen=ヒト白血球抗原)は1954年、白血球の血液型として発見され、頭文字をとってこう呼ばれてきた。しかし、発見から半世紀以上を経て、HLAは白血球だけにあるのではなく、ほぼすべての細胞と体液に分布していて、組織適合性抗原(ヒトの免疫に関わる重要な分子)として働いていることが明らかになっている。

 HLA検査を行うと、遺伝子型ごとに2つの型が判明する。それは、父親と母親の型を1つずつ受け継いでいるからだ。両親から受け継いだ遺伝子の染色体は一対になっているが、そのためにHLAも同様に両親から受け継いだ2つの型が一対となって1つのセットを形成している。それを「HLAハプロタイプ」と呼ぶ。

 HLAはA,B,C,DR,DQ,DPなど多くの抗原の組み合わせで構成され、さらにそれぞれが数十種類の異なるタイプ(アリル)をもち、ハプロタイプの組み合わせは、数万通りともいわれる。

 HLAはヒトの体の中で重要な免疫機構として働いており、その主な役割は自他認識をすることにある。多くの研究者により、病気とHLAに関係があることがわかってきた。

 例えば、糖尿病に他人より4倍なりやすい型は「B54、DQB1*04:01、DRB1*04:05」、腫瘍性大腸炎を4倍発症しやすい型は「DRB1*09:01、DR2、B52など」、ベーチェット病(Behcet病=眼病)に9.3倍かかりやすい型は「B51」などである。

 特定のHLAが関連 理研と島根大研究

 今回、小麦アレルギーについても、HLAのハロタイプが関係していることが分かった。研究グループは、「HLA- DPB1*02:01:02」という特定のHLAハロタイプが、小麦アレルギー患者に多く存在することを発見した。

 理研・生命医科学研究センターファーマコゲノミクス研究チームの莚田泰誠チームリーダー、福永航也研究員、島根大学医学部の森田栄伸教授、千貫祐子准教授らの研究グループは、小麦アレルギー「WDEIA」の発症要因を究明するために、まずWDEIA患者77人と比較対象の日本人924人を対象に「ゲノムワイド関連解析(GWAS)」と呼ばれる遺伝子解析をした。

 その結果、WDEIA患者では、ヒトゲノムDNA上で一塩基だけ異なる「SNP(一塩基多型)」のうち「rs9277630」という特定のSNPが関連していることが分かった。

 研究グループは次に、別のWDEIA患者91人を調査対象に追加し、さらに詳しく解析した。その結果、「HLA- DPB1*02:01:02」という特定のHLAの保有率が、比較対象の日本人が39%であるの対してWDEIA患者は73%もあり、統計的に有意に高いことが判明した。

 研究グループは、「HLA- DPB1*02:01:02」という特定のHLAを持っている人は、持っていない人よりもWDEIAを発症するリスクが高いことが示された、と結論付けた。発症リスクを予測するバイオマーカーとして、将来的には遺伝子検査に活用されることが期待できるとしている。

参考 サイエンスポータル 怖い小麦アレルギーに特定のHLAが関連 理研と島根大研究 (jst.go.jp)